2020.10.30
風景イラストを描いてみよう(後編)
今回は細部を描き込んでいきます!
前回ざっとぬった下塗りをどんどん完成させていきましょう!
Index
1.雲の塗り方
まず雲の色を決めます。
もこもこ筆で一度一本の線を引き、そこからスポイトで取ると簡単に雲の色が作れます。
そして①の様に一番濃い色から影になる左側に色を置きます。
②は二番目の色、③で一番明るい色を馴染ませる様にしていきます。
一番明るいかなという箇所を白のまま意識的に残すといいかもしれません。
次に真っ白の箇所も雲の筆でなぞり、より雲らしくなる様にモコモコした形を描き足していきます。
この時、雲の中で白く残った部分をより強調できる様になぞり直していきます。
特に大きな雲の右上は色をはっきりさせたいので、筆のサイズを小さくして細かく描きます。
左右の端の雲はブラシサイズを大きくして、優しいタッチで触れてモヤモヤさせると、視線が真ん中の大きな雲に行って効果的です!
雲はこれで完成です!
2.山の立体感
続いて山は平筆を使います!
影になる左半分に青みがかった影を置きます。
単純に濃い緑を置くのではなく、青みがかった色を置くことで空気感が表せます!
消しゴムも使いつつ同時に山の形も整えていきましょう。
置いた色をなじませ、山の凹凸を意識して影も増やしていきます。
もう一段階明るい色を置いて、さっきと同じ様になじませます。
なじませるときは濃い方の色で優しく境界をなぞるとうまくいきます!
立体感がまだ足りなかったのでもう一度同じ要領で光の当たる右側に色を置き、なじませます。
山の際もはっきりさせるために、濃い影の色でなぞって形を整えてください。
同じ描き方で、左側、後ろの山も描き込んでいきます。
色のベースは出来ているので、明るい色、濃い色を置いて、馴染ませて、を繰り返します。
後ろの山は遠いために細部は見えませんので、手前の山よりも描き込みは少ない方がいいです。
山もこれで完成です!
3.木・草の描き込み方
さて、続いて下半分の植物に取りかかっていきます。
下塗りで一旦色を置いただけだったので、形を整えていきましょう。
奥や、家の周りの木々は針葉樹をイメージしてギザギザに、田んぼの間にある細いあぜ道も少し太くして整えていきます。
(注意!レイヤーが分かれているので、別レイヤーに間違えて描き込まない様にしましょう!)
一番奥の木々に明るい色を置きます。
ギザギザてんてん、と置いて山と同じ要領でなじませます。
家の周りの木にも明るい色を置いていきます。
木々に暗さが足りなかったので、影を左側中心に足していきます。
田んぼの中もブラシを細くして、あぜ道に沿って線を入れていきます。
中心の道も色をなじませ、濃い色をトントンと置いて土らしくしていきます。
次に中心の道に雑草を増やしましょう。
草用の水彩筆でまずは濃い色から一本一本道に沿って生やします。
全体に生やすとこうなります。
奥に行くほど小さく、色は薄くなっていきます。
勢いよく、シャッシャ!と描くことで草らしさが表現できます。
その上から鮮やかめの黄緑を同じ要領で描いていきます。
さっき描いた濃い色の草の生え際を隠す様に描くと綺麗に見えます。
中心の道の地面にもちょんちょんと草を生やします。
4.家の描き方
今回は家の形を難しく考えないでいい様に、木々で家を隠しています。
屋根だけ見えているので、その形を整えていきます。
平べったく塗りながら屋根の三角柱を表現します。
続いて立体感を出すために境界に明るい色を入れ、屋根の右側も明るくし、屋根っぽさを出すために線を入れます。
家が完成して全体はこんな感じになります!
最終調整として、山の下の木々と家の周りの木々に濃さが足りないので、もう少し影を足していきます。
そして完成!
ここまでお疲れ様でした!
取りかかるには敬遠されがちな風景でも、一つ一つ解説を見てみれば少し理解が深まってきたのではないでしょうか?
是非一度取りかかってみてください!
5.差分 秋の景色
最後に差分として秋の描き方をお伝えします。
夏と明確に違うのは全体の色味、雲と田んぼ、草ですね。
早速やっていきしょう!
今回は一旦夏を作成してから編集しつつ秋にしますが、山や木々は色味を最初からオレンジで、夏と同じ方法で描き進めてももちろん問題ありません。
まずは空レイヤーを削除し、空用の水彩筆で左右に広げる様に上から下にだんだん濃くなる空を作成します。
夏は上から下へ行くほど明るい空になっていましたが、今回は下から上に行くほど明るくしています。
塗るときは、なるべく空用のブラシサイズを大きくし手に力を入れずに描くと美しくグラデーションができます!
次は山を秋らしく変更していきます!
ちょっと作業が複雑なので図解します!
①山のレイヤーの上に新しいレイヤーを作成。
②クリッピングをクリック(クリッピングとは、今回ならば山のレイヤー上でしか描き込めなくする操作です)。
③そのまま右上の「通常」と書かれたボタンを選択し、今回は④ハードライトに設定します。
ブラシ内にあるエアブラシでフワフワとオレンジを乗せ、秋らしい色に変えていきます。
手前の山は薄く、奥ほどきつくエアブラシで乗せていきましょう。
同じ様に木や草のレイヤーにもクリッピングを行い、エアブラシでどんどんオレンジを足していきましょう!
次は畑です。
畑は夏と様子が明確に変わるので改めて説明いたします。
前は緑だったベースの色を、今回は濃い黄色っぽく乗せました。
奥の畑ほどコントラストの低い明るい色になる様にもう一度色を乗せます。
このとき、ベタ塗りでなく、あぜ道に沿って少し表情が見える程度の線を残します。
次に草用に設定した水彩筆で稲のふさふさした様子を描いていきます。
あぜ道に被さるくらい描くとフワフワさが伝わりやすいですね。
畑の色をスポイトしながらベースの色に沿って全体の稲を描いていきます。
次は雲です!
秋の雲は夏と違って空の高い位置に薄く広がっています。
雲のブラシで薄ーく広げます。
雲は天井ほど近く、地平線に近いほど遠くの雲になります。
したがって画面上は太く、山に近づくほど細い雲にすると空に奥行きが感じられます。
次は雲にグレーを軽くかぶせます。
夕方なので少し暗めのグレーでもいいですね。
雲に光を入れるために明るい黄色でなぞっていきます。
夏と違って、雲の下側に色を入れるとより夕焼けらしさが表現できます。
そして山のそばにも明るい雲を細く足していきましょう。
最後に中心の道に草を夏と同じ要領で、色だけ秋っぽくチョイスして描き込みます。
秋はフワフワした雑草も生えますので、山用に設定した平筆で細長くちょんちょんと足していきます。
これで秋の風景が完成です!
いかがでしたでしょうか?
雲や植物はいろんな表情を見せるので様々な描き方がありますね。
是非一度描いてみてください!
(文・絵/荒金ひろみ)
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