2024.02.09
【超初心者向け】絵がダサい…を改善!「ぼかし」との上手な付き合い方!
みなさんはイラストの色塗りってどうやっていますか?
ひとことでイラストの塗り方!と言っても、アニメ塗り・水彩風・厚塗り・色々な方法をミックスした自分流の塗り方など、人の数だけ塗り方がありますよね。
色塗りは時間がかかり大変ですが一番楽しい工程でもあります。
まずは自分の好きな塗り方でやってみるのが一番です。しかし、仕上がった作品を見て「なんかダサいな…」と思ったことはありませんか?
初心者の方がそう感じてしまう原因のひとつに、「ぼかし」の使い方の問題があります。
自分も絵を描き始めの頃はそうでしたが、色がぼけたような表現をすると、絵が上手く見えるような気がする(気がするんです…)ので、初心者の方は特にこのぼかしを多用しがちです。
・自分の塗り方がなんかダサい、垢抜けない、芋っぽく感じてしまう
・塗った色が汚い
・どこをぼかせばいいのかわからない
こういったお悩みを抱えている初心者の方のために、「ぼかし」との上手な付き合い方を解説します。参考になれば嬉しいです!
Index
◆塗りがなんだかダサい問題
こちらの絵を見てください。
SNSやお絵かき投稿サイトでよく見聞きする、いわゆる初心者の方がやりがちな塗り方を集めて再現し塗ってみました。
線画はいたって普通です。しかし色が加わるとなんだか垢抜けなさを感じませんか…?
色塗りが微妙な原因は、
・ぼかしのやり方が間違っている
・ぼかしを多用しすぎている
・ぼかすところとぼかさないところのメリハリがない
・全体を同じブラシで塗っている
このあたりかなと感じます。ひとつひとつどう改善していけばいいか考えていきましょう。
◆ぼかしは「塗る」のではなく「削る」「のばす」!
色をぼかしたい時にどうやって塗っていますか?
ぼかした感じを、「塗り」の工程だけで表現しようとしていませんか?
「ぼかした感じを出したいなら、エアブラシなどのふわっとしたブラシを使えばいいんじゃない?」と考えがちですが、それだけだと色ムラや汚さの原因になってしまいます。
例として、メディバンに入っている水彩(ウエット)、エアブラシの2種類のブラシで線を引いてみました。このように、ぼやけた感じが出せるブラシは、ふんわりしたいい感じの描き味で塗りやすい一方で、重ねると色のムラが起きる、全体がぼやっとしすぎているという性質があります。
ぼかしたい!という気持ちのあまりこれで全体を塗ってしまうから、絵が汚く感じたり、メリハリがなくなってしまうのです。
特にエアブラシは、色ムラや塗り残しが発生するので、塗りのメインで使うのにはあまり適していません。
ぼかしは「塗る」工程だけで描くのではなく、「塗ったものを削る・伸ばす」がおすすめです!
◆実際に練習してみよう
感覚を掴むために、まずは練習してみましょう。
①ペンツールなどのぼやけの少ないブラシを使い、影の形のベースを描きます。
練習なので形はなんでもかまいません。
②①のレイヤーを「透明度を保護」します。
③ぼかしに使うブラシを選びます。エアブラシ+メディバンペイントには「ぼかし」「ぼかし(ソフト)」といったぼかしに使いやすいブラシがあるので、その2つを組み合わせるのがおすすめです。
他にも、ブラシによってそれそれ描き味が違うので、色々試してみて自分好みのぼかし具合が出るブラシを探してみてください。
そして、カラーパレットから「透明色」または「元の絵の色の薄い色(元が紫ならうすむらさき)」を選びます。
④最初に描いた楕円の上から、③で選んだブラシ・色を乗せます。
「塗ったものを透明色で削る」感覚です。
まずはじめに、ぼかしたい方向に大きくエアブラシで透明色を乗せます。
そのあと、ぼかしのブラシをさっと乗せ、輪郭や色の境界をぼかしていきます。
ポイントは、色々な方向から筆を入れるのではなく、左⇄右、上⇄下など一定の方向で少しずつ入れることです。
こうすることで、自然なぼかしとグラデーションが生まれます。
例えばこの楕円を服のシワに見立てた場合、シワの折れている部分に濃い色で影を付け加えてあげるとよりそれっぽく仕上がります。
このように基本の影のぼかし方を覚えると、服や体などさまざまなところに応用出来るようになりますよ!
