2021.06.19
光溢れる水彩風イラスト
はじめまして、遥川遊と申します。
今回はiPhone版メディバンペイントで、光溢れる水彩風イラストの描き方を解説させていただきます。普段の制作の流れを一通りご紹介していくので少々長くなりますが、これからの制作のヒントになれば嬉しいです!
Index
1. キャンバスの準備
新しいキャンバス→新規作成で1000×1500pxのキャンバスを用意します。
線画自体が細かいので小さめのサイズにしていますが、自分が描きやすいと思うサイズで描くことをおすすめします。
2. ラフ~線画
(1)ざっくりとイラストのイメージを描きます。今回は風に吹かれて桜が散っているさまと感情的に泣いている女の子を掛け合わせたラフを作成しています。
(2)ラフが完成したら不透明度を10%に設定。その上に新規レイヤーを追加します。
(3)Gペン2を使用しラフに沿って線画を作成します。少し線画に複雑さが欲しかったので、ロングヘアから三つ編みに変更。風の強さを表現する為、片方をほどけた状態にしました。
(4)バランスや描き忘れがないか確認した後、ラフを非表示にします。
3. 下塗り~テクスチャ
(1)新規レイヤーを作成→色を塗りたいところを一度全て塗ります。塗り残しがないか分かりやすいようにはっきりとした色で塗った後、透明度を保護→肌色に色を変えます。
(2)塗った下地にクリッピングしていく形で1パーツずつ塗り分けていきます。この時奥から手前になるように重ねて塗っていくと後々作業がしやすいです。
今回は桜の色が映えるイラストにしたいので桜以外は青系で纏めてありますが、本塗りの時にかなり雰囲気が変わるので、あくまでベースとなる色と考えてもらえると描きやすいと思います。
(3)本塗りに入る前に予めオーバーレイ(40%)でテクスチャを貼ります。今回はカスタムノイズで作成したものを使用していますが、他にもざらざらしたものであれば水彩の雰囲気を出しやすくなるので、自分が好きだなと思うものを試してみて下さい。
4. 本塗り
・水彩の重ね塗り
ここから本格的に水彩風に塗っていきます。
(1)まず焼き込みレイヤーを作成→クリッピングします。
(2)焼き込みレイヤー全体を一度白く塗りつぶした後、色を濃くしたいところを重心的に黒いもこもこ水彩ペンで塗っていきます。
※一度白く塗りつぶすことで焼き込みを強くすることが出来ます。
(3)作成した焼き込みレイヤーをトーンカーブで調節。滲みや色を見て加筆したりカーブの緩急を変えます。
(4)アンシャープマスクをかけて滲みを強調します。この工程は好みによっては省いても何も問題ありません。
(5)髪レイヤーの透明度を保護。桜が散っている方向から色が変わっているイメージで、ピンクを薄く塗ります。他のパーツと隣接しているところは色をぼかすように配色します。
(6)先程の工程だけでも大丈夫ですが、もう少し透明感を出すために(2)~(3)の工程と同じ方法でもう一枚色を重ねます。同じ黒だと重くなってしまうので今回は明るい水色を配色しています。
(7)一旦髪レイヤーをクリッピングから外し、重ねた焼き込みレイヤー2枚を髪レイヤーに統合→再度下地に髪レイヤーをクリッピングします。服や桜も同じ工程を繰り返して塗っていきますが、目はレイヤーの透明度を保護したまま描きこんでおきます。
・影付け
乗算レイヤーを新規作成→クリッピングします。一度灰色で影を塗った後、不透明度を保護。全体のバランスを確認しながら色を変えていきます。
今回はピンクと青を中心に塗っていますが、作品の雰囲気によって塗る色を変えるとより幅広い作品制作に役立てることが出来ます。
・線画を馴染ませる
線画レイヤーを乗算レイヤーに変更。
周りの色に違和感なく馴染むように塗り替えます。睫毛や眉毛等、色と線が重なっている部分はあまり目立たないように少し薄く塗ると透明感が増します。
・肌を塗る
下地レイヤーに直接、もこもこ水彩3で頬や指先にオレンジ系の色を軽く塗ります。
この時、先程描いた影のふちを濃い目のオレンジで塗って光の表現を強くしておきます。
・水彩で描きこむ
新規レイヤーを作成→比較(明)にしてクリッピング。1度黒で塗りつぶした後、水彩の重ね塗りと同じ要領で入れたい色をもこもこ水彩ペンで入れます。
こちらもアンシャープマスクをかけますが、先程同様お好みによっては省いても問題ありません。
・光を入れる
(1)新規レイヤーを作成→加算(発光)にして目と涙に光を入れます。(水彩・ウェットを使用)
(2)目レイヤーの上に新規レイヤーを作成→スクリーンにしてピンクのグラデーションをかけたら目レイヤーに統合しておきます。
※髪に隠れている部分は髪レイヤーを選択し、50%の消しゴムで消すと透明感が増します。
(3)加算(発光)レイヤーでイラストの全体にスパッタリングをかけます。細かければ細かい程繊細さが増すので、スパッタリング(水彩)だけでなくペンも使用して根気よく光の粒を増やしていきます。
(4)新規レイヤーを作成→加算(発光)にしてクリッピング。もう少し色の変化が欲しいので強めの赤と青を重ねます。
(5)睫毛の部分も加算(発光)で加筆しておきます。
5. 描きこみ
イラストに奥行きと躍動感を持たせるため、細かい描きこみをしていきます。
(1)新規レイヤーを作成→乗算にしてクリッピング。水彩境界をONにして髪や服の細かいところを描きこみます。
(2)下地レイヤーの下に新規レイヤーを作成。桜の花びらを描いて移動ぼかしをかけます。
(3)新規レイヤーを作成→オーバーレイで水彩境界をON。ピンクで花びらを描きこみ、同じものをもう1枚作成して重ねます。
(4)新規レイヤーを作成。(2)と同じ手順で手前に桜の花びらを増やします。
6. 仕上げ
(1)先程作成した手前の桜の花びらを複製→加算(発光)に変更。不透明度を25%にして発光させます。
(2)全体的に色が濃い目なので新規レイヤーを作成→ソフトライトにしてグラデーションをかけて50%に変更。少し色味を落ち着かせました。
(3)最後に細かいところにぼかしをかけ、影の色を調節したら完成です。
以上、光溢れる水彩風イラストの描き方でした!
デジタルでの水彩に興味がある方の参考になれば幸いです。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました!
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