ここ数年ですっかり定着した「縦スクロール漫画」。
名前の通り、スマホで読みやすいように特化した縦に長い漫画です。
電子配信の商業漫画のほか、SNS上でも縦長のファンアートをよく見かけますよね。
スマホでスッスと上から下に読んでいく手軽さが魅力です!
自分でも作ってみたい!という方は多いのではないでしょうか?
縦スクロール漫画は、今まで講座で紹介した「一般的な漫画」とは作り方や注意するポイントがまったく違います。
作り方を詳しく解説します。

☆キャンバスを設定しよう

縦スクロール漫画の最大の特徴は、1枚の縦長のキャンバスを使う点です。
従来の漫画のように1ページ目、2ページ目…と増やすのではなく、すべて1枚のキャンバスに収めます。

用紙の設定の仕方は大きく2つあります。
自分のやりやすい方法を選びましょう。

方法①最初から縦長のキャンバスを作って描く

なが〜いキャンバスを先に作ってしまい、そこに上から順に描いていく方法です。

●メディバンペイントPC版●

【ファイル】→【新規作成】を選択

【用紙サイズ】の設定

幅:650〜1000pixelぐらい
→端末によって横幅が違うが、投稿時に自動でスマホの横幅に合わせて表示してくれるケースが多いので、大体このくらいの幅で作っておけば大丈夫です。

縦:MAX20000pixelまで

メディバンペイントPC版では、20000pixelまで設定できます。
後で削ることもできますので大きめに設定しておきましょう。

※なお、PC版では最初から20000pixelまで設定できますが、スマホやタブレット版では初期設定で設定できる縦サイズが異なります。
ipad版、スマホ版でも作業の途中であれば20000pixelまで伸ばせますので、後で調整しましょう。

こんなに細長いキャンバスができました(笑)
これを拡大して、上から1コマずつ埋めるように描いていきます。

 

方法②下へ下へとキャンバスを伸ばして描く

まず、スマホの一画面に収まるぐらいの大きさのキャンバスを作ります。

【ファイル】→【新規作成】を選択

【用紙サイズ】の設定

端末にもよりますが、大体幅650〜1000、高さ1200pixelぐらいの大きさがスマホに適しています。

用紙の設定ができました。
ここにまず1コマ目〜3コマ目ぐらいまでを描きます。

この下に、白いキャンバスを追加します。

【編集】→【キャンバスサイズ】

【上中央】を選択

高さを今の1200pixelよりも長くする
→わかりやすいように2400、3600、4800…と1200ずつ増やしていくのがおすすめです。

先ほど描いたコマの下に白いキャンバスが追加されました。
このように、描いては伸ばし、描いては伸ばし…を繰り返して縦長にしていきます。

●スマホ版の場合●(画像はAndroid版です)

左下のアイコンから、
【キャンバス設定】→【キャンバスサイズ】

【キャンバスの中心点】の四角を上側に設定(タップすると四角が動きます)
高さを今の1200pixelよりも長く設定

PC版と同様、描いたコマの下に白いキャンバスが追加されました。

①と②どちらのやり方でもいいのですが、初心者の方には画面が見やすい・扱いやすい②の方がおすすめです。

 

☆縦スクロール漫画を読みやすくするコツ

●視線の動きを考える

雑誌に載っているような一般的な漫画との1番の違いは、読み手の「視線の動き」です。
従来の漫画は、画像のように右上から始まり左下で終わる「逆Z」の形で読み手の視線が動いていきます。
一方、縦スクロール漫画は、視線がずっと「上から下」です。
これが最大の武器でもあり、一歩間違えるととても読みにくくなってしまいます。
「上から下」を踏まえた構成を考えていきましょう。

●コマ割りのコツ

縦スクロール漫画は読みやすさが命です。
また、上から下への視線の動きを邪魔しないよう、横への展開はなるべく避けた方が良いでしょう。
基本的に、1画面1コマ〜3コマぐらいで並べていくのがおすすめです。
横に並べたい時は、2コマまでに留めると良いです。
それ以上並べてしまうと窮屈な上、視線の流れを遮断してしまいます。

ただ四角を並べていくだけでもいいのですが、それだと単調になってしまいます。
断ち切りゴマや変形ゴマをうまく使い、画面に変化を出すと◎です。

●縦の強みを生かした演出

縦スクロール漫画の強みの一つが、「コマを好きなだけ上下に伸ばせる」ことです。
1ページのサイズが決まってしまっている従来の漫画では不可能な演出もすることができます!
特に、「上から下に落ちる」「魔法のエフェクトを天に放つ」「あえて縦に余白を取り、切なさを演出する」など、上から下の視線を最大限活用した演出で、読み手をグッと惹きつけることができますよ。

 

☆注意するポイント

●台詞の量は少なめに!

台詞の量が多すぎると、画面が文字でいっぱいになり非常に読みづらくなります。
また、スマホの場合、サクサクとテンポ良く読みたい人が多いため、台詞量が多いと途中で飽きられてしまう可能性もあります。
なので、できるだけ1コマの台詞の量を減らしましょう。

●コマとコマの間に「間」を取ろう


間隔無く連続してコマを並べていってしまうと、ごちゃごちゃとしてしまい、読み手も一息つく間がないので疲れてしまいます。
縦スクロール漫画は特に意識して間を取るようにしましょう。
絵と絵の間に余白を作ることでグッと読みやすくなります。
また、余白は「時間の経過」を表すことができます。
場面や昼夜の切り替わりの時などで大きく余白を作ると、読み手も自然と気持ちを切り替えることができます。

●縦スクロールに向いている・向いていない題材

縦スクロール漫画には弱点があります。
それは、「横の動きに弱い」という所です。
当然ながら、上から下にスクロールしていくため、横方向に動きに対して圧迫感を感じやすく、横方向のアクションとは相性が悪いです。

例えば画像のようなボールを蹴るシーンの場合、せっかく左方向に強烈なシュートを打っているのに、その次のコマは下にあるので、演出と視線の方向がちぐはぐになってしまいます。
この場合、正面方向にボールを蹴る絵に変えるなど、工夫が必要です。

一方、人物の表情を画面いっぱいに見せることができるため、人物の感情の動きを中心に描く恋愛ものやコミックエッセイ、ほのぼの日常を描いた作品などは縦スクロール漫画と相性が良いです。
自分が描きたい題材に合わせて、仕様を選ぶとよいですね。

向いていない(工夫が必要):スポーツ、アクションなど動きの多い題材
向いている:恋愛もの、ほのぼの日常、コミックエッセイなど人物の感情中心の題材

以上、今勢いの増している縦スクロール漫画の描き方のご紹介でした!
自由度が高く、アイデア次第で無限の可能性がある縦スクロール漫画。
一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

(文・絵/はらなおこ)
NAOまんが製作室
twitter:@nao_comic