2023.09.15
【検証】メディバンで同人誌を作りたい!トーン、グレー、線の太さが実際にどう印刷されるかやってみた
「絵もだんだん上達してきたし一度は同人誌を出してみたい!」
「コピー本を作ってみたい!」「本は自信が無いから仲間内で楽しむペーパーを作ってみたい!」
漫画の制作も発表もデジタルで全部完結する令和ですが、ファン活動の一貫として紙の本を作ることは何物にも変えがたい楽しさがあります!
でも、「メディバンペイントはイラスト制作に特化してるんじゃない?」
「印刷用の作品を作る時は他の有料ソフトが必要なんじゃないの?」と思っていませんか?
そんなことはありません!メディバンペイントだけで同人誌は作れちゃうんです!
↓以前にもこのような記事を書かせていただきました↓
【初心者向け】メディバンペイントだけで同人誌を作ろう!
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-make-a-doujinshi-using-only-medibang-paint/
メディバンペイントは、基本無料のソフトとは思えないほどの機能で、同人誌をはじめ紙媒体の作品を作りたい時も心強い味方になってくれます!
SNSなどオンラインでの発表の場がたくさんありますが、ぜひ一度紙の本作りに挑戦してみませんか?
自分の作品が冊子の形になり、さらに読者の方に直接お渡しできる…あの喜びをぜひ一度、体感してほしいなぁと思います。
Index
☆まずはじめに:自作本と発注本のメリット・デメリットについて
同人誌やペーパーを作ろう!と思い立った時、自宅のプリンターやコンビニのコピー機で作品を印刷・製本する方法と、同人誌印刷を扱う専門の印刷所に発注する2パターンの方法があります。
それぞれメリットとデメリットがありますが、ざっくり言うと、
自前のコピー:手軽、安い、印刷品質は劣る
印刷所発注:綺麗、高価、締め切りがある
かなと思います。それぞれ良し悪しがあるので、どちらが良いとは一概には言い切れません。
印刷所に発注する場合、決して安くない金額がかかります。いきなり印刷所は…と不安な人は、まずはお試しのつもりでコピー本を作ってみるのもいいかもしれません。
今は少部数から印刷してくれる印刷所も多いので、友達に聞いたり、ネットで印刷所のホームページを見比べてみたりして、自分の条件にあった印刷所を探してみてください。
コンビニコピー機で検証!実際に印刷してみた
本に挑戦してみたい!と思う反面、ビギナーさんにとって印刷用の作品を作るということはなかなかハードルが高く感じてしまうものです。
オンライン上で発表するだけなら、好きな用紙の大きさで好きな塗り方で…と、特に仕様について深く考えることなく制作ができますが、印刷するとなると、「印刷に適した原稿」を作らなければなりません。
「このトーンの濃さで大丈夫かな?」「線が細すぎないかな?」と悩みが次々に生まれると思います。
印刷所に発注するにしろ、自分でコンビニコピーをするにしろ、お金がかかるので、何度も何度も試し刷りするわけにもいきませんよね。
なので今回は、メディバンペイントで設定したグレーの濃さ、線の太さ、トーンの濃さについて、実際に印刷したらどう出力されるのかを検証してみました!
なかなか興味深い結果となったので、自分の絵柄や表現と照らし合わせてぜひ参考にしてみてください!
☆印刷環境:コンビニコピー機
用紙:B5
印刷モード:白黒
印刷結果をスマホのカメラで直接撮影
今回の検証はセブンイレブンでの印刷結果です。コンビニによって若干結果が違うと思いますので、参考程度になさってください。
※同人誌印刷所に発注する場合、基本的に自宅・コンビニコピーよりも綺麗に印刷されると思ってください!コピーでは綺麗に出なかったトーンも、印刷所なら問題なく再現してくれます。
また、「●●以下の線は出にくいです」「●●%以下のトーンは潰れるので使わないでください」など、制作上の具体的なガイドラインを示している印刷所もあるので、依頼する場合は必ず印刷所のホームページを熟読しましょう。
①線の太さ
細い線から太い線まで、どの程度なら消えずに印刷されるか検証しました。
- 使用ブラシ:ペン(メディバンに初期から入っているもの)
- ブラシコントロールの値:1〜50まで
◆直線◆
【元データ】
【印刷結果】
このような結果になりました。
意外だったのが、今回使ったコピー機だと1〜3ぐらいまでの線は消えるか、かすれてしまうのではないか?
