2023.09.25
三ツ川ミツイラストメイキング4 | 本作業①下描き/線画/下塗り
カラーラフで完成形を決めましたので、清書ではその形に向かって整えることに集中します。
本作業(清書)の1つ目の工程では、“キャラの下描き/線画/下塗り”を行います。
ここまでの工程の記事はこちら
三ツ川ミツイラストメイキング1 | 下準備① 全体の工程とカラーラフ
三ツ川ミツイラストメイキング2 | 下準備②ライティングを決める
三ツ川ミツイラストメイキング3 | 下準備③全体の雰囲気を決める
Index
【工程2】清書(線画~色塗り)
全体の4工程のうち2番目です。
カラーラフで作った各レイヤーを整える形で清書していきます。
清書の流れはこのようにしています。このページでは清書3.の下塗りまでを記載します。
清書1. ラフからまず下描きを描く
清書2. 下描きを元に線画を描く
清書3. 固有色で下塗りをする
清書4. ラフで作ったレイヤーを整える形で色を塗る
清書5. 線画の色トレス
清書6. キャラ以外の背景や前景も同じように清書する
清書7. ラフで作った調整レイヤーをのせる
説明の量は多くなりますが、カラーラフで先にレイヤーの構成を決めているので、実際はあまり悩まずに進めることができます。
清書1.ラフから下描きを描く
このような下描きを描いていきます。
ラフよりは丁寧で、清書よりは気軽な線画です。
ざっくり描いた粗いラフを下敷きにして、いきなり綺麗に線画を描こうとすると、どこに線を引けばいいのかわからず時間がかかってしまいます。
そのため、まずラフよりも整った下描きを描き、綺麗な線画を引く準備をします。
カラーラフの全体をフォルダに入れ、不透明度を下げました。
背景もすべてフォルダに入れて非表示にしています。
ラフよりも上に新規で、下描きを描くレイヤーを作ります。
上のメニューから[表示]→[透明背景]のチェックを外しておくと、背景が白一色になり見やすいです。
ここは描きやすいブラシであればなんでも大丈夫です。
ラフの時点では、全体のバランスや配置をよく確認するために、画面を縮小して太いペンで描いていました。
今は細部を描き込んでいく段階なので、拡大して細いペンではっきり描いていきます。
手ぶれ補正は10くらいにしています。
手ぶれ補正の数値が低いほど、手を動かしてからのレスポンスが速いため素早く描けます。
手ぶれ補正の数値が高いとゆっくりですが、なめらかに描くことができます。
下描きはまだ完全な清書ではないので、手をのびのびと動かして描けるように10にしています。
下敷きにしているラフと何度も見比べます。
ラフと比べて可愛くなっているか、いきいきした感じが消えていないか気を付けます。
形を綺麗に描くことに意識が向いていると、いきいきとした雰囲気が消えてしまいやすくなります。
表情に感情が無くならないように気を付けています。
下描きの時も、パーツごとにレイヤーを分けて描いていきます。
特に背後にある羽根や、髪の毛、顔にかかる前髪などです。
レイヤーを分けておけば、重なった線を消したり非表示にするのが楽になります。
ラフの時にあいまいに描いていた袖や小物の形も決めます。
ここで決めておかないと清書で迷ってしまうので、形がいい加減にならないように資料を参考にします。
自分の手の写真を撮って参考にしたり、制服のリボンの形を本で調べたりしました。
足元のポーズも考え直しています。
清書2.下描きを元に線画を描く
線画の出来上がりがこちらです。
ここからが清書の本番となります。
まず、先ほど描いた下描きレイヤーの不透明度を下げます。
その上に、新規で線画レイヤーとフォルダを作成します。
線画レイヤーのブレンドはすべて「通常」です。
色は黒で、線画を描きます。
ブラシツールの標準の「ペン」で描いています。
太さはお好みによりますが、画面全体を見たときに線画が細すぎるとイラスト自体の印象が弱まってしまうため、細すぎないように気を付けます。
