2024.01.05
自分で漫画家デビュー!?オリジナル漫画を個人出版する方法!【紙媒体編】
漫画家になりたい!
いつか自分のオリジナル漫画を世に出して収入を得たい!
今も昔も漫画家は憧れの職業であり、いつかデビューするぞ!と志して日々努力している方も多いことと思います。
ですが、実際にデビューして漫画家として一定の収入を得ている人はほんの一握り…というのが現実です。
それを理解しているから、本当は漫画家を目指したかったけれど諦めて別の仕事を選んだ…という経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
ところが!時は令和!
電子書籍や同人誌など、自分のオリジナル漫画を発表し、収入を得られる場が以前と比べてぐんと増えました!
前回の記事では電子書籍で個人出版をする方法をご紹介しました。
ですが、電子書籍よりもやっぱり冊子の形で発表したい!という気持ちが強い方も多いと思います。
今回はそんな紙派のあなたに、「紙媒体」で漫画を個人出版する方法について解説していきます!
【関連リンク】
自分で漫画家デビュー!?オリジナル漫画を個人出版する方法!【電子書籍編】
Index
◯紙媒体で個人出版って出来るの?
漫画を冊子の形で出版…というと、出版社を経由しないと出来ないのでは?と思っている方も多いと思います。
実際ほとんどの漫画本は出版社を経て出版されているのですが、前回の記事でも解説した通り、まず持ち込みや漫画賞への応募で編集部・担当編集者に認めてもらう必要があるため、とても狭き門なのが現実です。
では、漫画を冊子の形で個人出版する方法はないのでしょうか?
あります!!
大きく分けると、【同人誌】【自費出版】の2つです。
「え?同人誌と自費出版って同じじゃない?」と思うかもしれませんが、実はこの2つはまったく別物なんです。
一番の違いは、「どこで販売できるか」です。
・同人誌:同人誌印刷会社で印刷→同人誌即売会や同人誌専門の書店などで販売
・自費出版:自費出版会社で印刷→流通用の出版コードを取得(ISBNコードと書籍JANコードといいます)→Amazonや一般書店などで販売
同人誌はあくまで同人の世界の中だけで頒布するのに対し、自費出版では、いわゆるバーコードをつけることで、Amazonなどの通販サイトや一般書店などで販売することができます。
同人誌は同人誌印刷の専門会社、自費出版は自費出版本印刷の専門会社、とそれぞれ分かれており、そこに依頼して漫画を印刷してもらいます。
自費出版の会社の場合、印刷費に加えて、書店で流通させるための手数料や出版コードの取得、カバー代など本に付随する様々なものが含まれた料金パックになっている場合が多いです。
WEBで検索するとたくさんの会社が出てくるので、料金やサービス内容をよく見比べて検討しましょう。
同人誌・自費出版どちらの方法にもメリットとデメリットがあるのでご紹介します。
自分の状況や希望によって選んでください。
◆同人誌のメリット
自費出版に比べて費用が安い、小部数から印刷出来る
→同人誌専門の印刷所は比較的低価格、少ない冊数から対応してくれるため、自費出版に比べてハードルが低く、初めての人やちょっとお試しでやってみたい人も挑戦しやすいです。
本を好きな仕様に出来る
書店に流通させる自費出版では、紙の材質や本の大きさなどにある程度制約があります。
一方で同人誌の場合は、漫画の内容に合わせて紙の種類を変えたり加工をしたりと好きなように仕様を変えて演出ができます。
即売会で交流が生まれる
→同人誌即売会などで手売りすることで、直接買い手の方の反応が確かめられます。
また、同じくオリジナル漫画に取り組んでいる作家達が集まっているため、創作仲間が出来たり、漫画に関する情報交換をしたり、リアルならではの交流が出来るのも強みです。
◆同人誌のデメリット
販売する先が限られる
同人誌を販売する場所は、大きく分けて「同人誌即売会」「同人誌専門の書店」「同人誌専門の通販サイト」の3つです。オリジナル漫画だとしても、同人誌は一般書店で販売することができません。
同人=あくまでオタク文化のひとつです。作品にアクセスするためにはまず同人誌が売られている場まで買い手が出向く必要があります。
なので「オタクではないいわゆる一般の人々に作品を読んでほしい!」という場合同人誌は向きません。
利益は期待出来ない
悲しいですが、どんなに上手くてもオリジナルの同人誌は二次創作の同人誌に比べて売れないというのが現実です。即売会で1冊しか売れなかった…ということもザラに起きます。
これ1本で継続的に収入を得て生計を立てる!というのはほぼ不可能に近いので、まずは違う仕事をしながら趣味の延長として始めて、お小遣い程度に利益が出ればラッキー程度に思う方が良いでしょう。
◆自費出版のメリット
Amazonなどの通販サイト、一般書店で販売できる
→これが一番のメリットといえます。
同人誌と違い、流通用の出版コードを取得するため、一般の通販サイトや書店で販売できます。
閉じた世界である同人とは違い、広く多くの人が利用する場所で販売出来るのです。
書店に並べてもらうには別途で手数料がかかる場合が多いので、まずはAmazonなどからだと思いますが、自分の本がサイトに掲載されている姿は感激ものです。
周囲に本気度を示せる
→同人の方が良くも悪くも手軽なため、自分がいくら頑張っていても趣味程度に思われがちです。
また、同人誌よりも自費出版の方が費用がかかるためハードルが高いです。
そんな中で自費出版を選び、自分の作品を一般に流通させるんだ!というのは相当な覚悟が必要になります。
自費出版し、自分の作品を販売しているという姿を見せることで、「この人は遊びではなく本当に漫画家になりたいんだ」と家族や友人などに本気度を示すことができます。
また、出版社などに持ち込みを考えている場合も、「自分はこういう本を自費出版しました」と伝えることでやる気度のアピールにつながります。
売れたかどうかはともかく、なにより「漫画を自費出版した」「大変なことをやりきった」という事実が後々自分の経験値になります。
◆自費出版のデメリット
同人誌よりも費用が高額、まとまった部数の発行が必要
→同人誌印刷に比べて自費出版の方が費用がかかる場合がほとんどです。
また、同人誌は10部ぐらいからでも印刷してくれるのに対して、流通に乗せる前提の自費出版は数百冊という単位での印刷が基本になります。
初期投資が高額になるため、「売れるか分からないのにこんなに印刷代かけられない…!」というのが痛い所です。
利益は期待できない
→同人誌と同じなのですが、自費出版は特に利益はほぼ期待出来ないと思っていた方がいいです。
すでにSNSなどで人気や知名度があるなら別ですが、印刷費用を大きく上回る利益が出ることはなかなかありません。
自費出版で生活費を稼ぐ!というのは難しいです。
あくまで自分の経験値への投資・自己満足でチャレンジするものと思っていてください。
☆まずは同人誌からチャレンジしてみよう
同人誌と自費出版での個人出版を紹介しましたが、やはり最初は費用面でも気軽さでも同人誌の方がチャレンジしやすいと思います。
同人誌=二次創作の印象も強いですが、オリジナル漫画の同人の世界もおなじくらい賑わっており、恋愛からバトル、ホラー、歴史やエッセイなどなどジャンルもさまざまです。
どんな題材でも受け入れられる土壌があるので、自分の描きたい漫画を自信を持って発表してみましょう!
