2023.12.15
主線なしのイラストを描いてみよう!主線あり・なしの違いや特徴も解説
主線なしのイラストを描いてみたいけど、上手く描けずに悩んでいるという方は多いのではないでしょうか。
普段からなじみのあるアニメや漫画は主線がはっきりしたものが多く、自身がイラストを描く際にも線画等の主線から描くという方が多いでしょう。
主線なしのイラストは印象が柔らかくなるため、作品の印象を変えたい場合にも有効に使える描き方です。
この記事では、主線のありなしの違いから、実際に主線なしのイラストを描くための7ステップを紹介します。
Index
イラストの主線とは?主線なしのイラストの特徴
主線とは、イラストにおいて、線画等のメイン(主)となる線のことを指します。
ここでは、主線なしのイラストの特徴から、主線ありなしの違いについて解説します。
主線なしのイラストの特徴
主線なしのイラストは、線画等の輪郭線なしで描かれます。
輪郭線がないため、イラストが比較的柔らかいイメージに仕上がり、水彩や色鉛筆と相性の良い作風です。
光や空気感などを表現しやすく、雰囲気を出しやすいことから、ポスターや絵本などのイラストに使用されるケースが多くなっています。
主線ありなしでのイラストの与えるイメージの違い
主線のありなしでイラストが与えるイメージの違いをまとめてみましょう。
主線あり | 主線なし | |
イラストのイメージ | スタイリッシュ | 柔らかい |
被写体の捉え方 | 線 | 面 |
ディテール | 細かい表現が得意 | 空気感や光を表現しやすい |
向いている作風 | デフォルメやアニメ調 | リアル目からふんわりテイスト |
上記はあくまでも一般的なイメージですので、絶対的なルールではありません。
例えば、主線なしでのデフォルメキャラやアニメもありますので、様々な作風を主線なしで描いてみるのも面白いですね!
主線なしのイラストの描き方を7ステップで解説!
主線なしのイラストは、次の7ステップで描くことができます。
- ステップ①:下描き
- ステップ②:下塗り
- ステップ③:消しゴムでレイヤーごとの形を調整
- ステップ④:ディテールの線を描いていく
- ステップ⑤:影を塗る
- ステップ⑥:ハイライトを塗る
- ステップ⑦:完成!
それぞれのステップについて詳しく解説します。
ステップ①:下描き
まずは下描きをします。
今回はデフォルメで主線なしのイラストを描いていきます。
簡単にデフォルメキャラを描く手順については、こちらでも詳しく解説しています。
二次創作で推しのイラストを描く!クラウド素材を活用してデフォルメキャラを描く手順を解説
https://medibangpaint.com/use/2023/08/cloud-material-use-draw-fun-art/
主線なしのイラストの場合でも、下描きは普段どおりに描いていきます。
見やすくするために今回は背景を灰色にして進めていきましょう。
ステップ②:下塗り
下描きができたら、下塗りをしていきます。
主線のないイラストを描く時のコツは、髪を切り貼りして作るペーパーアートのように、一つひとつのパーツの形とパーツの位置関係を意識して描くことです。
今回はこのようなレイヤー構造になっています。
- 顔のパーツ
- 髪の毛・服
- リボン・スカート
- 肌・ポニーテール
「肌のレイヤーは髪の毛のレイヤーより下だな」等、レイヤーの順番を考えながら描いていきましょう。
主線ありのイラストでは、下描きのレイヤーが一番下になるのが一般的です。
ただし、主線なしのイラストには線画がないため、下描きを一番上にして進めていきます。
ざっくり塗っていきましょう。
ステップ③:消しゴムでレイヤーごとの形を調整
消しゴムを使って下塗りの形を整えていきます。
わかりやすいように、削った部分をピンク色にしています。
レイヤーごとに調整していきましょう。
【ポイント!】レイヤーを整理しておこう
レイヤーが多くなり過ぎると、作業をしたいレイヤーを探すのが大変になりますので、ある程度レイヤー構造を整理しておくようにしましょう。
お互い邪魔しなさそうな位置にあるパーツは同じレイヤーにするといいでしょう。
例えば、今回は肌とポニーテールを同じレイヤーに描いています。
後からレイヤーを探しやすいように、名前をつけてどのレイヤーに何があるかをメモしておきましょう。
ステップ④:ディテールの線を描いていく
次に、髪の毛や服の襟など、ディテールの線を描いていきます。
主線なしのイラストだから線をまったく使わない、という訳ではなく、細かい部分の描写には線を描き込みます。
ディテールを描き足すことで、一気に絵が締まる感じが出ますね。
ステップ⑤:影を塗る
下塗りができたら、影を塗っていきましょう。
影は乗算レイヤーを新規作成して塗ります。
乗算レイヤーは、下にあるレイヤーの色を掛け合わせて合成してくれるレイヤーです。色が暗くなることから、影の塗りに適しています。
乗算レイヤーについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
乗算レイヤーで影を塗ってみよう!
