2023.04.28
「好き」で生きていく|イラストレーター向けのセルフプロデュースについて【後編】
皆さんこんにちは。イラストレーター・作家の星灯れぬです。
前回の「「好き」で生きていく|イラストレーター向けのセルフプロデュースについて【前編】」に続いて、
今回はSNSを活用した具体的なセルフプロデュース術についてご紹介していきたいと思います。
前回の記事をご覧になっていない方はぜひこちらから確認してみてください。
Index
SNSを活用したセルフプロデュース
自分の指標が見えてきたら、いよいよSNSを活用していきます。
一部「SNS戦略」的な話も交じりますが、筆者が実際に使ってみて体験した事を交えながらどのようにセルフプロデュースしていくといいかをお話していきたいと思います。
SNSを知る
● Twitter
● Instagram
● ART street
● Pixiv
● Deviant ART
● Tumblr
● Youtube
● TikTok
上記はイラストレーターを始めとしたプロのクリエイターが作品発表や広報の場として多く活用しているSNSで、全て筆者が実際に利用したことのあるものです。それぞれにメリット・デメリットがありますが、なによりのメリットは「利用ユーザーが多い」こと。
セルフプロデュースを行うにはもってこいの場所です。
利用した所感として、
現状最も絵を見るユーザーが多く仕事に繋がりやすいのは「Twitter」「Instagram」
国内外問わずユーザーが多く、コンテストの機会も多いのは「ART street」「Pixiv」
海外向けコミッションの機会を得やすいのは「Deviant Art」「Tumblr」「Instagram」
という風に感じています。
また、イラストだけでなく30〜60秒程度のメイキング動画なども最近は人気があり、そういった作品でも自己表現をしたい方は「Youtube」「Tiktok」「Instagram」がお勧めです。
SNSの数だけセルフプロデュースの方法は変わってきますが、今回はどのSNSでも共通するコツをいくつかご紹介していきたいと思います。
完成したイラストを乗せる
完成した作品を公開して下さい。
イラストの途中経過やラフ、落書きを見るのが好きという方は多いですが、あまりにもそればかりになってしまうと「この人のちゃんとしたイラストはいつ見れるんだろう…?」と思われてしまいます。
そしてなにより、完成されたイラストを公開することで、他者にしっかりとその作品を見てもらう事ができます。
これがSNSでのセルフプロデュースの第一歩です。
特に活動初期はイラストを丁寧に仕上げ、納得のいく作品を公開する事を心がけましょう。
そして、ここで大事なのは作品を「完璧にする事」ではなく「完成させる事」です。
完璧を求めすぎて絵が完成しないのでは、セルフプロデュースは始まりません。完璧な作品ではなく、今の自分に描ける最高の絵を完成させて、臆せず公開していきましょう。
また、YoutubeやTiktokは一枚絵の展示にはあまり向きませんので、完成したイラストのタイムラプス等をアップしてユーザーにアプローチしてみましょう。
【TIPS】
一次創作で作品を展開していこうと考えている方は、イラストに描かれているキャラクターの設定や説明、あるいはフレーバーテキストも添えるといいでしょう。そうすることで見る側はグッと世界観に引き込まれ、あなたの作品の事をもっと知りたい!と思ってくれるようになります。
コンスタントな更新
作品は出来る限り定期的に更新しましょう。
せっかく素敵な絵を描いても、更新頻度が少ないせいで中々ファンを獲得できないというイラストレーターを非常に多く見かけます。
投稿頻度は多ければ多いほど作品を見てもらえるチャンスが増えます。
また、作品を公開し続ければ「○○の人」の印象もつきやすくなり、覚えてもらいやすくなります。
しかし、投稿頻度を重視するあまり絵のクオリティが下がってしまっては意味がありません。
「質より量」なのか「量より質」なのかはクリエイターの価値観次第ですが、自分の生活と制作ペースを考慮し、無理のない範囲で定期的な投稿を続けましょう。
週に一度でも二週間に一度でも構いませんし、投稿日時を固定しておくのも効果的です。
そうすることで「この日になればあの人の絵が見れる」と覚えてもらえるようになり、作品を見てもらいやすくなるでしょう。
クリエイターと繋がる
クリエイター同士が気軽に繋がり交流できるというのはSNSの醍醐味です。
一見、セルフプロデュースに関係ないのでは?と感じてしまいますが、クリエイター同士の縁を繋ぐのもセルフプロデュースにおいてはとても重要な事です。
なぜなら仕事や実績は「人との縁」があって初めて得られるものだから。
これはどの職種でも同じことが言えると思います。
こうして私が講座記事のお仕事を頂くようになったのも、元々は交流のあったとあるイラストレーターさんからART streetを紹介して頂き、そこで作品を公開し始めたからです。
なんだか営業じみて嫌らしく聞こえるかもしれませんが、自分が誰かに応援されたいのであればまずは自分が誰かを「応援」しましょう。いいねする、リツイートする、一言感想を送るだけでも、それは巡り巡って必ずあなたに良い形で返ってきます。
当然ですが、私利私欲のために社交辞令を送るのは大変失礼な事ですし相手にも伝わります。
交流がどうしても苦手な方は無理にする必要はありません。
励ましあったり助け合う事で、お互いを高めあっていける創作仲間は貴重な存在です。
既にそういった仲間が一人でもいる方は、周りに感謝と愛を送りながらこれからも縁を大切にしていきましょう。
活動拠点を複数もつ
活動拠点を一か所に絞ってセルフプロデュースを行うのは、実はあまり得策ではありません。
作品の公開場所は多ければ多いほど人の目に留まりやすくなりますし、オーディエンスが広がれば広がるほど、その分人との縁やチャンスにも恵まれます。
駆け出しの時はとにかく人目につくことが重要。
