2023.08.16
漫画を仕事にしてみたい人へ!漫画家の仕事ってどんな種類があるの?
漫画を描く職業「漫画家」。
子供の将来なりたい職業ランキングにも根強くランクインしている人気の職業です。
老若男女、漫画がとても身近な日本では、一度は漫画家になってみたいなあと思ったことのある人も多いのではないでしょうか?
連載を持ち、アシスタントさんを抱え、ヒットを飛ばせば人生が変わる…!と華々しくも激務で狭き門なイメージを持つかもしれませんが、実際にはそれだけでなく、もっと広く漫画家の活躍の場があります。
今回は、漫画家といっても実際にはどういった種類の仕事があるのかをご紹介したいと思います!
Index
☆商業漫画家と広告漫画家
まず始めに、漫画家の仕事は大きく分けて「商業漫画家」と「広告漫画家」というものがあります。同じ漫画を描く仕事でも、この2つは仕事を得るプロセスや特徴もまったく違います。
①商業漫画家
商業漫画家は、雑誌などに漫画を掲載し、出版元から対価をもらう仕事です。
多くの人がイメージする「漫画家」はこの商業漫画家だと思います。
“連載”というと、なんとなく「週刊◯◯」「月刊少女◯◯」のような分厚い漫画雑誌が思い浮かびますが、
・漫画雑誌、一般雑誌
・書籍
・WEB漫画アプリ
・新聞の4コマ
などなど…実は漫画の掲載先はとても多いです。
さらに少女漫画、少年漫画、青年漫画、成人向け漫画、エッセイ、4コマ、特定の専門分野の漫画(犬の飼い方に特化した雑誌に犬の漫画を連載する等)などなど、漫画の内容も多岐に渡るので、自分の得意分野にマッチした掲載先を絞って売り込むことで掲載のチャンスも上がると思います。
◆商業漫画の特徴
・ある一定期間同じ作品を連載する(単発読み切りの場合もあり)
・自分の名義が全面に出る
・単行本化、人気が出たらアニメ化などの派生の可能性もある
・原稿料+単行本化された場合、単行本が売れた際の印税収入
・売れたら人生が変わるが、売れるかどうかは未知数である
さらに、掲載のためにネームを練っている段階では収入はゼロであり、収入面での不安定さがある
イメージの通り、商業漫画家は漫画家としての花形であり、憧れる人が多い分目指す人も多い狭き門です。さらに連載を勝ち取り、そこからヒットを飛ばすとなるとほんの一握り。
ですが、自分の作品が多くの人に読まれ、有名になる姿を想像するととても夢がありますよね。
◆商業漫画家を目指すにはどうしたらいいの?
複数のルートがありますが、どのルートでも【自分の作品を自分で売り込む】ことが必要になります。
まずは1本自分のオリジナル作品を完成させましょう!
・編集部などに持ち込みをする
一番思い浮かぶスタンダードな方法かと思います。自分の描いた作品を、出版社や雑誌の編集部などに持ち込み、見てもらいます。アドバイスをもらえたり、担当者の目に留まり「見込みがあるな」と思われると、その後フォローが受けられる場合があります。
持ち込みは、
・電話などでアポを取った後、原稿を持って出版社へ直接出向く
・WEB上で原稿データを送る
など色々なやり方があります。出版社や編集部ごとに持ち込み方法の案内が出ているので、自分が持ち込みたい所のホームページやSNSを確認してみましょう。
また、一部大型の同人誌即売会では、様々な雑誌の編集部が集まりブースをかまえ、その場で原稿を見てもらえる【出張編集部】という企画を行っているところもあります。
いきなり持ち込みをする勇気が出ない…という人は、まずこういった場を利用するのもありだと思います。
・漫画賞に応募する
出版社や雑誌では、定期的に漫画賞や新人賞、コンテストを開催しています。色々な分野の媒体が常に開催しているので、自分の作風に合った媒体を選んで積極的に応募してみましょう。賞を受賞すると、その後編集部のサポートが受けられたり、中には「掲載確約!」といった副賞がついている賞もあります。
・先にSNSで作品をバズらせる
持ち込みや応募をするのではなく、自分のSNSアカウントを使って作品を発表・連載し、まず人気を集める方法です。
SNSやPixivなどで知名度が上がって作品に人気が出ると、逆に「この作品を単行本化しませんか?」「うちで続きを連載してみませんか?」などといった雑誌側からの連絡が来るパターンです。正攻法ではないですが、最近増えている印象です。
特に恋愛漫画、エッセイや体験談漫画の分野ではこの流れが多い気がします。
②広告漫画家
商業漫画家に比べてあまり知られていないのが「広告漫画家」です。
オリジナル作品の連載を持つのではなく、企業や自治体から依頼を受け、サービスや商品の紹介などの漫画を描く仕事です。チラシやダイレクトメールだけでなく、SNSやホームページ、YouTubeなど最近は漫画による宣伝が広がっていて、その活躍の場も多岐にわたります。
◆広告漫画の形式
- 横読みコマ漫画
1ページを複数のコマで割る、いわゆる普通の漫画の形式です。1〜4ページほどの短いページ数のことがほとんどです。幅広い媒体で使われます。
- スライド式漫画
コマ割りをせずに1ページにドンと大きく絵と台詞を描き、数枚をスライド形式で見せていく手法。SNSの広告で主に使われます。
- 4コマ漫画
チラシやダイレクトメッセージ、新聞広告など狭いスペースに載せることが多いです。
- 漫画動画
YouTubeなどの動画サイトで、動画が再生される前に流れる広告です。
漫画家が絵と吹き出しを描き納品した後、クライアント側の動画編集者が絵を動かす編集をします。
(稀に漫画から動きを付ける編集まで一人でやるすごい漫画家もいます)
漫画とアニメーションの中間のような感じで華があるため、よく使われる手法です。
◆広告漫画の特徴
・基本的に単発の依頼である
・自分の名義は表に出ない
・商業漫画家に比べて参入のハードルが低い
・1つ1つの案件が短期なので、複数の仕事をかけ持ちできる
・1ページ◯◯円×6ページを1週間で納品!と、得られる収入を事前に把握・自分で調整しやすい
あくまでクライアントの要望を叶える「裏方」なので、自分で自由な漫画を描きたい!名前を売りたい!という人には向きません。逆にビジネスとして割り切れる人に向いています。
◆広告漫画家になるにはどうしたらいいの?