https://medibangpaint.com/use/2019/06/shadow_multiplication/
参考までに、レイヤー構成はこのようになっています。
ステップ⑥:ハイライトを塗る
最後にハイライトを塗っていきましょう。
ハイライトは、スクリーンレイヤーを作って進めていきます。
スクリーンレイヤーは、色を明るく柔らかい印象にしてくれる効果がありますので、柔らかいハイライトを乗せたい場合に適しています。
スクリーンレイヤーについては、こちらでも詳しく解説しています。
【初心者向け】スクリーンレイヤーを使ったイラストの仕上げ方
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-finish-illustrations-using-screen-layer/
あまり細かくし過ぎず、ポップなハイライトになるよう意識しましょう!
ハイライトのレイヤー構造はこんな感じです。
ステップ⑦:完成!
以上で完成です!
主線がなく、柔らかい印象のイラストが仕上がりました。
デフォルメだと、ころんとした質感のあるフィギュアのようなイメージに仕上がりますね!
イラストの主線のあり・なしはどのように決める?
イラストを描きはじめる時に、主線ありで描くか主線なしで描くか迷った場合は、イラストのテーマで決めるのも1つの方法です。
一般的に、主線ありのイラストは、輪郭の線がはっきりしていることから物の形を正確にイメージしやすく、漫画作品や説明イラストなどに適しています。
対して、主線なしのイラストは、全体的なフォルムや雰囲気に目がいきやすいため、イメージイラストや絵本、ポスターなどに向いています。
ただし、「この作風には主線あり(なし)で描くべき」という明確なルールが決められている訳ではありませんので、両方の手法で試してみて、しっくりくる方で描き進めるというのがおすすめです。
トレースで手軽に主線なしイラストを練習してみよう!
好みの作品のトレースをすることで、手軽に主線なしのイラストを練習することができます。
主線なしのイラストを描く際には、下描きを元に色を塗って描き進めていきます。塗った色を削って調整していくことから、イラストを描くというよりも彫刻や粘土細工に近いと感じられる方も多いでしょう。
既に完成した作品をトレースすることで、影の付き方や光の加減など、主線なしのイラストで重要な部分を効率的に練習できます。
メディバンペイントの「メディバンライブラリ」では、無料で使えるテンプレートが配布されていますので、トレース元として練習に活用しちゃいましょう!
メディバンライブラリでのトレース練習については、こちらでも詳しく解説しています。
メディバンライブラリ09 イラストのトレースを練習!線をなぞってみよう
https://medibangpaint.com/use/2023/08/medibang-library-09/
主線のありなしでイラストのテイストがガラッと変わる!主線ありとなしの違いを比べてみよう
主線のありなしでイラストのテイストが大きく変わりますので、マンネリを感じている方は気分転換に試してみるのも良いでしょう。
主線なしのイラストというと難しく考えてしまいますが、下描きを描いてから色を塗っていく作業自体は主線ありのイラストと大きな違いはありません。
ただし、デジタルでの作業の場合、レイヤーの順番などが主線ありのイラストを描く場合と異なりますので、記事の実例を繰り返し練習して慣れていきましょう。
主線なしのイラストを描けるようになれば、大幅にイラストの引き出しが増えますので、しっかり描いて自分のものにしちゃいましょう!
(文・絵/つかさん)
X(旧Twitter):https://twitter.com/Tsukasan0823
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