↓メディバンペイントでも同人誌の作り方に関してはこちらの記事でも紹介しています↓
【初心者向け】メディバンペイントだけで同人誌を作る方法!
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-make-a-doujinshi-using-only-medibang-paint/
◆オリジナル同人誌の発表の場
同人誌の発表の場は、大きく分けて【即売会】と【同人誌専門書店の販売】です。
同人誌専門書店での通販のみ、という選択も出来ますが、キャラや作品名で検索する二次創作同人誌と違って、オリジナル作品の同人誌は検索しづらく、無名の場合まったく売れないこともしばしばです。
なので、即売会と書店での通販の2つを上手く組み合わせて作品を売っていくのが良いかと思います。
オフラインでの同人誌即売会は、二次創作作品メインの即売会と同じように、オリジナル作品メインの即売会が定期的に開催されています。代表的なところでは以下のようなイベントがあります。
コミティア
東京コミティア(東京ビッグサイト)を筆頭に、地方コミティア(関西(大阪・京都)、名古屋、新潟、北海道、みちのく(福島・宮城)、福岡)があり、回数も規模も大きく創作系同人誌即売会の中ではかなり大きな規模で知名度も高いです。
また、出版社の編集担当者に直接作品を見てもらえる出張編集部のブースが設けられることもあります。アドバイスがもらえる他、出張編集部への持ち込みからデビューにつながるパターンもあるのでおすすめです!ぜひ利用してみてください。
https://www.comitia.co.jp/
オリComi
スタジオYOUが主催するオリジナル作品展示即売会。
コミティアと違い、二次創作の即売会と同じ会場で同時開催されています。
大都市だけでなく地方でも広く開催されているため地方在住でも参加しやすいです。
https://www.youyou.co.jp/only/original/index.html
J-GARDEN
BL作品限定のオリジナル漫画即売会で、年2回春と秋に東京で開催しています。
通称「J庭」。規模も大変大きく、BL特化の出張編集部もあります。
BLで勝負したい!という方には絶対におすすめです。
https://www.jgarden.jp/
その他、「歴史系創作物オンリー」「コミックエッセイオンリー」など、作品のジャンルごとに開催される小規模の即売会も様々な所で開催されています。WEBで検索して自分に合いそうな場を探してみてください。
☆紙媒体のオリジナル漫画を売るのに必要なこと
オリジナルほど宣伝力が鍵!
二次創作の場合は、作品やキャラクターの人気によって自分の実力以上に作品を手にとってもらえるケースも多々あります。
ですが、オリジナル作品にはそういった追い風効果はありません。
「オリジナル同人誌は売れない」と言われることも多いように、ただ発行して机に並べるだけではなかなか手にとってもらえないのが現実です。
同人誌にしろ自費出版にしろ、売れたいのであればまずは自分の知名度を上げる作戦が非常に重要です。
冊子用の作品の制作と並行して、SNSやpixivといった場を最大限活用しましょう。
冊子に登場するキャラクターを使った別エピソードをSNSに投稿したり、冊子の冒頭をpixivに載せたりとやり方はたくさんあります。
とにかく宣伝が命なので、多くの人に手に取ってもらえるように作戦を考えてみましょう!
SNSのアカウントは分けた方がいいかも?
これは好みですが、二次創作用のアカウントとオリジナル作品用のアカウントは分けた方が無難かもしれません。
作品ファンが流れてくるため二次創作の方がどうしても引きが強いので、オリジナル漫画が埋もれてしまう可能性があります。
また、二次創作でカップリングものを扱っている場合、そのカップリングが苦手な読者はアカウントごと避けてしまうため、自動的にオリジナル作品も読んでもらえなくなってしまいます。
オリジナルで頑張っていきたい!という気持ちが強い人は、アカウントを分けた方がすっきり管理出来ると思います。
今回は紙媒体で個人出版をする方法を紹介しました。
電子書籍も盛り上がっていますが、やはり自分のオリジナル作品が紙の本となって手元に残る喜びは何物にも変えがたいです!
ぜひチャレンジしてみてくださいね♪
(絵・文:はらなおこ)
X(旧Twitter):@nao_comic
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