2023.09.06
【初心者向け】どんどん真似して!初心者でもできる漫画の構図・配置アイデア♪
漫画を描くのって難しい…!
漫画を仕事にしている私ですらそう思います!
毎回「どうコマ割りをしよう?」「どう演出しよう?」と悩みながら格闘しています。
1枚で完結するイラストと違って、漫画はコマ割りをしたり構図を考えたりとやることが多く、ハードルが高いですよね。
今回は、漫画に描き慣れていない人のために、漫画の構図や演出のアイデア集として様々な実例をご紹介したいと思います。
初心者の方にもわかりやすいよう、難しい構図や演出ではなく、シンプルなものを中心にまとめました。どんどん真似して取り入れていってくださいね♪
Index
①顔漫画でも大丈夫!顔のバリエーションを増やそう
「顔漫画」という言葉を聞いたことがありますか?
同じような顔のアップのコマが続き、メリハリの無い作品に対して、あまりよくないニュアンスで使われることが多いです。
しかし、漫画の主役はやはり登場人物たちなので、人間の顔のコマが続くのは当たり前です。悪いことではありません!
顔の大きさや角度、切り方などを少し変えるだけで、顔のコマが続いたとしてもメリハリがつきます。演出によってはそのコマの持つ意味合いまで変わってきます。
顔を配置する際のパターンをいくつかご紹介します。物語の展開や表現したい心情によって使い分けてみてください。
基本のアップ
・表情をよく見せたい時に
・印象が強く決めゴマなどにおすすめです
・正面顔だけではなく、顔の角度も色々変えてみよう
正面を見据えるほど意思が強い印象に。目をそらしたり角度がつくとまた違った心情を表すことができます。
バストアップ
・手や体のひねりなども加えて状況を伝えやすい
・基本のアップに比べると落ち着いた印象なので、説明パートなどと相性が良いです
目元だけのアップ
・言葉ではなく目力で強い感情を伝えます
・セリフをあまり入れない方が効果的(個人的にはセリフ無しでよく使います)
頭〜鼻までで口を入れないアップ
・回想している場面で効果的
・口を描かないことで「今、頭で考えている」ということを端的に伝えられます
口だけのアップ
・口元の感情表現を見せたい時や、何か重要な単語を言わせる時など
・目で意思が伝えられない分、ちょっと含みのある場面で効果的です
後ろ向き
・読者に表情を想像させることができます
+α:手の動きを描く
・手を入れると画面に動きが出るため単調になりにくく、情報量が増えます
・手が描ける人は積極的に入れてみよう
②会話の場面は動画を撮っている気分で構図を考えよう!
初心者の方が漫画を描く際、「会話の場面が単調になる」というお悩みをよく聞きます。
確かに、会話している人の顔のアップばかりが続くとメリハリが無くなってしまいますよね。
そんな時は、①で紹介した顔の見せ方のバリエーションを取り入れることに加えて、カメラのアングルを変えてみましょう!
例えば2人で会話をしているシーンがあるとします。あなたはドラマを撮るカメラマンになりきってみましょう!
その2人の会話を自分が動画で撮影しているつもりになって構図を考えてみましょう。
1人ずつの顔のアップ
向かい合わせに対峙する
背中ごしに一方を映す
ちょっと引いて全体を映す
今ちょっと考えただけでもこれだけバリエーションがありました。会話をしているシーンだからといって、ずっと喋っている顔を映さなければならないわけではありません。
淡々とした会話でも、これらのようにアングルを次々に変化させていくと、単調にならず読者も飽きずに読むことができます。
さらに、「アオリ」「フカン」といった、角度をつけた絵が描ける人は、これらのアングルにアオリの要素、フカンの要素を加えると、一気にバリエーションが増えます。
初心者の方には少し難しいかもしれませんが、画力アップに欠かせない技術なので、ぜひアオリとフカンについても勉強してみてください!
③「描かない」コマがあっても良い!