と思っていたのですがちゃんと印刷されていました。1も薄いですが途切れていません。
太い線は言わずもがな問題なく印刷されています。
◆コマ用の四角直線◆
- 直線ツールで描写
【元データ】
【印刷結果】
こちらも細いものから太いものまできちんと印刷されています。
コマは線が太すぎると絵の印象が薄まってしまうため、絵柄と個人の好みにもよりますが、細すぎず太すぎず中間くらいの値で作ると良いかもしれません。
◆顔の線画◆
簡易な絵ですが顔の輪郭を描いた時の比較です。
- 使用ブラシ:ペン
- ブラシコントロールの値:5〜60まで
【元データ】
【印刷結果】
人物を描くとなると、さすがに5以下の値ではほぼ見えないので薄すぎるなという印象です。
消えてはいないので、服のシワや背景の描き込みなどには使えるでしょう。
線の細い絵柄の人、線を重ねる描き方の人は大体10前後の値のペンを試すと良さそうです。
線は意外と細くてもきちんと印刷される結果となりました。
ちなみに私が家で使っているコピー機(10年前のもの)だと、細い線はもれなく潰れます(笑)
コンビニコピー機の進化はすごいです!
②グレースケールの濃度
髪や服の着彩、影付け、効果などに使うグレーについて、濃さがどう印刷されるか検証しました。
グレーの数値は、カラーパレット左下の絵具パレットのマーク→【グレイスケールつまみ】で簡単に調整することができます(画面はパソコン版のメディバンペイントです。)
◆ベタ塗りでの比較◆
- 数値:0%から95%まで
【元データ】
【印刷結果】
数値の低い方が暗く、高くなるにつれて明るくなります。
90%でギリギリ、95%だと目視で近づいて見てもほとんど確認することができません。
◆肌の影として使った時◆
【元データ】
【印刷結果】
こちらも90%以上だと影としての効果はほとんど見られません。
80%以下で影として認識できる印象です。
◆髪色として使った時◆
【元データ】
【印刷結果】
90%でうっすら色がついているかな?とギリギリ認識できます。95%はもはや白髪です。
逆に濃い色は綺麗に出ました。
③トーン
トーンは10L〜80Lまでそれぞれの濃さを印刷してみました。
【10L】
【20L】
【30L】
【40L】
【50L】
【60L】
【70L】
【80L】
コンビニコピーだと、70Lすぎから全体が荒れてしまいました。
印刷所に発注するなら70L以上でも問題なく綺麗に印刷してくれますが、自作でコピーするなら広い面積をトーンで塗りつぶす場合は60L以下にした方が良さそうです。
◆肌の影として使った時◆
- 60Lで肌の影にトーンを付けました。
【元データ】
【印刷結果】
広い面を塗り潰した時よりも荒れは目立ちません。が、やはり薄くなるにつれてかすれてしまいます。
◆髪色として使った時◆
- 60Lで髪色を付けました。
【元データ】
【印刷結果】
髪は範囲が広いので、コンビニコピーの場合は数値が高いほどトーンの荒れが目立ってしまうかもしれません。
◆効果のトーン◆
グラデーションやカケアミなど、メディバンペイントに初期から入っているものの中で、よく使う効果トーンを印刷してみました。
【印刷結果】
どれも比較的綺麗に印刷されました!
メディバンには他にもたくさんの種類のトーン素材が収録されていますが、今回基本のカケアミが綺麗に出力されていたので、他のトーンも問題なく印刷できると思います。
いかがでしたか?
今回はメディバンペイントで作ったものが実際どう印刷されるかを検証しました。
コピー機の機種や環境によって違ってくると思いますが、「大体このくらいの濃さならよさそう!」といった目安としてお役に立てれば幸いです。
ぜひ同人誌をはじめ、紙媒体で漫画を発表してみてくださいね〜!!
(絵・文/はらなおこ)
X(Twitter):@nao_comic
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