また、複数のSNSで活動していると「ここではあまり見てもらえなかった絵が別の場所ではたくさん見てもらえた」という事が起こります。特に、日本人にこの作品はウケなかったけど、海外の人たちには好いてもらえたというパターンはかなり多いと感じます。
つまり、あなたの作品や世界観を受け入れてくれる人は必ずどこかにいるという事。
一か所の反応で自分を測った気にならず、まだあなたの作品を知らない誰かにあなたの作品を届けるために、活動の舞台を広げていきましょう。
イラストコンテスト
イラストコンテストへの参加もセルフプロデュースの一つとして有効です。
PixivやART streetといったサイトでは常にイラストコンテストが開催されています。
コンテストで入賞すればそれが実績になったり、お仕事に繋がったりもします。
最初は「自分の絵なんてまだまだ…」なんて尻込みしてしまうかもしれませんが、受かる受からない関係なしに、コンテストに参加するというだけでも企業やプロの方々に見てもらえる大きなチャンスになります。
後々ご縁を繋げられるきっかけにもなり得るので、コンテストには積極的に参加してみましょう。
また、企業によってはTwitter上でイラストコンテストを開催している場合があります。
どのようなコンテストが開催されているのか、こまめに情報をチェックしておきましょう。
SNS以外のセルフプロデュース
SNSを活用する以外にも、セルフプロデュースをする方法はたくさんあります。
今回はその中から2つをご紹介致します。
ホームページ/ポートフォリオを作る
自分の作品を展示するホームページやポートフォリオを作っておきましょう。
ホームページは、SNSとは別にあなたの世界観を伝える専用のギャラリーとして、
ポートフォリオは、企業やお仕事へ応募する際の作品集として制作しておきます。
筆者の場合はホームページとポートフォリオ兼ねてを設置しており、そこにプロフィールや連絡先、これまでの作品や実績を掲載しています。SNSだけでなく、ホームページから作品を見つけてもらえたり、お仕事の連絡をお誘いを頂けることもあります。
また、それらがあることで「この人はイラストレーターとしてしっかり活動しているんだな」という良い印象を持ってもらう事も出来ます。
ホームページを作成したら、SNSのプロフィールにリンクの記載を忘れずに。
オフラインイベントに参加する
創作活動をしていると「コミケ」や「コミティア」といった言葉を見かける事があると思います。これらは同人即売会と呼ばれ、クリエイターが同人誌やグッズを販売するイベントです。
こういったイベントへの出展をきっかけに商業漫画家になったり、企業に見つけてもらえたというクリエイターを度々見かけます。本やグッズを作るのは、駆け出しの方にとっては少しハードルが高いかもしれませんが、参加するだけでも刺激になり、あなたの世界が変わるはずです!
一次創作をメインに活動されている方は
● コミティア
● デザインフェスタ
● メルメリィマーケット
二次創作をメインに活動されている方は
● コミックマーケット
● コミックシティ
● 特定の作品のオンリーイベント
などのイベントに参加すると良いでしょう。
調べてみるとたくさんのイベントが開催されていますので、是非調べてみてください。
マインドのお話
最後に、フリーランスのクリエイターとしてセルフプロデュースを続けていくために筆者が心がけている事をお話ししようと思います。
ここまでお話ししておいてこんな事を言うのもなんですが、SNSでセルフプロデュースがうまくいくかは正直「運」と「タイミング」だと筆者は感じています。ですが運もタイミングも自分ではコントロールできませんし、いちいちそれらに振り回されていては心が疲れてしまいます。
ではどうするか、答えは「継続」です。
どんなに上手くいかなくても、どんなに周りのすごいクリエイターに圧倒されてしまっても、活動を辞めてしまわないこと。
「継続は力なり」とはよく言ったもので
続けてさえいれば、必ず結果はついてきます。
ファンも応援もつきます。運もタイミングも巡ってきます。
もしも疲れたら一度休んで、また再開すればいいのです。
逆に言えば、すぐに結果が出ないからと辞めてしまえばそこまでです。
仮に一時的にバズったり大勢の評価を得たとしても、たとえ何千何万ものフォロワーやいいね数を獲得していても、手を止めてしまったら意味がないのです。
クリエイターの活動は、どれだけ大きな功績を他より早く残せるかではなく
作品を作り続ける事、発信し続ける事にこそ意味があると思っています。
その行為自体がセルフプロデュースであり、その中で試行錯誤しながら、長い時間をかけて自分をクリエイターとして確立させていく事が大事です。
最後まで作り続けた人が結果的には夢を叶えているのです。
焦らず、応援してくれる人への感謝を忘れず、最高の自分の姿を信じれば、いつのまにかあなたはあなたの思い描いていた理想のクリエイターに一歩ずつ近づいていることでしょう。
いかがでしたでしょうか。
世の中には、たくさんのクリエイターが独自のセルフプロデュース法を紹介して下さっています。
残念ながら「必ず成功する!」という方法は存在しませんが、あなたが自分で納得できたもの、試してみようと思えたものを取り入れ、試行錯誤しながら自分の魅力を世に広めていってください。
自分を信じて活動を続ける事がなによりのセルフプロデュースです。
全てのクリエイターの皆様が、最高のクリエイターライフを送れますように!
著・絵:星灯れぬ
Mail:[email protected]
twitter: https://twitter.com/Caphricina02
https://lenulenushi.wixsite.com/fesria
ART street
作品はこちら: https://medibang.com/u/Caphricina/
インタビューはこちら: https://medibang.com/page/interview/Lenu/
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