2024.04.26
革靴の描き方の基礎から応用編!長さの比率を意識して自然に描くコツ
ビジネスマンやスーツを着たキャラクターのイラストを描く際に、意外と難しいのが革靴の描き方です。
スーツに合う革靴のイラストを描いたつもりなのに、運動靴やスニーカーのように見えてしまったという方も多いのではないでしょうか。
革靴はかっちりした印象のデザインが多く、用途によってデザインの決まりもあるため、イラストに描く際にもある程度の知識が必要です。
今回は、実例を元に革靴の描き方の基礎から応用編までを解説していきます!
Index
革靴の描き方の基礎
革靴には様々なデザインのアイテムがありますが、今回はトラディショナルなデザインでもある「ストレートチップ」の革靴の描き方を実例で解説します。
捨て寸を意識してボディ部分を描く
革靴には、つま先に「捨て寸」と呼ばれるゆとりがあるデザインのものが多く、捨て寸を意識して描かなければ足の大きさに対して革靴のサイズが不自然になってしまいます。
足のラフを先に描き、足のサイズを元に革靴のボディ部分を描いていきます。
足のつま先から甲にかけての長さを4等分して、1/4分の長さをつま先に足したくらいの長さで描けば、捨て寸のある革靴のサイズを自然に描くことができます。
足の甲の部分は足にフィットしますが、つま先の部分は捨て寸があるのでゆったりしたシルエットになる点に注意して描きましょう。
靴底とヒールを描く
続いて、靴底とヒールを描きます。
ボディとソール部は素材が異なりますので、着彩の際には素材の違いによる塗り分けを意識しましょう。また、ヒールをあまり高く描き過ぎてしまうと厚底ブーツのようになってしまいますので注意が必要です。
ディテールを描き込む
ボディと靴底が描けたら、ディテールを描き込んでいきます。
ストレートチップの革靴には、ボディの中央あたりにバンプ(爪先革)と呼ばれる部品があります。まずは、バンプから描いていきましょう。
次に装飾部分を描きます。
足の甲からつま先までを5等分した上から2/5の点と、ヒールの部分を3等分した右から2/3の点をS字状の曲線で結びます。
続いて、つま先を覆うトゥキャップを描いていきます。
足の甲からつま先までを5等分して、下から2/5の点から足先を覆うように曲線を描きます。
バンプの曲線の上に「羽根」と呼ばれる靴紐を通す穴のある部分を描きます。
最後に、靴紐や縫い目などのディテールを部分を描き込んで完成です。
別のアングルから見た革靴
ここでは、別アングルでの革靴を描く際のポイントを解説します。
革靴を描く際にはつま先が少し反っている点を意識するようにしましょう。
下からのアングルで描く場合は、上向きにかかとが少し反るように描くとよいでしょう。
正面からのアングルでは、反りの分だけ靴底が見えるように描きます。
革靴の様々なデザインを紹介
革靴には、用途やTPOに合わせて、様々なデザインがあります。
ここでは、代表的な革靴のデザインを紹介しますので、イラストのバリエーションに覚えておきましょう。
プレーン
プレーン、プレーントゥとも呼ばれるオーソドックスな革靴です。
つま先とボディが一体になっているシンプルなデザインなのでフォーマル、ビジネスのどちらのシーンでも使える汎用性の高さが魅力です。
ストレートチップ
ストレートチップは、つま先部分に真一文字のトゥキャップの切り返しのあるデザインです。
革靴の中でも格式の高いデザインですので、フォーマルな冠婚葬祭などに利用される機会が多くなっています。また、ビジネスファッションにも選ばれることの多いデザインです。
ウィングチップ
トゥキャップの切り替えがW字型になっている、最も装飾的なデザインの革靴がウィングチップです。
カジュアル寄りのデザインではありますが、ビジネスシーンでも違和感はありません。トゥキャップに華やかな装飾が施されたアイテムもあり、個性を出したい方におすすめの革靴ですね。
ユーチップ
ユーチップは、その名のとおりトゥキャップにU字型の切り替えが入っている革靴です。
