みなさんはイラストを描く際、頭の中で「こんな絵が描きたい…」と思っても、いざイラストを描き始めてみると、「あれ?なんだかイメージと違う…」
なんてことを経験したことはありますか?
それを解決することができる方法があります。

それは「資料集め」と「カラーラフ」です。

初心者さんにまずオススメしたいのが「トレース・模写をOKしているポーズカタログ集を見ること」です。

可愛いポーズをした可愛い女の子が描きたい!と想像を膨らませたとしても、実際にキャンパスにゼロから描き始めることは凄く難しいことです。
「腕ってどうなってるんだ?」「手を描くのが難しい」「描けない…」と落ち込んでしまうことはないですか?
ポーズ集を見れば、「こんなポーズをしていると可愛いな」と「可愛いポーズ」の具体的なイメージがしやすくなるはずです。

描きたい女の子のイメージをしっかりとラフの段階で完成までのイメージを固めておくと、完成までの道のりがとても楽になると思います。

今回はマール社さんの『だらっとしたポーズカタログ』を参考に「可愛いポーズをとった女の子」を描いてみましょう。

〈ラフ〉

体のラインのラフが出来上がりました。

次に服装・髪型・表情のイメージを固めていきます。
今回はアイドルの女の子のオフの日をイメージして、ダルっとした服にノーセットのドライヤーをしただけ、くらいの髪型にしていきます。
アイドルの女の子なので、ズボラな感じが出ないように調整していきます。
キャラクターのイメージを固めていくことによって、一枚絵として説得力のあるものになると思います。

背景を考えていきます。
背景ラフ用にレイヤーを1枚追加しました。
今回ネコのぬいぐるみを持ってソファーに寝転がっている、という設定にすることにしました。

色のラフの作業に入ります。
色を決める際のコツは

・絵のイメージカラーを決める
・多くの色を使いすぎないことです。

配色については多くの本が売られているので、参考にしてみると良いと思います。
私のオススメの配色本を紹介します。

『配色スタイルハンドブック』
思い通りの空気感を演出するカラーパレット900種類を掲載しています。
CMYK、RGBのカラーコードが掲載されているので、PCで絵を描く際の参考になるかと思います。

色のラフが完成しました。
パステル調のカラーでまとめて、柔らかい雰囲気の絵になることを意識しました。
このタイミングでキャラクターの髪型の微調整があれば調整をしておくと楽だと思います。

影を入れていきます。
色味が違うな、と思ったらフィルタタブから色相で簡単に色を変えることができるのでオススメです。

これでラフの作業が全て完成です。
ラフの段階で完成のイメージを固めておくと、完成時に「あれ、こんなイメージじゃなかったんだけどな……」と思うことが格段に減ると思います。

着色作業の際にこのラフを使うので、画像の書き出しをしておきましょう。

〈線画ラフ〉

線画をするために線画ラフの作業をしていきます。
ラフに使用したレイヤーを一つのフォルダーにまとめ、不透明度を20%ほどにします。

新規フォルダを作成し、その中に線画ラフ用に新しいレイヤーを作成します。
目や口などの顔パーツはレイヤーを分けておくと後で変形ツールを使って修正がしやすいです。

線画のラフが終わりました。

〈線画〉

今回ブラシは『ペン(入り抜き)』を使用しています。
メディバンペイントはかなり手ぶれ補正を強くかけることが出来るので、線画作業に苦手意識がある人は、「手ぶれ補正」の数値を変更するといいと思います。
私は手ぶれ補正は「34」に設定しています。

〈色分け〉

ウィンドウタブから資料ウィンドウを開けるようにしておきます。
「資料を開く」から先ほど書き出しておいたラフを表示させます。
資料ウィンドウの右から2番目のツール、スポイトを使って色を選択し、色分けをしていきます。

パーツごとに分けて色を塗っていきましょう。

上記のように線画の下まで塗りつぶしがされていない場合があります。
隙間が出来ないように線画を非表示にしたりして確認しながら塗りつぶしていきます。

〈着色〉

好きな箇所から塗っていきましょう。
今回は肌から塗っていきます。
影色には正解がありません。
好きなイラストレーターさんはどんな影色を使っているのか、気になった方はスポイトでとって確認してみるのも良いかもしれません。

