2023.05.05
たった10分でクロッキーの基礎力がアップする練習方法
イラスト制作のバリエーションを増やすには、基礎力を徹底的にレベルアップするのが最も近道といえます。なかでも、60秒クロッキーはイラスト制作の訓練としては有効です。クロッキーとは速写のことを指し、対象を素早く描画する手法です。
とはいえ、じっくり丁寧にイラストを描きたい方にとって、急にクロッキーをはじめるのはやや抵抗があるでしょう。また、速写が苦手な方は「この手法で訓練するのは嫌だな」と感じる方もいるでしょう。
しかし、60秒クロッキーは短い時間で行えるうえ、日々の積み重ねをしていけば、着実に画力に磨きをかけられます。今回は、初心者でもできる簡単なクロッキー練習方法を紹介するので、イラストのさらなるレベルアップを目指したい方はぜひ挑戦してみてください!
Index
60秒クロッキーとは
60秒クロッキーとは、クロッキーを1分間で行う作画の手法です。比較的短時間で簡潔にイラストを描く手法のため、大まかに雰囲気を掴む力や素早くキャラクターを描く力がつきます。
素早くイラストの概要を掴んで形にできれば、細かな場所や色塗りなどほかの作業に時間を割けるため、効率的にイラストを描くことができます。
今回行うクロッキーの訓練は、60秒間のクロッキーを数セット行うスタイルです。これを日々繰り返すことで速写のスピードアップを図り、イラストの大枠を素早く掴む力を養います。また、イラストを描く習慣も身につくため、描き方が体に染みつきやすいのも特徴です。
また、普段から絵を描いている人は、絵を描く前のウォーミングアップとしての効果もあります。
それではこれから紹介する手順に従って訓練し、イラスト制作の基礎力をアップさせましょう。
10分で60秒クロッキー×10回を行う手順
今回はこちらのポーズ素材配信サイト「POSEMANIACS」
(https://www.posemaniacs.com/ja)
を利用します。60秒クロッキー×10セットで、今よりも高いレベルのイラストづくりを目指しましょう。
クロッキーを行う手順は以下のとおりです。
- サイト右部の30SEC DRAWINGをクリック
- 自分の練習したい題材に合わせて項目を変更する。
- キャンバスを準備してクロッキーを行う
①サイト右部の30SEC DRAWINGをクリックする
まずはPOSEMANIACSにアクセスし、サイト右にある「30SEC DRAWING」をクリックしましょう。こちらの機能を使ってクロッキーをしていきます。
②自分の練習したい題材に合わせて項目を変更する
クリックしたら、練習題材を決めていきます。間隔・回数・モデル・難易度などを自由に設定できるので、好みで設定していきましょう。
間隔
サイト上では「30SEC DRAWING」となっていますが、はじめての方は60〜350秒がおすすめです。不慣れな場合、30秒だと早すぎて全体を描けない場合が多いです。とくにはじめてクロッキーを行う方は、観察する余裕が無くただ惰性で描くだけになり、イラストの基礎力が身につきにくくなってしまいます。クロッキーに慣れるためにも、最初は一番長い350秒からスタートしましょう。
慣れてきたら秒数を減らしていったり、逆に細部を描きこめるように秒数を増やしていったり、自分の目標に合わせて進めていきましょう。クロッキーはデッサンのようにじっくり質感を描き込むようなことは行わず、形を捉えることが目的となります。丁寧に描くことよりは、「とにかくたくさんの回数を描く」ことを重視してみましょう。
回数
1回が10〜30分になるようなセット回数がおすすめです。はじめは10分で行って、もっとじっくり基礎力を身につけたいと感じた場合は30分程度、慣れてきて力がついてきたと感じた場合は5分程度にするとよいでしょう。
主な時間の目安は以下のとおりです。
350秒×5セット=約30分
60秒×10セット=10分
30秒×10セット=5分
あまりセット数を増やしすぎると疲れてしまうため、5〜10セットあたりが続けやすいでしょう。
モデル設定
はじめは女性/男性どちらかにしぼって行うことをおすすめします。同じ性別を続けて行うことで、特有の肉づき方やパーツの個性などを習得しやすいためです。慣れてきたら、違う性別を試し、同じように感覚を掴んでいきましょう。
人体のつくりを詳しく知るには、こちらの記事もチェックしてください。
https://medibangpaint.com/use/2021/05/skeleton-structure-of-the-human-body-from-a-birds-eye-view/
https://medibangpaint.com/use/2021/05/human-bodies-from-a-lower-angle/
難易度
習熟度レベルに合わせてお好みで決めましょう。いきなり難しくすると挫折してしまう可能性があるので、だんだんとレベルを上げていくようにしてください。今回は「普通」で描いていきます。
③キャンバスを準備してクロッキー練習をする
それでは早速クロッキーに挑戦していきます。まずはキャンバスを用意します。
※なるべく上下左右が画面サイズに収まるものを用意しましょう。
クロッキーは「キャラクターの形を捉えられるようになる」という目的があるので、時間短縮のためにも、キャンバスを動かしたり拡大縮小をしたりしないことを推奨します。
ナビゲーターウインドウの「ウインドウサイズに合わせる」ボタンを押すことで画面サイズぴったりにキャンバスをセットできます。
※ナビゲーターウインドウが使えるのはPC版のみ。
クロッキーの際は、以下の2点を重視してみてください。
クロッキーのポイント
→消しゴムを使うとその分時間のロスになります。なるべく一筆書きで描けるようになるために消しゴムは使わずにそのまま描き進めましょう。
→線を少しずつ重ねる形で描くことも時間のロスになります。なるべく一本の長い線で描くことを意識しましょう。 |
それでは早速実践していきます。
実践
1枚目
時間に合わせて細部は描きこまなくてもいいので、全体の形をとれるように進めていきます。
しかし、1枚目は時間が足りず、手が描けないまま60秒経ってしまいました。時間が足りなくても、自動的にこのサイトでは次に進むため、諦めて新規レイヤーを作成し、次に進みます。時間が足りないのが駄目なわけではないため「次は時間に間に合うようにしていこう」という気持ちに切り替えて次に挑むのが大事です!
