2023.09.01
透明感のある黒髪の塗り方を8ステップで解説!初心者でも簡単に透明感を出すコツ
透明感のある黒髪は、清楚で誠実な印象を与える、イラストにおける重要な要素の1つです。
髪の毛の塗り方の中でも、とくに黒髪の塗り方は難しいため、黒髪の塗り方に苦手意識を持っているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、難しいイメージのある透明感のある黒髪の塗り方も、コツをつかめば初心者でもマスターすることは可能です。
今回は、実際の作業工程8ステップから、黒髪の塗り方について解説します。
また、線画の描き方については、こちらの記事を参考にしてみてください!
「初心者でも簡単!かわいい女の子のイラストを描く方法【髪編】」
https://medibangpaint.com/use/2023/07/cutegirl-draw-method-hair/
【顔編】の記事はこちらから
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-draw-a-girls-face-cutely/
【瞳編】の記事はこちらから
https://medibangpaint.com/use/2023/06/easy-eye-drawing/
Index
黒髪の塗り方にはコツがある!透明感とツヤ感が重要
黒髪の塗りは、明るい髪色の塗りに比べても難しいと言われています。
その理由は、黒髪は明るさ・彩度がともに低く他の髪色より単調であるため、なめらかで光沢のある質感の表現にコツが必要となるためです。
たとえば、黒髪を構成するベースカラーは黒単色ではなく、様々な色合いで構成されています。
とくに、デジタルのイラストでは単に黒を塗るだけではなく、黒髪を構成する色合いを理解することで、透明感とツヤ感を演出することができます。
黒髪に透明感を出す塗り方のコツ!塗り方の8ステップを解説
ここでは、透明感のある黒髪の塗り方を、8ステップに分けて解説します。
黒髪のハイライトや影を正確に描くことにくわえ、黒髪の透明感とツヤ感を演出する方法を覚えましょう。
ステップ①:髪の下塗り
完成した線画に、まずは髪の下塗りをしていきます。
黒髪に透明感を出すための下塗りのポイントは、真っ黒(RGB表記だとR0,G0,B0)ではなく、少しだけ逸れた黒色を使うことです。
今回は、画像に示した通り(R33, G23,B31)で下塗りをしています。
ステップ②:前髪に透け感を入れる
次に、新規の通常レイヤーを作成し、前髪や顔周りの後れ毛に肌色を重ねて塗ります。
肌の影部分の比較的濃い色をスポイトで取って、エアブラシで顔周りの髪にふんわりのせる感じで色を入れていきます。
やりすぎると浮いてしまうので、適宜レイヤーの不透明度を下げるなど調整しましょう。
ステップ③:光源を決めて「影1」を入れる
髪の毛の影を塗り始める前に、光源の位置を決めましょう。
黒髪には光沢があり、光が当たると明るく反射し、光の当たらない箇所は影でより暗くなります。
光と影の表現によって黒髪が一気に立体的になりますので、重要な工程の1つです。
今回は、光源を人物の右側に設定しました。
光源を設定したら、乗算レイヤーを新規作成し、光の当たらない部分に影を入れていきます。
下塗りに真っ黒を使わない理由は、影と下塗りの色を区別化しやすくするためでもあります。影の形は基本的に線画の流れに沿って、髪の根元から毛先に向かって、流れをつかむように描きましょう。
今回は、光源を右側に設定したので、左半分に影を多めに、右半分に影を少なめに入れるよう心掛けていきましょう。
ステップ④:新規の乗算レイヤーに「影2」を入れる
ステップ③の影を塗り終わったら、その上にもう1つ乗算レイヤーを新規作成し、ステップ③よりも濃い影を塗っていきます。
今回の塗りにおける一番暗い色になりますので、後ろ髪など一番暗くなる部分に入れてコントラストをつけましょう。
ステップ⑤:オーバーレイで雰囲気を整える
影を塗り終わったら、新規のオーバーレイレイヤーを作って雰囲気を整えていきます。
今回は、暗い部分に紫、お顔周りにオレンジをのせました。
黒髪の光沢を表現する際に使用する色はどうしても単調になりがちなので、オーバーレイで鮮やかさを出していきましょう。
しかし、色をのせすぎると黒以外の色の主張が強くなりすぎて、黒髪が作り出す落ち着いた雰囲気が台無しになってしまうのでバランスを見ながら調整していく必要があります。
ステップ⑥:髪の毛に光を描きこみ立体感を出す
ここからは、ハイライトを入れていきます。
スクリーンレイヤーを新規作成して、ベースカラーと区別しやすい色を選んで塗っていきましょう。水彩ブラシなど、境界線が柔らかいブラシを使うとよりソフトな印象へと変わるのでおすすめです。
作例では、つむじと、髪の毛が曲がっているところにハイライトを置いています。
また、光源の位置からして、右側に光がより多く当たることが分かります。ハイライトも影と同様、髪の流れに沿って一本一本丁寧に入れていきますが、大まかに描いた後、指先ツールを使って形を整えていくとより簡単にできると思います。
単調なハイライトではなく、長く伸びたり、縮まったりするランダム感を心掛けるとメリハリが出るので◎!
