キャラクターの魅力を一目で伝えてくれる「キャラクターデザイン」
今回は洋風ファンタジーのキャラクターデザインを考えていきたいと思います。
キャラ設定を重視したデザインの考え方、ファンタジーらしさを表現する方法、今すぐ実践できるコツなどを作例と共にご紹介しています。
キャラクターデザインの一つの方法として参考になれば嬉しいです。

-キャラクターデザインが伝えてくれるもの-

デザインを考えていく前に「キャラクターデザインはどうしてそこまで大事なの?」というお話をしたいと思います。

ゲーム、アニメ、漫画、どんな作品にも必要とされるキャラクターデザインのスキル。
デザインが伝えてくれるものとしては

  • キャラクターとしての魅力
  • 作品としての見栄え

などがもちろん挙げられますが、それに加えてキャラクターデザインの面白い所は

  • ジョブ(職業/役職)
  • 地位/階級
  • 属性(水・火・風etc….)
  • 種族
  • 文化・伝統
  • キャラクターの性格・内面
  • キャラクターの趣味
  • キャラクターの交流関係(身内・友達・相棒etc…)
  • 生まれ育ちや住んでいる環境

などの設定を様々な形で反映する事ができ、そのキャラクターが「まるで本当に存在している人物」かのように見せられる事。デザインには、キャラクターからの「私はこういう人間です」というメッセージを伝える役割があります。

これはファンタジー、現代を問いません。

今回の講座では、ファンタジー世界に住まうキャラクターの設定や世界観を重視したデザインを考えていきたいと思います。

-テーマを決める-

「設定を反映させる」と言っても、最初から設定を事細かに決めるのは少し難しいと感じる方もいるかもしれません。

そんな時はまずはざっくりとした「テーマ」を設定します。
例えば「双子の魔法使い」「氷の王子様」「猫の踊り子」「球体関節の人形師」など…
描きたいと思う題材や好きなモチーフを頭に思い浮かべてみて下さい。

ファンタジーの場合は特に「ジョブ/職業」「種族」もしくは「モチーフ」が一目でわかるテーマがオススメです。

今回の講座では「」と「魔女」を組み合わせ「星詠みの魔女」というテーマを設定しました。

-設定・ストーリーを考える-

テーマが決まった所で、次に少しずつキャラクターの設定やストーリーを考えていきます。
これはデザイン作業と並行して行っても、もちろん構いません。

ではなぜ予め決めておくかと言うと、キャラクターの性格や設定によってその子の「服装」「見た目」「持ち物」「ポーズ」などが大きく変化するから。

例えば同じ「星モチーフ」の魔女のキャラクターであっても

「キラキラな物が大好きでおっちょこちょいな新人魔女」
「森の奥で使い魔と共に静かに暮らすベテラン魔女」

と並べられると、イメージする姿がまるで変わってくると思います。
設定からデザインのアイデアを得ると共に、あれもこれもと迷走しテーマのブレたデザインになることを防ぐ為でもあります。

次の工程ではいよいよ「星詠みの魔女」の設定を決め、デザインを考えていきます。

 

【星詠みの魔女】

-設定・ストーリー-

それではまず「星詠みの魔女」の簡単な設定から考えていきます。
テーマから思いついた設定、事前に作っていた物語でつけた設定、自分の好みを詰め込んだ設定、どんなものでも構いません。

試しに思いついた設定を箇条書きにしてみます。

外見

  • 外見年齢は16歳くらい。
  • 身長は160cmくらい。
  • あまり表情を変えない。
  • 大きめの占星魔術本を持ち歩いている。

内面・生い立ち

  • クールで真面目だが、人見知りな性格。
  • ミステリアスで大人びた雰囲気。
  • 占星術で人の運命を占ったり未来を予知したりする。
  • 生まれついた才能で若くして魔女になった逸材。

世界観

  • 魔法都市の上層階級地区で暮らしている。

ここで全ての設定を決める必要はありません。
ある程度の「余白」を残しておく事で、逆にデザインから設定を取り入れる事も出来ます。

後から肉付けする事も出来ますので、見た目が想像できる程度の情報が掴めたらOKです。

-モチーフ・イメージカラー-

次にモチーフやイメージカラーになりそうだと思う物を書き出しておきます。

モチーフ

  • 星(天体・星座・銀河etc…)