初心者の方がよく陥りやすいのが、「全部のコマに絵を描かなきゃ!」「人を必ず描かなきゃ!」という思い込みです。実はそんなことはありません!
たくさんの描き込みがされたコマがずっと続くと、読者は疲れてしまいますし、どこが大事な場面なのか肝心な部分が伝わらなくなってしまいます。
あえて描かない、というのは結構勇気がいることなのですが、この漫画は読みやすいな!と感じる漫画は、描かないことで生まれる「緩急」や「余白」を上手く使っています。引き算も時には大切です。
背景のみを描く
・会話シーンの合間に差し込んだり、シーンの切り替わりで周囲の状況を説明する時に使ったりすると効果的
こちらのシーンを見てください。
2人の人物が会話をしていますが、絵はずっと背景のままです。
人は一切描かれていないのに、演出として成立しています。姿が見えていない分、読者に色々なことを想像させることができます。
「どんな表情をしているんだろう?」と読者の想像にあえて任せるのもテクニックです。
手や足など体の一部のみを描く
・説明のセリフが長い時などに、合間にこういう絵を挟むと緩急がつく
・握りこぶしなど、手の動きそのものにフォーカスしたい時も◎
トーンや加工のみのコマにする
・トーンで効果をつけたり、グレーで塗っただけのコマをはさむ
一見寂しいように思えるが、シーンとシーンの間の緩急としてとても優秀
絵が無いぶんセリフが際立つので、大事なセリフの場面でも有効です!
何も描かない!
・真っ白のコマも使い道は多い!
・複数並べて時間の経過を表したり、強調したいコマの前に余白として挟んだり、なんだかごちゃついているなと感じた時は白紙のコマをはさむとバランスが取れます。
④ここぞという時に使いたい配置
何度も何度も出てくるとちょっとくどいけれど、ここぞという時にピンポイントで使える人物配置、構図を紹介します。作品の肝となる部分やマンネリ打破に取り入れてみてください。
全身ぶち抜き配置
・コマの上に被るように人物を大きく全身(またはバストアップ)で配置
・その人物の初登場時や必殺技など特別強調したい時に有効です。
一部だけコマからはみ出し配置
・からだの一部や持っているものなどをちょっとだけコマからはみ出して配置する
全身ぶち抜きほどではないが、ほんの少しはみ出すだけでその物が大きく強調される
あえてコマを小さく描くのもおすすめです。
おまけ:映像作品から構図のヒントを得よう!
漫画は静止画ですが、日本の漫画の主流な演出の方法は絵画やイラストよりもむしろアニメや映画やドラマといった映像作品に近いです。
カメラワークや人物の配置など、映像作品から漫画のヒントをたくさん得ることができます。
私もよくやるのですが、好きなアニメやドラマや映画を見ていて、「この構図いいな!」とか「印象に残るなあ」という場面があったら、一時停止して、簡単にその構図の絵をノートに描いてストックしています。いざ漫画を描く時に構図に煮詰まったらこのノートからアイデアを引っ張ってきます。
映画やドラマ、ミュージックビデオなど、好きな作品の「構図」に一度着目して観てみてはいかがでしょうか?
きっと自分の引き出しが増えると思いますよ♪
今回は初心者の方でも真似できる漫画の構図・配置アイデアをご紹介しました。
同じ物語でも、構図や構成でまったく違うクオリティの漫画になります。そこが漫画の面白いところです!自分が一生懸命考えたシナリオを最大限生かすためにも、色々な表現方法を取り入れて、世界にひとつだけの素敵な作品を作ってくださいね!
☆初心者向け漫画制作のヒントはこちらの記事でも紹介しています♪
【初心者向け】広告漫画家が伝授!読みやすい漫画にするための7つのコツ
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漫画のコマ割り講座【基本編】
https://medibangpaint.com/use/2020/11/how-to-arrange-panels-1-basics/
(絵・文/はらなおこ)
twitter:@nao_comic
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