こんにちは、ГФです。
今回の講座では、マンガの大本になるネームについて解説します。

これまでの講座はこちら
初心者マンガ講座01 マンガ作りの手順を知ろう
初心者マンガ講座02 マンガの企画を考えよう「その1」
初心者マンガ講座03 マンガの企画を考えよう「その2」
初心者マンガ講座04 MediBang Paintでマンガを描く準備をしよう
初心者マンガ講座05 ネームを作ろう
初心者マンガ講座06 コマ割り・画面作りについて考えよう

 

「ネーム」はマンガの設計図です。
この段階でコマ割りやセリフが決まり、マンガの基本的な流れが完成します。
とても大事な工程ですが描き直しが比較的簡単なので、ここで時間をかけてじっくり構想を練るのが一般的です。

ネームの描きこみは人によって違います。吹き出しとセリフのみの人、キャラを棒人間のような簡単な書き方で描く人、キャラの表情や背景の構図なども具体的に決めて描きこむ人など様々で、自分に合ったやり方で大丈夫です。

ネームを描くときはは要らない紙やノートを使ったり、市販や手作りのネーム専用用紙を使ったりします。デジタルでマンガを描く場合は、完成原稿と同じ位置に直接ネームを描くことができます。

また、ネームを作る前に、さらにその設計図である「ネームのネーム」を作るという方法もあります。
「ネームのネーム」の作り方は、B4やA3などの大きな紙を折るなどして32等分し、その1つ1つにコマ割りや吹き出し、キャラなどを描いていきます。1ページ分がかなり小さくなるので、そこまで描きこむ必要はありません。

「ネームのネーム」はデジタルで作ることもできます。その場合はクラウドブラシの「分割ブラシ」を使うと便利です。

「ネームのネーム」は、全てのページを見開きで確認できるので、構図の被りや単調さに注意しやすくなります。また、残りのページ数を視覚的に認識することができ、描き直しも容易なので、ページ調整も楽にできる点が有効です。特にページ数の感覚がつかめない内は実践してみるとよいと思います。

さて、企画やプロットを練ったら、早速ネームを描いてみましょう。

前回の講座で解説したやり方で新規クラウドプロジェクトを立ち上げます。投稿用原稿の場合は[商業誌(B4原稿用紙相当):グレースケール]、同人誌の場合は作るサイズのグレースケールのテンプレートを選びます。全ページモノクロ、ページ数は自由でOKです(初期設定は最大16で、後でページ追加アイコンを押して増やせます)。1ページ目をクリックして開きます。

開くと、8ビットレイヤーが1つ出来ています。この8ビットレイヤーは黒~グレー~無色のグラデーションの色を使うことができるレイヤーです。これをネーム用のレイヤーにしてもOKです。

また、8ビットレイヤーは好きな色に変えることができます。色を変えたい場合は、レイヤーの右側にある歯車アイコンをクリックすると変えられます。レイヤーの名前を変えたいときもここで変えられます。ネームを描くレイヤーは「ネーム」と名前をつけておくと後で確認しやすくなります。

キャンバスには青い線が引いてありますが、これはガイドなので実際の絵には反映されません。基本的には一番内側の枠に収まるように描きます。

ガイド線やコマ割りについては後の講座で説明するので、最初は難しく考えず自由にコマを割ってフキダシを配置し、マンガを描いてみましょう。好きなマンガのコマ割りを参考にしてみてもよいです。ネームの段階では、枠線やフキダシの線はすべてフリーハンドでOKです。

デジタルの場合は最初からセリフを打ち込むことができるので、ネームの時点で打ち込んでしまいます。テキストの「T」のアイコンをクリックし、文字を入れたい場所をクリックすると[テキスト編集]のウィンドウが開きます。縦書きのセリフを入れる時は、[縦書き]のボックスにチェックを入れます。文字のレイヤーはフォルダにまとめておくと便利です。

フォントの種類や大きさについても決まりごとはありませんが、なるべく大きめで行間もあけた方が読みやすくなります。初めてで何にすればよいか分からないという場合は、とりあえず日本語は「アンチックセザンヌ」、欧文は「CC-WildWords」、簡体字は「Noto Sans SC」、繁体字は「Noto Sans TC」でいずれも大きさは14ptの行間は6ptくらいにしておきましょう。これらのフォントはメディバンペイントの「クラウドテキスト」に入っていて、無料で使うことができます。フォントが見つからない場合は、[クラウドテキストを使用する]にチェックを入れて探すと見つかります。
一つのフキダシに入れるセリフは、なるべく短くするように心がけましょう。基本的に一つのフキダシの中では一つのことを語るにとどめ、セリフで全部説明するのではなく絵で説明するという意識を持つことが大事です。