イメージカラー

  • 青/水色
  • 黄色

また、先ほど決めた設定からこの魔女は「クール/ダーク系」のキャラクターである事がわかります。これを念頭に置いて、次にデザインを考えていきましょう。

-デザインラフ-

①シルエット

まずはざっくりと全体のシルエットを決めていきます。

魔女のデザインと言えば……「魔女帽」「マント」「ワンピース」「ブーツ」
という風に大まかな服のイメージをしておきます。

「クール/ダーク系」という雰囲気をベースに、大きな魔女帽、丈の長いマントやスカートを中心としたデザインを2案描き出しました。

①はロングコート+マント+ブーツを組み合わせた学者的雰囲気のデザイン。
②はロングスカート+マント+ブーツを組み合わせた魔女らしいデザイン。

今回は魔女の「クール」で「賢い」印象にプラスし、16歳の魔女という「若さ」を表現したかったので、動きやすそうで学者的なシルエットの①を選びました。

【ワンポイント】

魔女帽、リボン、杖などの大きなアイテムは「ファンタジーらしさ」を表現できる最も効果的な要素です。シルエットを考えながら、そのキャラクターの「特徴的なアイテム」となりそうなものを1〜3つほど決めておくと良いでしょう。

②パーツを整える

ここからがデザインに「キャラクターの設定」を少しずつ組み込んでいく作業になります。
「学者的雰囲気」と「魔女らしさ」を意識ながら「星」や「天体」といったモチーフを衣装にたくさん取り入れます。

最初に考えたシルエットから出来るだけ大きく外れないようにしましょう。
魔女と言われてイメージする「フリル」や「リボン」などの可愛い装飾は控えめにし、学者的な「コート」や「マント」などの直線的でカッコいいラインの衣装を揃えました。

ですが今回は「星」や「天体」がモチーフでもあるで、コートの膨らみや魔女帽、マントの曲線で天体感を演出していきます。月や天球儀、プラネタリウムなど、天体関連のものは比較的曲線のものが多いです。

また、彼女の人見知りな性格的に「無駄な露出は嫌うだろう」と言うイメージで露出度はかなり低めです。「魔法都市の上層階級地区で暮らしている」「優秀な魔女」と言う設定から、全体的にいいものを身につけており、上等な衣装を意識しました。

頭部

魔女帽・・・魔女っぽいアイテムその1。
片方のツバを丸く欠けさせ、三日月っぽいデザインに。
帽子の三角部分やツバに装飾を付け、ファンタジーらしさもプラス。

髪型・・・ショートのパッツンにする事により真面目な雰囲気に。
アシンメトリーな髪型で近寄りがたいミステリアスな印象をプラス。

表情・・・冷ややかなつり目の瞳でクールに。
襟元・・・堅苦しい感じの雰囲気を出すため、襟元はしっかりしたデザインに。
ネクタイも追加し、しっかり物で賢そうな性格を表現。

【ワンポイント】

頭や顔はキャラクターの性格や役職を一目で表せる部位です。
頭につける大きな帽子やリボンは一番目立つポイントとなり、顔まわりに大きな装飾をつける事でキャラクターの顔を引き立たせる効果もあります。

