2023.12.22
自分で漫画家デビュー!?オリジナル漫画を個人出版する方法!【電子書籍編】
漫画家になりたい!
いつか自分のオリジナル漫画を世に出して収入を得たい!
今も昔も漫画家は憧れの職業であり、いつかデビューするぞ!と志して日々努力している方も多いことと思います。
ですが、実際にデビューして漫画家として一定の収入を得ている人はほんの一握り…というのが現実です。
それを理解しているから、本当は漫画家を目指したかったけれど諦めて別の仕事を選んだ…という経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
ところが!時は令和!
電子書籍や同人誌など、自分のオリジナル漫画を発表し、収入を得られる場が以前と比べてぐんと増えました!
特に電子書籍での出版サービスは、ここ数年で参入企業もユーザーも急に増えています。
今回は「電子書籍」で漫画を個人出版する方法について解説していきます!
Index
◯電子書籍で個人出版ってどういうこと?
漫画家になる、漫画で収入を得る、というとどういう流れをイメージするでしょうか?
一般的には、
出版社に持ち込みをする・漫画賞で賞を取るなどして出版社の担当の目に留まる
↓
その出版社の雑誌や漫画アプリでデビューする
↓
原稿料や単行本の印税収入をもらう
という流れを想像すると思います。今もこれが主流です。
ですが、今回紹介する「個人出版」は、出版社→デビューというルートを通らずに、個人でいきなり電子媒体に掲載をする方法です。
電子書籍が世の中に浸透した今、漫画や小説を個人で発表したい!という人のための場を提供してくれるサービスが続々登場しています。
各社のサービスごとに少しづつ仕様が違うのですが、一般的な流れとしては、
①電子書籍のサービスに会員登録する
②漫画をアップロードする
③漫画の内容について審査を受ける
④審査が通ったら掲載・販売開始される
⑤購入された額から手数料などが引かれた印税が自分の手元に入る
といった感じです。
各社のサービスごとの解説については後ほど紹介します。
◆個人出版のメリット
・思い立ったら即発表できる
→最大のメリットと言えます。出版社を通す場合、出版社内でまず漫画を認めてもらう必要があります。
持ち込みなどからデビューできる人は本当に一握りです。
一方、個人出版の場合、そういった制約がありません。
漫画が完成したら自分の判断ですぐに発表することができます。
・自分の好きな内容にできる
→出版社を通す場合、漫画の内容にも出版社側の意向が反映されます。
ネームの段階から担当編集者と一緒に漫画を作り上げていきます。
経験豊富な担当者のアドバイスは的確であり、二人三脚でやっていく心強い存在なのですが、「人から漫画の内容に指図を受けたくない!全部自分の思った通りの展開に描きたい!」という人には向いていません。
個人出版の方がメリットがあると思います。
・自分のペースで描ける
→出版社経由で雑誌・アプリなどに連載する場合、週刊連載、月刊連載など一定のサイクルで漫画を作る必要があります。
締め切りが設定されるため、自分の都合で漫画を描くペースを決められません。
個人出版の場合、自分の状況に合わせて描くペースを設定できます。
単発の読み切りを発表してもいいですし、連載ものなら「隔週発表」「次回は◯月◯日に発表」などサイクルを自分で設定できます。会社員など本業の仕事をしつつ副業として漫画を発表したい人にもぴったりです。
◆個人出版のデメリット
・報酬が低い
→出版社を通す場合、「原稿料1ページあたり◯◯円」と、描いたページ数に対して最低限報酬が支払われますが、個人出版の場合、当然ですが描いてUPしただけでは1円も発生しません。
電子書籍として購入されて初めて収入を得ることができます。
また、漫画の価格は自分で設定できるのですが、出版社の後ろ盾もないインディーズの漫画なので、売価をある程度低めに設定しないと読者に購入してもらえません。さらにそこから電子書籍のサービス会社側に何%か手数料として引かれるので、収入として入る金額は想像よりも低いと思った方がいいです。
電子書籍の売上だけで生計を立てる!となると相当な知名度と人気を得る必要があります。
・ブランディングや宣伝を全部自分でやらなければならない
→雑誌や漫画アプリの場合、出版社が漫画の宣伝に協力してくれます。
魅力的なキャッチコピーや広告バナーを作ってくれたり、売り出し方の方向性について一緒に考えてくれたりと心強いです。
しかし、個人の場合はそれらを全部自分でやらなければなりません。
プロからアマチュアまで星の数ほどある漫画の中で自分の作品を読んでもらうためには、漫画の題材選びからSNSでの宣伝まで、セルフプロデュース的なことを漫画制作と並行してやっていく必要があります。
ここを怠ると作品を購入してくれる人が増えず、結果労力と収入が見合わなくなってしまいます。
