2023.06.21
【初心者向け】イラストの影の付け方!練習&時短に!イラストの影付けをレイヤー1つでやる方法!
イラストを描くうえで避けては通れない「影」。
「暗くなる部分に影を付ければいいんでしょ?」となんとなく頭では理解していても、いざ描こうとするとどうしたらいいか分からなくなったり、頑張ったのに仕上がりが微妙になってしまったりしてしまう方も多いのではないでしょうか。
ほかにも、「全体的にまとまりがなくなってしまう……」「影を付けたはずなのに立体的に見えない……」など、ビギナーさんにとって「影」は難敵といえます。
そこで今回は、初心者向けにイラストの影の付け方を解説!
影の付け方・描き方にはいろいろな方法がありますが、この記事ではイラスト全体に一気に影を付けるやり方を紹介します。
影付けの感覚を身に付ける練習になる&慣れれば時短にもなる方法なので、影付けに自信のないビギナーさんは、ぜひ一度試してみてください!
Index
なぜ影の付け方を難しいと感じるのか?
そもそも、どうしてイラストの影付けを難しいと感じるのでしょうか?理由が分かれば、対策もできるようになります。はじめに、オーソドックスな影付けのやり方とビギナーさんの問題点をみていきましょう。
ビギナーさんがイラストの影の付け方で最初に取り入れる方法には、以下のようなやり方が多いのではないでしょうか。
- 下塗りをする
- 下塗りの上に影のレイヤーを作る
- 下塗りの色より少し暗い色を選んでレイヤーブレンド「通常」の状態で影を塗る
上記の方法は、イラストの影の付け方として間違いではありません。
この方法の良い点は、「肌」「髪」「服のシワ」……など、パーツごとに一ヶ所一ヶ所塗っていくため、細かく影を入れられる点です。
一方で、一つひとつ拡大して細かく影を塗っていかなくてはならないため、絵全体の光の当たり方の雰囲気を掴みにくいのが難しいところです。そのため、出来上がりが迫力に欠けていたり、全体的なまとまりがなくなってしまったりする傾向にあります。
また、影の色選びも分かりにくいため「どのくらい暗くすればいいんだ?」と迷ってしまって時間がかかり、影付けが負担にもなってしまいます。
これらが一般的に影の付け方が難しいと考えられている要因でしょう。
【初心者向け】おすすめの影の付け方を解説
イラストの影の付け方として初心者におすすめしたいのが、スバリ、「影だけをグレーで塗り、最後にレイヤーブレンド「乗算」で合体する方法」です!どういった方法なのか、詳しくみていきましょう。
1.線画を用意し、下塗りまでする
まずは、イラストの線画を用意し、影を付ける前にある程度色の下塗りをしていきます。
下塗りとは、絵を描く時の下地に当たるものです。影を付けたり、書き込みをしたりする前に、土台となる色を塗っておく工程です。
下塗りをする際は、線画とは別に下塗り用のレイヤーを新しく作成します。キャラクターの目の中や涙袋の影、女性の化粧など、影ではないけれど描き込みが必要な部分については、下塗りの時点である程度の色を付けておいてください。
下塗り用のレイヤーは、「肌」「髪」「服」などパーツごとのレイヤーにしておくと、もし失敗した場合でもやり直すのが楽になります。
また、下塗りレイヤーを同じフォルダにまとめて入れておくと、あとから場所が分からなくなったりせずに便利です。
2.影用の新しいレイヤーを作り、下塗りを非表示にする
下塗りレイヤーの入ったフォルダの上に新しいレイヤーを追加し、「影」と名前を付けてください。
続いて、下塗りのフォルダを非表示にしましょう。色が消えて、下塗り前と同じように、線画だけが表示されている状態になったらOKです。
3.グレーで影だけを付けていく
次はいよいよ影付けに入ります。まずは、グレーを使ってベースとなる影を付けていく作業です。
一旦下塗りのことは忘れ、白黒のイラストを描くつもりでグレーを使って影を付けていきましょう!このやり方を使う一番のメリットは、配色を一切考えなくて良いため、影付けだけに集中できる点です。
グレーの濃淡で影の濃い⇄薄いを表現し、影を付けたくない部分は何も描かず白のまま残しておきます。
ブラシは好みのものを使ってOKです。ただ、あまりにぼやけた影だと、あとから下塗りと合体させた際に、ぼんやりとした絵になってしまう可能性があります。たとえば、エアブラシだけで塗るのは避けた方が無難でしょう。
上記の絵の例では、メディバンペイントに初期から入っている【ペン、水彩、アクリル】を中心に使って影を付けています。
光と影の関係、光源についてなど、影付けについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。
▼立体感アップ!光と影の付け方
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-add-light-and-shadow/
個人的おすすめテクニック!「影を描く」のではなく「光を削る」
ここでイラストの影の付け方で使えるおすすめのテクニックを1つ紹介します!影付けのやり方は人それぞれですが、私が個人的におすすめしたいのは「影の部分をグレーで塗っていく」のではなく、「光っている部分を消しゴムで削る」やり方です。
とくにビギナーの方にとって、「イラストのどこに影を付けるべきか」は難しいポイントです。
イラストの影の付け方では、どこから光が当たっているかを示す「光源」が大切です。しかし、光源を理解していても、いざまっさらな状態で影を描こうとすると、どうしたらいいか分からなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
そういった際は、一度イラスト全体をグレーで塗り潰してから、光が当たっているなと思う部分だけを消しゴムで消しましょう。このやり方ならビギナーさんでも直感的に作業がしやすく、普通に描いた場合と比べて影を意識的に大きく残せます。なにより、なんだか急に影付けがうまくなったような気分になれるので、やっていて楽しいですよ!
