さまざまなイラストのメイキングや、動画でも早送りされてしまいがちな「下塗り」の作業。
今回は、どのようなことを考えながら下塗りの作業をしていけばよいのか、解説していこうと思います。

1.下塗りの準備

①線画に隙間がないか確認する。

線画に隙間があると、範囲選択をしにくいので、線画は隙間がないよう閉じておきます。

②フォルダ分け

線画用フォルダに色を塗ってしまうと大変なので、下塗り作業前に、線画・着色用・背景色のフォルダを分けておきましょう。
フォルダに名前を付けておくと分かりやすいと思います。

 

2.色分けをする

①肌の着色

自動選択ツールを選択します。

肌部分を選択します。
Shiftを押しながら左クリックをして塗りたい部分を選択すると、複数の範囲を選択することが出来ます。

塗りたい部分の範囲選択が出来たら、塗りつぶしツールを選択します。

塗りつぶしたい範囲を囲います。

すると、カラーサークルで選択しておいた色を置くことができます。
色を置く際は、下塗りなので、何色でも大丈夫です。
肌色は塗れているか確認し辛いので濃い色で塗ることをオススメします。(黒色は線画が見えにくいので、やめた方がいいです!)

選択した範囲に色がつきました。

拡大してみると、鼻の線画近くと、目の線画周りに選択しきれなかった隙間があるのが分かるでしょうか?
この隙間をペンツールを使ってぬりつぶしていきます。

この際、わざわざ髪の隙間まで丁寧に塗る必要はありません。
肌の上から髪・服のレイヤーを上に重ねていくので、はみ出して塗っても大丈夫です。

下塗りの際は「上にレイヤーが重なるパーツははみ出して塗っても大丈夫」ということを頭に入れておきましょう。

②髪の着色

髪を塗る際は、「髪の端まで塗る」ことを意識しましょう。

新しいレイヤーを肌レイヤーの上部に追加します。

範囲選択がしやすいように、先ほど塗った肌レイヤーの表示チェックを外し、非表示にします。

そして、先ほどと同じように自動選択ツールを使って塗りたい範囲を選択し、塗りつぶして髪のパーツに色を置いていきましょう。

選択に失敗してしまったためか、耳の範囲までに色が塗られてしまっていたり、髪の端まで色が塗られていません。

ペンツールではみ出しがないように根気よく色を塗っていきましょう。

各パーツに色が塗られました。

色が塗り終わったら線画を非表示にして隙間なく色が塗られているか確認しましょう。

線画の下に色が塗られていません。
こういった隙間に色が塗られていないと、影色を塗る際に白い不自然な隙間が出来てしまいます。
それを避けるために、線画の下まで色を塗っておきましょう。

全てのパーツに色が塗り終わりました。

 

3.肌・白目の色を変える

①肌の色を変える

フィルタタブから色相を選択し、肌の色を変えます。

明度、色相、彩度のバーを移動し、理想の肌色にしていきます。

②白目の色を変える

カラーサークルで白目に使いたい色を選択します。
白目の色は、左端の真っ白を使うのではなく、少し明度を落とした鼠色寄りの色を使うことをオススメします。

透明度を保護にチェックを入れます。
こうすることにより、塗りつぶしツールを使っても、はみ出すことがありません。

塗りつぶしツールで白目の範囲を囲います。

 

4.配色

①メインカラーを決める

色に悩んだ際は、「使いたい色」をまず先に選びます。

今回はジャケットに鮮やかなオレンジを使おうと思います。

パキっとした鮮やかなオレンジに合わせて、レモンの黄色をベースに配色していきます。

ベースとなる色を決めるときには、それぞれの色の位置が離れすぎないように気を付けると、色がまとまりやすくなります。

この2色をベースに、2色に2~3色増やして全体の色味を決めていきます。

②補色を使って絵をより魅力的にする

補色というものを聞いたことはありますでしょうか?
絵をより印象的に見せてくれる配色テクニックの一つになります。

補色とは、カラーサークルの反対側の色のことになります。
今回はオレンジの補色・水色系の色を部分的に使っていきます。

この補色の水色は、「メインカラーのオレンジ色を際立たせるためのもの」と考えて欲しいです。
主役の色より目立つことがないよう、少ない場所に色を置くことを意識してみましょう。

そして、この水色にはもうひとつ役割があります。

実は、このオレンジと水色には「明度」に差があります。
一度モノクロにすると分かりやすいと思いますが、オレンジは暗く、水色部分は白に近くなっていて、明度によるコントラストで、よりオレンジが際立つようになります。

このように配色の際に明度の差があると、よりイラストが魅力的に見えます。

③髪の色を変える。

青色の髪色ではオレンジの服とで目がチカチカしてくるので、色相をオレンジのジャケットに近い色に変更します。

黄色とオレンジは色相が近いので、色のまとまりが良くなります。

④ズボンの色を変える

ズボンの色は紺色にする予定だったのですが、オレンジとズボンの色の差がパッとしないのが気になりました。

ジャケットとズボン・肌のみを表示して、フォルダをコピー&ペーストし、彩度をゼロにしてみました。

ジャケットとズボンに明度の差がないことが分かったので、ズボンの色を暗い色に変更しました。

⑤インナーの色を変える

全体の色がオレンジ・紺・黄色と決まってきたので、これ以上大きな範囲に色味を増やすと、全体がゴチャゴチャして見えてしまいます。

なので、色味のないグレーを使ってインナーに色を置きました。

インナーの模様には、アクセントカラーとして、黄色の補色の青色を模様の色にしました。

色分けが完成しました。

⑥全体の確認

着色フォルダをコピー&ペーストして、フィルタタブから色相を選び、彩度を-100にします。

それぞれのパーツの彩度(グレーの色)が違うのが分かりますでしょうか?
白いところばかり・暗いところばかり・といったことがなく、バランス良く明度の差がある状態になっています。

色分けの作業は、イラストの完成イメージを固めるための重要なポイントになります。
思い通りの配色を目指して、一枚のイラストを描くのに、何案も考えてみてもいいと思います。
ぜひ、あなたもイラストの配色を楽しんでみてくださいね。

(文・絵/鉢野みど)