カジュアルなデザインですので、ビジネスシーンで使われることは少ないですが、おしゃれ上級者はあえてフォーマルやビジネススタイルの“ハズし”アイテムとしてユーチップの靴をチョイスする方もいます。
モンクストラップ
モンクストラップは、靴紐の代わりに甲革をベルトで止めているデザインです。
カジュアルなアイテムですがビジネスシーンでも使用でき、カジュアルなパーティなどにも似合います。ただし、フォーマルな場にはあまり適しているとは言えません。
応用編
応用編では、革靴を履いたビジネスパーソンのイラストを描いていきましょう。
実例では、こちらのラフを元にイラストを描いていきます。
靴以外の部分を描く
まず、革靴以外の部分を描きましょう。
革靴以外の部分でバランスが取れるように線画に起こします。この際、靴の形のラフと他の部分がズレても気にする必要はありません。
革靴のボディ部分を描く
ラフで大まかに靴の形は描いていますが、靴の角度や形を正確に書くためにまず足のラフを描きます。
革靴を描く際には、足のラフの長さが基準となりますので、丁寧にラフを描くようにしましょう。
足のラフが描けたら、革靴のボディ部分を描いていきます。
足の甲からつま先の長さを4等分して、1/4分をつま先に付け足した長さが革靴のサイズとなります。
靴底やディテールを描き込んでいく
靴底とヒールを描き、続いてディテールを描き込んでいきます。
ボディ部分を描く際に使ったあたりはそのまま使用します。
ヒールを3等分するあたりを描き足し、革靴の構成部品のあたりとなる曲線を描きます。
あたりを元に羽根とトゥキャップの切り替えしを描いていきます。靴の真ん中のラインを引くとバランスが取りやすいですね。
最後に靴紐や縫い目などを書き込んで完成です。
着彩してイラストを仕上げる
着彩をし、背景を描いたらイラストの完成です。
革靴の似合うビジネスパーソンが描けましたね!
革靴をうまく描くためのポイント
より上手に革靴のイラストを描くためには、革の質感を意識して塗るのがポイントとなります。
とくに、黒の革靴にはテカりがあるため、靴への写り込みや反射光を意識して、黒光りする革の質感を表現するのがコツです。ハイライトを意識して、革の光沢感を表現しましょう。
素材の質感を意識した塗り方については、こちらでも詳しく解説しています。
質感のあるリボンの描き方
また、革靴を構成する部品を知っておくことで、革靴のフォルムをより深く理解することに繋がります。
今回、実例で描いたストレートチップの革靴の構成部品は次のとおりです。
ボックストゥ | つま先部分の芯材 |
トゥキャップ | つま先を覆う装飾 |
バンプ | 甲からつま先を覆う部品 |
レース | 靴紐 |
アイレット | 靴紐を通す穴に付く金具 |
タン | 甲の中央部に付く泥除け |
クォーターライニング | かかと部の裏側に貼られる素材 |
クォーター | ボディのサイド部からかかとを覆う素材 |
カウンター | かかと部の形状を維持するための芯材 |
中敷き | 靴の中に敷かれる部品 |
シャンク | 土踏まずのアーチを作る素材 |
アウトソール | 靴底 |
イラストでは、1つ1つの部品を別々に描く必要はありませんが、構造を理解することはリアリティのあるイラストに繋がりますね!
まとめ
足の長さと靴との比率を意識すれば革靴のフォルムを自然に描くことができます。
長さを等分してあたりを描くのは手間に感じてしまうかも知れませんが、正確にデッサンをおこなうために長さの補助線を付けるのが基本の描き方です。
また、革靴をより上手に描きたい場合は、フォルムの描き方だけではなく、質感を意識した塗り方にも挑戦してみましょう。
TPOに合わせた様々な種類の革靴の描き方をマスターして、キャラクターをおしゃれに仕上げてあげてくださいね!
(文・絵/SUB)
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