最初は完成度よりも、回数を重ねることを重視します。そうすることで段々と形をとる技術が上達していきます。もし、設定した秒数では難しいなどがあれば、1~2枚目の時点で秒数を増やして実践しても大丈夫です!
あくまで自分が気持ちよく次のお絵描きに行けるためのステップとして活用してください!
10セット描き終えたら、総括をしてみましょう。
最初の2つは時間が足りず、手足の先まで描けませんでしたが、最後は全身を描くことができました。また、少しずつですが形をとる技術の上達や、「後ろ姿は苦手だな」「足の形がわからない」などの問題点も発見できました。
また、このサイトでは、過去に表示したポーズの履歴を100個前まで辿ることもできます。「10セット終えた後にこのポーズは次のイラストで使用したい!」「もっとこのポーズを上達させたい!」といった復習をしたい場合は、履歴から辿って更に細部を練習することもできます。
応用編:自分の好きな絵でクロッキー練習をしてみよう
クロッキーサイトだけではなく、自分の好きな絵やコスプレ作品のクロッキーにも効果があります。POSEMANIACSのサイトだけではなく、有志の方がクロッキー動画を出されていることもあるので、そちらもおすすめです。 実際にクロッキーからイラストを描き起こしてみましょう。
なお、この際に無許可の写真/イラストでクロッキーを行い、それを自作品として発表してしまうと著作権違反など、法的に訴えられてしまう可能性があります。そのため、クロッキーを推奨していない写真/イラストをクロッキーした場合は、SNSなどの不特定多数の目に触れる場への公開はやめ、練習に留めるようにしましょう。
クロッキーからイラストを描き起こすにあたり、今回はこちらの動画を利用させていただきました。
おはようクロッキー208(コスプレ回)(Morning Gesture Drawing)
動画内の42:03~の写真を元に3分間のクロッキーを行いました。
イラストに描き起こす場合は先ほどのクロッキーとは違い、写真そのままにならないように肉づけを行い、オリジナリティを出します。
ちなみにこのイラストでは、以下のような工夫をしています。
▽クロッキーで参考にした部分
- 脚のバランス
- 顔と胴のポーズ
- 小物の配置
▽オリジナリティを出した部分
- 画面に対して人物を元写真よりも斜めに配置する
- 小物などの色味の変更、色味の追加をする
- 動画内の他の写真を参考に腕のポーズ、胴のポーズを描きかえる
次に、写真をもとに色合いなどを決めましょう。
服のしわなどは写真を参考にしつつ、顔や装飾、ポーズの角度などを変更しました。
最終的な完成形はこちらです。
色合いなどは大幅な変更をしたものの、参考ポーズがあるおかげで違和感のないポーズに仕上がり、新しい視点の構図などを生み出すことができました。すべてそのままではなく、手や表情、パーツなどを変更し、オリジナリティを出すことでクロッキーをうまく絵に活用でき、結果クオリティアップにつながりました。
まとめ
10分程度でできる60秒クロッキーの訓練を紹介しました。
クロッキーをすることで、速写のスピードアップを図り、イラストの大枠を素早く掴む力などを養うことができます。さらに、自分ではなかなか描く機会のないポーズの練習もできます。クロッキー推奨のサービスや動画を参考にしながら行えば、新たな発見や課題を見つけることができます。
10分クロッキーをコツコツと続ければ、着実にイラストづくりの基礎力が磨かれると思いますので、レベルアップを実感したい場合は、ぜひ10分間のクロッキーに挑戦してみてください!
(文・絵/ももんが)
Twitter/twitter.com/momongapoketto
HP/momongapoketto.webnode.jp/?_ga=2.188420200.1513750915.1655365771-154702577.1655365771
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