2023.09.29
【比較】あなたはどっち派?アナログとデジタルの違いと良さについて解説!
今、皆さんはどんなツールを使って漫画を描いていますか?
紙とペンを使ったアナログ作画ですか?
それともメディバンペイントのようなお絵かきアプリを使ったデジタル作画ですか?
「今はみんなデジタルなんじゃないの?」
いえいえ、そんなことはありません!
アナログを好んで選択している漫画家さんやイラストレーターは本当にたくさんいます。
今回は、漫画作画環境の変化を紹介しつつ、アナログ・デジタルのそれぞれの良さについて紹介していきます!
Index
☆アナログ原稿制作ってこんな環境!
今でこそデジタルツールが台頭していますが、漫画は黎明期から令和の現在までアナログが根強い分野です。
デジタルツールを使わずアナログで漫画を描きたい!という時にはどんな道具を使うのでしょうか?
【基本の道具】
・漫画原稿用紙または好きな紙
・ペン(つけペンやミリペン、筆ペンなど)
・鉛筆、消しゴム
・スクリーントーン、カッター
・定規
・修正液
これらと机があれば描くことができます。
漫画用のつけペンは軸とペン先が分かれるようになっており、用途によってペン先を付け替えて使い分けます。
広い範囲をベタで塗る時は、筆ペンやマジックを使います。
つけペンを使わずに市販のミリペンやボールペンで描く人もいます。
スクリーントーンは、様々な柄が印刷されたシートで、影付けや効果に使います。
裏がシール状になっていて、貼りたい場所に合わせてカッターで切り取り、貼り付けた後必要に応じてぼかすように削ります。
スクリーントーンを使わない人もいます。
画材の自由さもアナログの魅力です!
私も小学生の頃誕生日につけペンとスクリーントーンを買ってもらい、とても喜んだ記憶があります。
加えて、お役立ちツールとしては、
・下書きが印刷に写りにくい水色のシャーペン
・汚れ防止の手袋
・消しゴムの消しカスを払う羽根ぼうき
・光を当てて下書きなどを下から透かせるトレース台
などもあります。
また、カラー原稿の場合はコピックのようなアルコールマーカーやカラーインクなどがよく使われます。
自分で使う道具を吟味したりカスタムしたりするのも楽しみの一つです!
○アナログ原稿の基本的な流れ
鉛筆やシャープペンシルで下書き
↓
ペンで線画を清書
↓
ベタを黒く塗ったり、スクリーントーンで効果を入れたりして仕上げ
↓
必要な場合セリフの写植
アナログ原稿でセリフをちゃんとしたフォントの文字にしたい場合、セリフだけを別途パソコンで打って印刷し、切って原稿用紙に貼り付けるという作業が発生します。これはデジタルにはない大変さです。
アナログ作画のメリット
・デジタルでは再現できないペンの描き味がある
・道具を揃えるための初期費用が安い
・紙とペンがあればどこでも作業できる
・紙なのでデータが失われずずっと手元に残る
・デジタルツールと違い余計な機能がないので作画迷子になりにくい
・一発勝負の連続なので画力の向上につながる
紙とペンがあれば始められるので、タブレットや液タブ、板タブなどのデジタルツールを揃えるにはお金がない…という学生さんにも嬉しいですね。
ノートの隅に落書きするような感覚で気軽に取り組めて楽しいですし、実際TikTokにはアナログで描いた絵を繋げて動画にしている作品がたくさん投稿されています。
加えて、私が個人的に思う1番のアナログのメリットは、アナログでしか出ない特有のペンの描き味がある点です。
デジタルでも【Gペン】【鉛筆】などアナログで描いた感じになるペンツールはたくさんありますが、それらを使っても本物のアナログペンのニュアンスには敵わないなと思います。
デジタルのペンの描き味がどうしても気に入らなくて、ペン入れだけをアナログでやってその後パソコンに取り込んで加工している、という作家さんも大勢います。
あとは、作画していて迷子になりにくいという点も大きなメリットです。
デジタルだと無限に拡大縮小・やり直しが効いてしまうため、描いては消し描いては消しを繰り返したり、必要以上に拡大して描き込んでしまったり…と、迷子になることも多いです。
一方で、アナログはやり直しが効かないですし拡大縮小もできません。
潔さが必要なためかえって時短になることもありますし、一発勝負の連続なので画力の向上にも繋がります。
アナログ作画のデメリット
・とにかく時間がかかる
・やり直しが効かない
・スクリーントーンなど、種類を揃えようとすると費用がかさむ
・デジタルでできるような加工や便利ツールが使えない
・SNSなどにすぐ投稿できない
・同人誌を印刷したい場合、アナログ原稿での入稿が大変or受け付けてくれない印刷所もある
1番のデメリットは、やはり時間がかかることだと思います。
枠線やコマは自分で定規で引く必要がありますし、ベタはすべて手塗りで埋めなければなりません。
スクリーントーンはひとつひとつカッターで切り取り、大きさを調整して貼り付け、削り…途方もない手間がかかります。
デジタルの場合、タップひとつでベタ塗りやトーン貼りが完了します。
この点はやはりデジタルには敵わないと思います。
また、現在は作った作品をSNSなどに投稿して発表したい人が多いと思いますが、アナログの場合原稿をスキャンして画像化するか、カメラで直接撮影するしかありません。
現物よりどうしても画質などが劣ってしまいますし、気軽さではこの点もデジタルに軍配が上がると思います。
☆デジタル作画ってこんな環境!