◆ぼかしは多用しすぎない!メリハリが大切!
全部の影をぼかせばいいのか?というとそういうわけではありません。
自分の顔や体、身の回りの小物などなんでもいいので観察してみてください。
実際の影はどういう風についていますか?光の当たり方の強さにもよりますが、想像以上にくっきりしていませんか?影の境界は意外とぼやけていないのです。
具体的に言うと、
・物体のすぐ下(接地面に近い)影ははっきり出る
・物体から離れるほど影は薄くぼやける
例えば、首の真下の影、ここは首のすぐ下なのではっきりとした影が出ます。
その他にも、ふとももにかかるスカートの影だったら、スカートの裾のすぐ下ははっきりとした影が出ます。
本来なら濃くはっきりした影が出る部分もぼやけたブラシで塗ってしまうと、メリハリのない絵になってしまいます。
「いや!アニメ塗りのようなはっきりしすぎた塗り方はいやなの!だから影は全体的にぼかしたい!」と思う方もいるかもしれません。
しかし、人気のイラストレーターさんの絵や人気のソシャゲ絵を観察してみると、一見柔らかい仕上がりに見えても、影は部分的にアニメ塗りのレベルではっきり入れていると思います。
あえて狙ってやわらかい水彩画のような表現をする時は別ですが、いわゆる良く見かけるアニメ調・ソシャゲ調のファンアート的な塗り方にしたいなら、影のメリハリは非常に重要です。
◆エアブラシはポイントを絞って使おう
広範囲にふわっとした色が乗せられるエアブラシはとても便利ですよね。
エアブラシを塗りのメインで使っている方もいるのではないでしょうか?
しかし、エアブラシで全体を塗ってしまうと、すべてぼやけた感じになってしまいます。
エアブラシは使うポイントを絞って部分的に使うと効果的です!
・頬の赤み・メイクなど
→部分的に淡く色を乗せたい時に使える
・光を柔らかく入れたい時
→光の当たっている部分に柔らかく入れる。はっきりしたハイライトと併用すると◎
・空気感を作る時
→奥にあるパーツに薄い色を乗せると奥行き感がより出る
エアブラシはなんとなく全体にエアブラシを多用したくなってしまうのですが、ここぞというところに絞って使うと「仕上がりがぼやけて垢抜けない…?」を回避することができます。
◆ハイライトは特にぼかしすぎに注意
初心者の方の絵でよく見かけるのが、ハイライト(強い白い光)をすべてぼやけたブラシで塗ってしまっているパターンです。
影と同じように、光も強いほどぼけずに濃くはっきりと入ります。
特に、髪の毛のハイライト(線や点で入れるタイプ)をぼやけたブラシで塗っている絵が多く感じます。
ここをぼかしてしまうと、途端に微妙な仕上がりになってしまいます。
思い切ってペンツールなどのぼやけが少ないペンを使って入れてみてください。すっきりと洗練された印象になります。
その後、ちょっとはっきりしすぎだな…と思った時は、一部分を透明色で削ってあげたり、ハイライトの不透明度を少しだけ下げてみると周りの髪と馴染みます。自分の絵柄に合わせて調整してくださいね。
今回は、初心者の方が多用しがちな「ぼかし」について解説しました。
めちゃくちゃ便利で絵の完成度が上がるぼかし表現ですが、使いすぎには注意です。
初心者な感じの絵から抜け出したい!でもどこを改善したらいいかわからない…とお悩みの方は、一度ぜひ自分の絵の「ぼかし」の使い方について一度整理してみてくださいね!
(絵・文/はらなおこ)
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