ステップ⑦:ハイライトの色を調整する
たとえば、真夏の室外の強い日差しのような強い光源なら、髪も強く発光するのでこのままでもよさそうです。
今回は、柔らかくふんわり仕上げたいので、ハイライトの色を調整していきます。
スクリーンレイヤーの透明度を保護し、ステップ⑤と同様に暗い部分に紫、光源に近い部分はオレンジをのせます。
ハイライトに使う色はイラストのイメージを大きく左右しますので、季節やシチュエーション、天気によってハイライトを調整しましょう。
ステップ⑧:髪の毛束を描き加えて最終調整!
最後に新規のレイヤーを追加し、様々な場所からスポイトで色を拾って、髪の毛束を一本ずつ元のイラストに馴染ませるように追加していきます。
細かなディテールが表現され、より立体感のある黒髪に仕上がります。
透明感のある黒髪を自然に塗る4つのポイント
黒髪を上手に塗るためには、塗り方のコツを理解しておく必要があります。ここでは、透明感のある黒髪を自然に塗るコツを解説します。
ポイント①:髪の毛の塗り方の種類を知る
デジタルイラストの黒髪の塗りには様々な種類があります。髪の毛の塗り方の種類の一例を抜粋して紹介します。
- アニメ塗り:デジタル塗りの基本となる塗り方
- ギャルゲ塗り:アニメ塗りを基に影色をより馴染ませた塗り方
- アナログ風塗り:アニメ塗りにより書き込みを加えた塗り方
- 厚塗り:筆ブラシなどで色を何層にも重ね、重厚感を出した塗り方
同じ線画でも塗り方によって大きく印象が変わりますので、様々な塗り方の種類を知ることは重要です。
ポイント②:レイヤーを活用する
黒髪の塗りでは、様々な役割を持ったレイヤーを活用することが重要です。
今回の作例では、通常レイヤーに加えて次のレイヤーを使用しました。
乗算レイヤー | 下のレイヤーと乗算レイヤーの色を合成。影の塗りにおすすめ |
スクリーンレイヤー | 柔らかい色の印象に合成する。ハイライトの塗りにおすすめ |
オーバーレイ | 明るさや暗さを強調。仕上げに活用する |
それぞれのレイヤーについて、詳しくはこちらでも解説しています。
乗算レイヤー
https://medibangpaint.com/use/2019/06/shadow_multiplication/
スクリーンレイヤー
https://medibangpaint.com/use/2021/07/how-to-finish-illustrations-using-screen-layer/
オーバーレイレイヤー
https://medibangpaint.com/use/2021/05/how-to-finish-the-illustration-with-overlay/
ポイント③:髪の毛の塗りと肌の塗りの雰囲気を合わせる
黒髪に限らず、髪の毛の塗りが全体的なイラストの雰囲気と統一感があるかを確認しておきましょう。
たとえば、肌がアニメ塗りなのに、髪の毛だけ一本一本書き込まれたリアル調になると違和感がありますよね。
ポイント④:前髪の透け感が重要!
黒髪の透明感の演出には、前髪の透け感が重要です。
ですので、おでこが出ている髪型のキャラクターよりも、前髪のあるキャラクターの方が透明感は出しやすくなっています。
透明感のある黒髪はキャラクターの命!黒髪の塗りに挑戦しよう
髪の毛は、キャラクターをイメージづける命と言っても過言ではありません。
その中でも、黒髪の塗りは初心者がつまづきやすい題材でもあります。
しかし、今回紹介したステップに沿って塗れば、透明感やツヤ感を誰でも表現することが可能です。
1つ1つのステップを確認しながら、ぜひ皆さんも透明感のある黒髪の清楚系男子/女子を描いてみてください!
(文・絵/でぺ)
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ART street / https://medibang.com/u/depe874/
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