胴部

魔術本・・・魔女っぽいアイテムその2。
常に持ち歩いている占星魔術本。

腰のリボン・・・直線的で大きなリボン。
少し引き締まったような印象になります。

ブラウス・・・露出を抑える為の長袖のブラウス。
袖口には少女感を出すための控えめなフリルを。

マント・・・花形に開いた大きなマント。
肩に空間を開け特徴的なデザインにすることでファンタジー感をプラス。

【ワンポイント】

腰回りは頭の次に大きな装飾やアイテムを付けやすい部位です。
リボンやカバン、フリルなど、目立たせたいものを置くといいでしょう。

脚部

スカート・・・直線的なデザインで大人しめの印象を与えます。
三日月模様で天体感とファンタジー感をプラス。

ロングコート・・・下に向かって膨らみのあるコート。
体のラインを覆うようにする事で「守り」「内向性」を表現。
天球儀のような曲線模様を入れ、天体感を演出。

ブーツ・・・ピッタリとしたロングブーツで大人らしさを表現。
スカートやコートが下に広がるデザインなので、足元はスッキリとさせバランスをとります。

このように、パーツ一つ一つに「どのような意味があるのか」「なぜこの子はこれを着るのか」を考ていくと、デザイン性にもキャラクター性にも説得力が生まれていきます。

③配色を決める

ある程度パーツが整ったら配色を決めていきます。

モチーフ・イメージカラーの項目で書き出した「紫」「青/水色」「黄色」を使い、星詠みの魔女らしい夜のイメージで塗っていきます。

ベースカラー:魔女のクールな雰囲気と夜っぽさを表現する為の「濃い紫/青」
メインカラー:星や月を連想させるために、青の補色である「黄色(金色)」
真面目さや潔白さを表す為に髪の毛やブラウスには「銀色」や「白色」
アクセントカラー:冷ややかな印象を与える「水色」

【ワンポイント】

配色の基本は「ベースカラー70%」「メインカラー25%」「アクセントカラー5%」

ファンタジーのデザインは現代キャラのデザインに比べ、自由に色を組み合わせる事ができます。ですが色の組み合わせや配色のバランスに注意しないと、まとまりが無くなり、ただただ奇抜になってしまいます。

選ぶ色は3〜5色程度に留めるのがオススメです。

-追加要素-

最後に「少し物足りないな」と思った部分に細かい要素を足していきます。
同時にデザインを整え、最終的な形に持っていきます。

主に帽子、腰のリボン、コートを中心に要素を足しました。

帽子・・・星型の装飾を追加。デザイン的なバランスをとります。

髪の毛・・・アクセントカラーである水色でメッシュを追加。
彼女の冷ややかな印象を強調しました。

襟元・・・水色のネックレスを追加。
更に襟とネクタイにゴールドを追加する事で引き締まった雰囲気に。

魔術本・・・ゴールドの装飾を追加し、魔術本らしい豪華な仕様に。

袖・・・ブラウスの袖のフリルにゴールドを追加。
襟やネクタイ部分のゴールドと合わせ、まとまりを持たせます。

腰のリボン・・・星の装飾やゴールドのチェーンを追加し「流星」をイメージしました。

手袋・・・コートと同じ色の手袋を追加。
引き締まった雰囲気と、指だけを出す事で女性らしさを表現。

コートの模様・・・占星術と関連のある12星座を追加し、星詠みのテーマを強調しました。

【ワンポイント】

要素を付け足しすぎて「しつこいかも?」と思った場合はデザインを削りましょう。
デザインは細かければ細かいほど良いと言う訳ではありません。
全体のバランスを意識して、デザインの引き算も考えてみましょう。

-完成-

最後に清書をして「星読みの魔女」の完成です!

 

いかがでしたでしょうか?

キャラクターデザインは奥が深い分野です。
どんなやり方にも正解や不正解はありません。
キャラクターの性格、物語上での役割、作品の媒介など、デザインに影響する要素はたくさんあります。

今回は設定からデザインを考えるというやり方でしたが、デザインから設定を考えるという方法ももちろんできます。今回ご紹介した方法はその中でも「一つ一つの要素に意味を持たせながらファンタジー風のデザインをしよう」と言うものでした。

色々な方法を試しながら、そのキャラクターの設定と独自の世界観を一番魅力的に引き出せる方法を見つけてみて下さいね。
キャラクターデザインの楽しさが少しでも伝われば嬉しいです。

 

著・絵:星灯れぬ

ーーーーーーーーー
クリエイターランク特典
https://medibang.com/page/about-creatorrank/
「イラストお仕事紹介」作品
ーーーーーーーーー

「星灯れぬ」
ART street
作品集はこちら:https://medibang.com/u/Caphricina/
インタビューはこちら: https://medibang.com/page/interview/Lenu/

Mail:lenulenuworks@gmail.com
HP:https://lenulenushi.wixsite.com/fesria
Twitter: https://twitter.com/Caphricina02