こういった試行錯誤や宣伝が得意な人はいいのですが、苦痛に感じる人にとっては厳しいかなと感じます。
☆各社電子書籍サービスの紹介
漫画を個人出版できる場を提供している電子書籍サービスを、それぞれ特徴を交えて紹介していきます。
様々あるのですが、現状ではKindleと楽天koboの二強といった感じです。
・Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
まず思い浮かぶのがここかなと思います。
Amazonが提供している電子書籍「Kindle」へ作品を掲載するサービスです。
実際にやってみた人のレポートブログなどもたくさんあるので、初めての人はここから始めてみるといいと思います。
・Kindleは電子書籍の中で圧倒的にユーザー数が多い
・一定期間無料公開もできる→宣伝に活用できる
・販売時の印税は35%か70%か選べる
→Kindleの場合は70%の設定がオススメです!
Kindleでの専売(他の電子書籍に同じ作品を掲載しないでKindle一本にする)、他、複数の条件を満たすと、印税70%になります。
70%を選んだ場合、単品購入の他にKindle unrimited(月額読み放題のサービス)の方にも掲載されます。
これが最大のメリットだと思います!
Kindle unrimitedのユーザーは月額料金内で読めるので、自分の漫画を手にとってもらうハードルが格段に下がります。
Kindle unrimitedのユーザーが読んだ場合、読まれたページ数に対して印税がもらえます。
(1ページあたり数銭ほどと言われていますが、ちりも積もればまとまった金額となります)
Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP
・楽天Kobo ライティングライフ
Kindleに次いで、楽天koboもユーザー数が多いです。
・漫画のタイトルが圧倒的に多い
・Kindleよりも設定項目が少なめで比較的簡単
・印税は45%か70%
→楽天koboの場合、80円〜398円の本体価格の場合45%、399円〜100,000円の本体価格の場合70%の印税となります。
・入稿データがepub形式のみ
→楽天koboで出版するためにはepubという形式にデータを変換する必要があります。
メディバンペイント上では変換できないため、外部の変換ツールを使う必要があります。
楽天kobo ライティングライフ
https://books.rakuten.co.jp/e-book/rakutenkwl/
・Google Play Books/Apple Books
その他の電子書籍媒体としては、Googleが提供しているGoogle Play Booksと、Appleが提供しているApple Booksが挙げられます。
これらは登録するまでの過程がなかなか分かりにくいため、慣れていない人にはハードルが高いです。
挑戦してみる際には、やり方を紹介しているブログなどを参考にすると良いです。
海外に積極的に売り出したい!という場合は活用すると良いと思います。
特にApple Booksは、iphoneやipadなどApple製品を使っている人へのアプローチとして有効です。
日本はiphoneを使っている人が多い国のひとつですので、挑戦してみる価値はあると思います。
Google Play ブックス パートナーセンター
https://play.google.com/books/publish/u/0/?hl=ja
Apple Books partner
https://itunespartner.apple.com/jp/books/
☆電子書籍用作品を描く時の注意点
画像サイズや形式を確認しよう
電子書籍用の作品を作る場合、画像のサイズや保存形式を規定に合わせる必要があります。
各サービスごとに画像のサイズや対応している保存形式が細かく決まっているので、作品を作る前に必ず確認しましょう。
特に、保存形式は、普段SNSなどにアップロードする時に使うjpegやpngといった画像形式では電子書籍化できません。
聞き慣れないかもしれないですが、よく用いられるのがepub(イーパブ)という電子書籍のファイルフォーマットです。
epubに変換すれば大抵の電子書籍に対応できます。
画像をepub形式に変換するには変換のソフトが必要です。
有料ソフトはもちろんですが、フリーソフトも複数存在します。
フリーソフトを使う場合は事前に安全性を確認しましょう。
☆電子書籍販売の成功のコツ
個人出版をやってみよう!といざ漫画を公開しても、まったく売れなかった…という例も少なくありません。
内容や見せ方に電子書籍ならではの工夫が必要になります。
少しでも読者の気持ちを引きつけるためのコツをご紹介します。
①とにかく表紙が命
めちゃくちゃ大事です!!!