それでは、例として次のようなプロットを実際にネームにしてみます。

プロット:ファストフード店に来て、ハンバーガーを注文したら、バンズの間におじさんが挟まっていた

見開き左ぺ―ジを1ページ目として、3パターンのネームを作ってみました。

パターン① 2ページで描いた例

パターン② 1ページで描いた例

パターン③ エッセイマンガ風に1ページで描いた例

パターン①は、まず1コマ目でファストフード店を大きく描くことで、どこで物語が展開されるのか読者に伝わりやすくなっています。その後の店員とのやりとりは2コマ目と3コマ目を使って描かれていますが、コマを使いすぎていてやや冗長な感じがします。4コマ目でハンバーガーを食べようと思った主人公は、5コマ目で何かに気づきます。その何かとは、おじさんだった…というのが、次のページで明らかになります。

この1ページ目5コマ目は「引き」、2ページ目1コマ目は「めくり」になっています。「引き」は見開きの最後のコマに次のページへの興味を引かせるような演出を入れる技法で、「めくり」は読者がページをめくって最初に目にするコマにインパクトのある内容を入れる技法です。この「引き」と「めくり」を効果的に入れることで、読者を飽きさせずに読ませることができます。

パターン②は、①と比べて1コマ目が小さく、少々場所が分かりづらくなっていますが、「いらっしゃいませー」のセリフと、2コマ目を大きめにとって店内を描くことで説明しています。店員とのやりとりは1コマで済ませ、3コマ目で席に着き、4コマ目でハンバーガーを食べようとした主人公は何かに気づき、5コマ目でおじさんが出てきます。

①と比べると、おじさん登場のインパクトが弱く、ここを見せ場としたいのならばかなりもったいないことになっていますが、ここからもっと衝撃的展開がありおじさん登場が通過点レベルならばこの程度の演出でもいけます。また、コマを消費しないことで①と比べると読んでいるときの体感スピードが早くなっており、テンポを重視するならこちらの方がよいという場合もあります。さらに、①では同じ内容に2ページも使ってしまったのがこちらでは1ページで済んでいるので、ページ数が少ない中でネームを描かなければならない場合はこのようなコマ割りも候補に入ってきます。

パターン③は、すべて同じような大きさのコマで構成されており、淡々と、悪く言えば単調にストーリーが展開します。1コマ目のファストフード店はそこそこ大きく描かれているため場所は伝わりやすく、店員とのやりとりも2コマ目のみのためテンポは悪くありません。3コマ目でハンバーガーを食べようと思った主人公は、4コマ目で何かに気づき、5コマ目でおじさんを見つけます。そこで特別に盛り上がるわけでもなく、そのままの流れで6コマ目でおじさんがしゃべりはじめます。

パターン①・②と比べると、かなりゆったりとした雰囲気で、爆笑や衝撃よりもくすりとした笑いを誘うような展開になっています。衝撃的な展開で畳みかけるのではなく、肩の力を抜いたゆるいマンガを描きたいのならば、こういうネームもありです。

以上のように、同じプロットでもネームによって読者がどう感じるか、どのようなマンガとして読まれるかも異なってきます。読者が一番面白いと感じる、あるいは自分が意図する読まれ方をするマンガを作るために、既定のページ数におさめるようにしながら、コマ割りや構図、セリフの試行錯誤をする作業がネーム作りです。

実際に読んでどう感じるかは自分ではなかなか分からないものなので、誰かに読んでもらうことは非常に有効です。読んでもらうことで、自分では気づけなかった分かりにくい点や、「自分ではシリアスだと思っていたものが他人にはギャグに見えていた」というようなセンスのズレなどにも気づくことができます(そのズレを直すか、武器にするかはあなた次第です)。

 

いかがでしたでしょうか?

次回は「コマ割り・画面作り」について解説します。

 

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初心者マンガ講座01 マンガ作りの手順を知ろう
初心者マンガ講座02 マンガの企画を考えよう「その1」
初心者マンガ講座03 マンガの企画を考えよう「その2」
初心者マンガ講座04 MediBang Paintでマンガを描く準備をしよう
初心者マンガ講座05 ネームを作ろう
初心者マンガ講座06 コマ割り・画面作りについて考えよう

 

「ГФ」
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