細かいところは2.5~3.5pxくらい、しっかりと線を描くところでは4~5px前後が多いです。
服のしわやシャツの縫い目など、太い線でなくてもいい部分には細いペンを使います。
ここではなめらかな線を引くため、手ぶれ補正は20~30にしています。
線をぶれずに引けることと、手を動かした後のレスポンスが遅くなりすぎないこと、この2つを両立できる数値を選びます。
顔を先に描きます。瞳の色は仮置きでグレーを入れておきます。
先に表情がわかる状態にしておくと、表情に合う線画の雰囲気を意識しやすくなります。
このイラストの場合、元気な表情に合わせて髪の毛や手に勢いを出したいと思いました。
目の作画は最後まで迷いやすいので、まつげ・瞳・ハイライトをそれぞれレイヤー分けしておくと、後で修正しやすく便利です。
頬の赤みの斜線もレイヤー分けしておきます。
【大事なこと】
カラーラフを何度も表示して、表情の雰囲気が再現できているか、ラフ以上に可愛くなっているかを確認します。
線画の時は丁寧に線を描くことに意識が向くため、表情や顔の可愛さがカラーラフの時と変わってしまうことがよくあります。
カラーラフと見比べて、ラフと同じかそれ以上になるように気を付けています。
描きやすい順番で清書していきます。
背中の羽根はこの時まだ配置を変える可能性があったので、レイヤー分けをして線画を途切れさせずに描いておきました。
線画が出来ました。下描きレイヤーはフォルダごと削除してしまっても大丈夫です。
無くなってしまうのがもったいない時は、下描きレイヤーだけのデータを別ファイルとして残しておくこともあります。
線画のレイヤーはこれぐらいに分けておきます。
前後に重なっているパーツの位置を調整したい時に、レイヤーが分かれているとやりやすいです。
また、線画の色トレス(線画の色を変えること)をする際にも、レイヤーが分かれているほうが便利です。
作画の崩れについては、線画の時点ではまだわかりにくく、色を塗ってから初めてバランスの悪さに気づく場合があります。
ですので、ここではまだ完璧を目指さずに次に行きます。
清書3.固有色で下塗りをする
固有色で下塗りをした状態です。
線画フォルダの下に新規レイヤーを作り、1枚のレイヤーにバケツツールで色を流し込んでいきます。
白い色のパーツ(羽根など)が塗れているかわかりやすいように、仮置きでグレー背景レイヤーを下に敷きます。
バケツツールの設定はこのようにします。
参照を「キャンバス」にしてください。
キャンバスに表示されている線画レイヤーも参照して色を流し込んでくれるので、線画通りに塗りつぶせます。
「拡張」1は、バケツツールが色を流し込む際に、線画に触れる範囲からさらに1px拡張して塗ってくれるということなので、線画と塗りの間に隙間が出来ずに済みます。
線に途切れた隙間があってバケツツールでの塗りがはみ出てしまう場合は、「隙間閉じ」の数値を上げてください。
もしくはペンで線画の隙間をふさいでください。
すでにカラーラフの時に固有色を決めているので、このラフの下塗りレイヤーから色をスポイトツールで拾って、清書の下塗りに使います。
この作業の間だけレイヤーをコピーし、縮小して近くに置いておきました。
全体の色のバランスも見ながら、小物の色味も決めて下塗りを終えます。
ここで色を塗ったことで、形のバランスの悪さに気づくことがあります。
キャラのシルエットをよく見て、気づいたところは線画も含めて修正します。
ここまででキャラの塗りの下地ができました。
次は塗っていきますが、カラーラフの時にレイヤーの構成を決めているので、その通りに重ねていくだけです。
それぞれのレイヤーの塗りのポイントを、細かくご説明していきます。
→次回は「本作業②着色①」に続きます。
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