一般の単行本漫画や同人誌でも表紙は重要なのですが、電子書籍の場合もっと重要です!
電子書籍の画面を見ると分かるのですが、まず表紙がずらっと羅列されます。
スマホやタブレットの画面上なので、ひとつひとつの表紙画像が小さいです。
個人出版本の場合、知名度がない分最初のインパクトが勝負です。
この段階で目に留めてもらう必要があるのです。
例えば、こちらの2つの表紙、絵は同じですがどちらの方がより目立つでしょうか?
内容がまったく同じだとしても、表紙でだいぶ印象が違いますよね。
まず絵柄やタイトルで「どんな内容の本なのか」認識してもらわないと、その先の閲覧・購入につながりません。
漫画の場合、ドンと大きく人物の絵を配置し、タイトルも大きく読みやすくしている作品が多いです。
売れ筋の漫画ランキングを見て研究してみてください。
②途中で飽きさせない漫画作り
これは特にKindle unrimitedのユーザーに対しての対策です。
Kindle unrimitedは月額制の読み放題サービスなので、作品ひとつひとつを購入する必要がありません。
気軽にちらっと試し読みができるのが強みです。
「気軽に読める」ということは、「つまらなかったら途中で気軽にやめられる」ということです。
Kindle unrimitedの場合、読まれたページ数に対して印税が支払われるので、1ページでも多くめくってもらう必要があります。
途中で読むのをやめてしまわれないために、以下のような工夫が有効です。
・長編ストーリーものよりも短編集や一話完結形式など、読みやすい構成にする
・読みやすいように大きなコマをメインに使う
→コマ割りは意識して大きくしましょう。細かいコマは電子書籍だと読みづらいです。
むしろコマ割りをせずに1ページ1枚の絵で構成している作品も多いです。
③SNSや個人サイトとの回遊作戦、無料公開作戦
これも非常に大事です。
ただ電子書籍にアップロードして待つだけでは伸びません。
自分のSNSや個人サイト、pixivなどの投稿型プラットフォームとの合わせ技で宣伝しましょう。
具体的な例だと、
・SNSで漫画を途中まで公開、続きはこちらへ、と電子書籍に誘導
・pixivに本編を載せ、続編や描き下ろしを電子書籍で展開
など、読者を複数サイトにうまく回遊させるように誘導しましょう。
また、電子書籍を無料公開するのもおすすめです。
「無料じゃ利益にならないから嫌だ!」と思うかもしれませんが、まず自分の作品をとにかく読んでもらうという点で無料公開はとても有効です。
最初の数冊を無料公開し、最終話だけ有料にする、などやり方はいくらでもあります。
今回は電子書籍で漫画を個人出版する方法を紹介しました。
何も縛りがなく、思い立ったらすぐに出版できる電子書籍はとても魅力的ですし、電子書籍で人気が出て出版社から声がかかり単行本化…という話もよく聞きますので非常に夢がありますよね。
最初の一歩はなかなか勇気がいるかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください!
(絵・文:はらなおこ)
X(旧Twitter):@nao_comic
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