最後に、細かい所を整えたり、首や服のシワなどもっと濃い影を入れたい箇所に加筆したりしていきます。
↑こんな感じになりました!
「イラストのどこに影を付ければいいのか、いつも迷ってしまう……」という方は、ぜひ一度試してみてください。
4.完成した影を「乗算」モードに変更する
イラスト全体に影を付け終わったら、さきほど消した下塗りの色を再び表示します。
次に、影レイヤーのブレンドを「乗算」モードへと変更します。
すると、消えていた下塗りの色が現れて、一気に色と影の付いたイラストになりました!
5.色味の調整・影を整える
最後に、色と影の調整を行います。
上のイラストは、影の形をいい感じに付けられているものの、グレーで描いているため、色がくすんでしまっています。そこで、肌や髪などくすみが気になる箇所を明るくしていきましょう。
まずは、影のレイヤーを「透明度を保護」にしてください。こうしておくと、色がはみ出さなくなります。
続いて、明るくしたい部分にエアブラシで色を乗せていきましょう。肌の場合、下塗りの肌色をスポイトで取ってもいいですし、近しい赤〜オレンジっぽい色を乗せていってもOKです。この辺りは、個人の好みもあるため、仕上がりを見ながら調整していきましょう。
同じように、髪や服など、くすみが気になる箇所があれば、下塗りと近い色をエアブラシで乗せていきます。
↑左が手を加える前、右が色を乗せた後です。だいぶくすみが解消されました。
影のレイヤーだけ表示した場合は、こんな感じです。あとは、仕上げに影を付け加えたり、形を整えたり、最後の調整をします。
完成しました!
イラストに影を付け足すと、ぐっと臨場感を演出することができますね!
【応用編】乗せる影はグレー以外の色で作ってもOK!
ここからは、応用を少しご紹介します。
今回は、グレーで影を作るやり方を紹介しましたが、乗せる影は他の色でもかまいません。
好きな色で影を作ってみるのも、また違った味わいになって良いでしょう。
上の例は、さきほどの絵に、グレーではなく紫で影を作って乗せています。こちらの方が、室内の暗い感じがしたり、夜などの遅い時間帯のように見えたりするのではないでしょうか。
このように、イラストは影付けひとつで、さまざまなシチュエーションを表現できるのです!
イラストの影の付け方は奥が深く、個人の好みなどもあるため、いろいろなやり方を試してみてください!
まとめ
今回は、初心者向けにレイヤー1つで行うイラストの影の付け方を紹介しました。もう1度、全体の流れをおさらいすると、次のとおりです。
- はじめにイラストに下塗りをしておく。
- 下塗りの色を消して影付け用レイヤーで影を描いていく。
- 全体に影を付けてから、光の当たる場所を消しゴムで消していくとやりやすい。
- 影レイヤーを「乗算」にして、全体の調整を行う。
レイヤー1つで影を付ける方法のメリットは、なんといっても「影だけに集中できること」「全体の影の形を掴みやすいこと」です。
今回のやり方で影付けの感覚を磨いていけば、他の描き方に戻った場合でも、自分の影付けレベルが上がったことを実感できるでしょう。白黒でまず影を作る練習方法は、「とにかく影が苦手!」という方に、効果的でおすすめです。
イラストの影の付け方を練習する際の選択肢として、ぜひ一度試してみてくださいね!
また、影の付け方といえば、シャツのシワを影で表現するのも難しいポイントですよね。シャツの影やシワの付け方については以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
▼真似してカンタン!シャツの影(シワ)の塗り方
https://medibangpaint.com/use/2023/02/shirt-shadow/
(絵・文/はらなおこ)
twitter:@nao_comic
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