現在はデジタル作画の方が多数派ではないでしょうか?
昔はデジタルツールはとても高価でしたが、技術の進歩と様々なサービスの登場で今はかなりハードルが下がりました。
【基本の道具】
・デバイス(スマホ、タブレット、パソコンなど)
・お絵かきソフト
・専用のペン
・パソコンの場合は板タブもしくは液タブ
これらがあれば作業環境が整います。
パソコンの場合板タブや液タブが必要ですが、スマホやタブレットなら画面に直接描けるのでペンがあれば他のものは特に必要ありません。
お絵描きソフトも、メディバンペイントのような高性能で基本無料の素晴らしいアプリがあります。
デジタル作画のメリット
・やり直しが効く
・トーンやベタなどの仕上げ作業がとにかく早い
・ペン先、背景素材、3D資料など便利ツールが豊富に使える
・画材が消耗しない
・データのやり取りや公開が楽
やはりデジタルの1番のメリットは、やり直しが効くことと豊富な素材です。
うっかりペン入れする場所を間違えてしまった…なんていう致命的ミスもデジタルなら簡単にリカバリーできます。
また、様々な種類のスクリーントーンやペン先、そのまま使える背景素材など、アナログで買い揃えたら途方もない量とお金がかかる素材が使い放題なのも大きな強みです。
デジタル作画のデメリット
・初期費用が高額
・ツールが豊富すぎるが故に作画迷子になりやすい
・機器の故障により作業が出来なくなったりデータが飛ぶ可能性がある
・デジタルに慣れすぎるとアナログで絵が描けなくなる
やはり機器の初期費用はネックです。
いつも使っているスマホ+メディバンペイントのような基本無料のソフトを使えば費用はかなり抑えられますが、
本格的に漫画を描きたい!と思うとタブレットやパソコン、板タブや液タブ、ペンなど合計して決して安くない費用がかかってきます。
さらに、これらに不調が出て修理や買い替えとなった場合、また高額な出費になる場合があります。
プロの漫画家やイラストレーターを目指す場合は必要経費ですが、趣味としてやりたい人にはなかなか痛い出費です。
また、デジタルの場合、機器に不具合が出てせっかく描いた作品のデータが消えてしまう可能性があります。
こまめにバックアップを取ることで自衛できますが、データが消えた時の喪失感は凄まじいです。
実は私もこの記事を描いている今まさに、普段使っているパソコンが急に壊れてしまい、中にあるお絵かきソフト各種が使えなくなりました。加えて、今までの作品、作りかけの漫画などが一切見れなくなってしまいました…。
本当に故障は突然やってくるので恐ろしいです。もしバックアップを取っていなければ、依頼を受けた絵の仕事も進められず、事業として信頼を失うところでした。
なんとか代替機器を用意して仕事をしていますが、こういう消失リスクはやはりデジタルの方が高いです。
紙はきちんと保管すれば消えませんからね。
もう一つ、デジタルの弊害として、デジタル作画に慣れすぎるとアナログで絵が描けなくなる、ということがあります。
デジタルは何度もやり直しが効くので、やり直しや途中で手直しする前提の描き方をします。
これが何年も長く続くと、いざ紙にペンで描こうとするとまったく描けなかったり、下手な絵になってしまうのです。
アナログでも漫画を仕上げてみたいと思っている方や、あまりないかもしれませんが同人誌即売会のスケブのように即興で絵を頼まれたり、友達とノートに好きなキャラ描き合いっこしよ〜!なんて場面では大変困ることになります。
☆メディバンの「線画抽出」機能でアナログとデジタルのいいとこ取りをしよう!
ここまで、アナログとデジタル両方のメリット・デメリットをご紹介しました。
「アナログの描き味が好きだから、ペン入れまではアナログでやりたい!その後の加工はデジタルでやりたい!」
そんないいとこ取りができる機能がメディバンペイントにはあります!
【線画抽出】機能です!
これは、アナログに紙で描いた絵を撮影orスキャン→メディバンに取り込んで、線画だけを抽出する機能です。
これなら、アナログのペンの描き味はそのままに、時間のかかるトーンやベタなどの加工だけデジタルですることができます。
実際、こういった使い方をしている作家さんはたくさんいます。
線画抽出の詳しい解説は下の記事でされていますので、参考にしてみてください。
また、線画抽出は不要という場合は、アナログスキャンしたものを画像としてキャンバスに取り込みましょう。
【PC】画像をキャンバスに取り込む方法
https://medibangpaint.com/use/2016/01/import-image/
ノートから線画抽出してみた
https://medibangpaint.com/use/2018/09/making-note-senga/
【iPad】線画抽出
https://medibangpaint.com/use/2016/01/extraction-line-ipad/
今回は、アナログとデジタルの違いについてご紹介しました。
アナログは滅んでしまった…と思っている方も多いと思いますが、実際はメリットも多く、まだまだ漫画の世界ではアナログが根強いです。自分に合った方法を模索してみてくださいね♪
(絵・文/はらなおこ)
X(旧Twitter):@nao_comic
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