単発の案件を自分で獲得する必要があります。商業漫画家のような「ネームがなかなか通らない」といった待機の期間がないため、やる気次第で比較的フットワーク軽く仕事を探すことができます。
・クラウドソーシングサービスでの募集に応募する
クラウドワークスやココナラ、ランサーズといった、企業や団体が外注したい仕事を掲載・募集する「クラウドソーシング」のサイトでは、漫画の案件の募集が多数あります。
単価や内容、条件が自分の希望と合うかどうかを確認し、応募します。
応募者がたくさんいる場合はそこから選考があります。また、サイト内の自分のプロフィールページを見て、企業側から直接オファーが来ることもあります。
基本的に単発の仕事ですが、中にはリピートで仕事を依頼してくれたり、「月◯◯本」と継続的なお付き合いになる企業もあります。
そういったリピーターを獲得していくことが、安定した仕事量を得る鍵です。
・自分のHPやSNSを開設し仕事の窓口を作る
自分の仕事用ホームページやSNSアカウントを作り、そこから直接依頼を受けれるような環境を作るのも重要です。
作品のサンプルやポートフォリオはもちろん、料金表や受けられる仕事の内容、メールフォームなどを設け、依頼したい人が問い合わせできるようにすると◎です。同じくSNSでも作風を紹介し、DMを解放して依頼を受けられる環境を整えましょう。
企業側から問い合わせなんて来るの?と思うかもしれまんが、案外ありますし、自分を気に入って問い合わせしてきてくれているので、リピーターになることも多いです。
☆同人専業作家という選択肢
自費で本を作り、即売会や電子書籍で頒布・販売する「同人作家」。
ほとんどの人が趣味としてやっており、印刷代や参加費・交通費などを差し引くと実態はほとんど利益は出ていません。が、同人を専業として活動している人もいます。
作品に人気があり、知名度が高いことが前提ですが、フリーランスとして、開業届や確定申告等の必要な手続きをきちんと踏めば、職業として成り立ちます。
同人専業作家の良い所は、商業漫画家のように名を売ることもできる上、編集部の縛りや修正、待機期間が無いので自分の采配で動くことができ、広告漫画家のようなフットワークの軽さも持てることです。
生活するだけの収入を同人でコンスタントに稼ぐことはめちゃくちゃ難しいのですが、自分の腕に自信がある方は選択肢のひとつとしてありだと思います。
☆漫画家を目指す第一歩として一番大切なこと
商業漫画家、広告漫画家、同人専業作家、どれを目指すとしても共通して大切なことがあります。それは「とにかく作品を完成させて人に見せろ!!!」ということです。
そんなこと当たり前だろ!と思うと思いますが、これが真理です。
いくら画力があっても、1つの作品として完成させなければ人に見せることも出来ないし、世間に知られることもないのです。
漫画家に憧れているが、自信の無さから持ち込みや自分自身の売り込みを躊躇している人は案外います。
一生懸命描いた自分の作品にダメ出しをされるかもしれない…立ち直れないかも…という恐怖感はとてもよく分かりますが、その一歩を踏み出さないと先に道は開けません。発表したら予想外の展開になることもあるかもしれません。
描く!見せる!描く!の繰り返しで技術もメンタルも格段に向上します!勇気を出してとにかく世間に発表しましょう!
ひとくちに漫画家といっても、その仕事内容や目指し方には様々なルートがあります。
自分が漫画を通してどういう人になりたいのか?どういうキャリアを積みたいのか?を一度考えてみて、自分にあった方法にぜひチャレンジしてみてくださいね!
(絵・文/はらなおこ)
Twitter:@nao_comic
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