影には水彩ブラシを使用して塗っていきました。
大まかに塗っていき、気になった箇所は消しゴムで形を整えていきます。

唇を塗っていきます。
唇の周りと下唇の影は濃いめの色でぬり、唇部分はより薄いカラーで唇になじませていきました。

ハイライトを白色で追加しました。

右から段々と丸のサイズが小さくなっていくと、より自然に見えると思います。

涙袋を描き込んでいきます。
涙袋になる部分に影色と同じ色で塗ります。

その上から肌色でハイライト部分となる目頭側と瞳下を水彩ブラシでなじませます。
涙袋下に茶色で影を入れてより自然になるようにしました。

〈瞳の着色〉

ベースカラーより暗い色で影部分を塗っていきます。

瞳下に白に近いカラーを置き、スクリーンレイヤーに変更し、不透明度を48%に変更しました。


瞳上部に照り返しとなる明るめのカラーを置き、ハイライト部分を白く塗りつぶして瞳の着色は完了です。

〈頬染め〉

新規レイヤーを作成します。
影色に使った色を使用して、エアブラシを使って頬に赤味を出します。

色が濃すぎたので、不透明度を40%に変更しました。

〈髪の着色〉

顔周りに顔色をスポイトでとったものをエアブラシでグラデーションをかけ、不透明度36%まで下げます。


影色を資料からスポイトでとり、影になる部分を塗っていきます。
新規レイヤーを追加してハイライトも塗っていきます。
まっすぐにはならないように、丸を意識して形を整えていきます。
納得がいくまで何度も描き直します。

ハイライト用のレイヤーをスクリーンレイヤーに変更して、不透明度を36%に変更したら髪の毛の塗りは完了です。

〈服の着色〉

下半分をエアブラシで影部分として塗ります。
形が気に入らない時はカラーサークルから透明色を選択し、塗っていくことで塗った部分を消すことができます。

一度先ほどのグラデーションを非表示にして、影を入れていきます。
ポーズ資料をみながらどこに影が入っているのか、を観察して影を描き込んでいきます。

グラデーションが先ほどの影となじむようにグラデーションの不透明度を変更しました。

〈背景〉

影色は乗算レイヤーでざっくりと塗っていき、光が差し込んでいる箇所はエアブラシで柔らかく塗り、スクリーンレイヤーに変更して、不自然にならないように不透明度を変更します。

人物で隠れてしまう部分に描き込む必要はあまりないです。
人物を非表示にすると影はこのようになっています。

〈色トレス〉

イラストの雰囲気をもっと柔らかいものにするために色トレスをします。

キャラクター用の着色フォルダをコピー→ペーストをします。(線画フォルダは不要です。着色レイヤーのみをコピー&ペーストしてください。)
この段階で着色フォルダは統合された一枚のレイヤーになります。

線画フォルダにある線画を統合し、一枚のレイヤーにします。
統合した着色用レイヤーを線画フォルダの上にクリッピングします。
スクリーンレイヤーに変更し、不透明度を29%にします。

真っ黒の線画から、ふんわりとした雰囲気の線画になったのが分かると思います。

顔周りの色を変更していきます。
線画レイヤーの上に新規レイヤーを追加し、クリッピングます。
好きな赤色を選択し、目頭・目尻・口端・鼻にエアブラシで色をのせていきます。

線画のみの表示だと、このようになります。

〈仕上げ〉

線画・着色レイヤーをひとつのフォルダにまとめます。
まとめたフォルダをコピーし、ペーストします。
ツールタブからガウスぼかしを選択し、数値を11にし、OKボタンを押します。
全体にぼかしが入りました。

消しゴムで中央部分を消して、画面の周りだけにぼかしがかかっているようにします。

上下白い線を追加したら完成です。

完成イラストとカラーラフを比較してみましょう。
カラーラフと完成イラストとあまりイメージが変わってしまっていないと思います。


ラフからイメージを崩さずに完成させることが出来ました。

是非絵を描くときは、資料集めをして、カラーラフでイラストのイメージを固めてから清書を始めてみてはいかがでしょうか?

(文・絵/鉢野みど)