2021.11.05
懐かしい景色!日本家屋をメイキング
今回は歴史を感じる日本家屋をメイキングしていきます。
「田舎や和風なイラストを描きたいけど難しそう」そんな方に是非読んでいただきたいです!
Index
1ラフから線画まで
まずは描きたい構図をざっくりと描き起こします。
今回は「田舎のおばあちゃんの家」らしさのある縁側をイメージし、障子越しにも空が見えるようにしました。
障子の真ん中〜少し上くらいにアイレベルを置きます。
「アイレベル」は大体目線の高さくらいにしましょう。
そして図のようにアイレベル上に消失点を作成します。
定規と消失点の作成方法、保存方法はコチラ→『【PC】定規を使う』です。
青い印のように一つは角度に沿って、一つはアイレベルに沿って線を引くとうまくアイレベル上に消失点を作成できます。
作成ができたら二つの消失点は忘れずに保存してください。
では作成した消失点に沿って骨組みを描きます。
この時、「縦の赤い棒は柱」「横の青の棒は支えられる箇所」と建物の構造を意識してみてください。
ここに「柱」「障子」「廊下」「畳」などパーツを描き込んでいきます。
そして日本家屋に欠かせないのがカワラです。
カワラの形は様々ありますが、今回は一般的なものにしています。
図解すると、このように丸い形とカーブの形を組み合わせて波のようになっています。
これらを組み合わせて下書きに起こすとこのようになります。
今回はわずかにしか見えていませんが、畳には並べ方の法則があります。
単純に網目状に線を引くのではなく、図のように長方形が並んでいるのを意識してみてください。
作成した下書きを線画に起こしました。
今回は雲や植物は着彩する際にそのまま描き込むので線画には起こさずにおいています。
2カラー作成
①柱・障子など木目の箇所
続いて着彩に進めていきます。
まずはツールバーのバケツツールを使います。
このように全体にざっくりと色をのせていきます。
バケツツールは何度でもやり直しがきくので思い通りの色を塗ってください。
この時、どこから光が差しているかを意識してみてください。
今回は右上から太陽が照らしているように描きたいので「上部が一番明るい」「右面が2番目に明るい」「左面は暗い」となるようにします。
まだ下塗りなので違いが見にくいですが、アップにするとこのように色分けしています。
さて、下塗りに描き込んでいきます。
まずは描きたいレイヤーの上に新規作成レイヤーを置き、「クリッピング」を選択してください。
最初に壁から描き込んでいきたいので、壁のレイヤーを選択しています。
壁の色より少し濃い色で大雑把に濃淡を描きこみます。
壁の年季を感じるようにすこしムラが見えるくらいの程度で構いません。
壁に入る木材の影も描いてください。
柱の模様を入れていきます。
日本家屋といえば木造建築なので、ここで木の質感をしっかりと表現していきましょう。
図に沿って解説します。
この時の「影と明るい色」の入れ方ですが、縦の辺に沿って入れてください。
そうするとより一層立体感がプラスされます。
木目の種類は大きく分けて二つ。
円が重なった模様と直線の並んだ模様があります。
今回は左側の模様をベースに作成しています。
描きやすい方でやってみてください。
柱になる箇所の木目を描き終えるとこのようになります。
影になっている面も同じ要領で描き込みました。
続いて障子の木目も描き込んでいきます。
今回も柱と描き方はほとんど同じです。
①ベースの模様を描く
②影を入れる
③木目を入れる
と進めています。
障子全体に木目を描き込みました。
木目に合わせて平坦だった影をガタガタさせ、明るい模様も少しだけ足しています。
全体を確認するとこのようになります。
続いて縁側を描き込んでいきます。
縁側は柱などよりもツルツルとした質感にするとらしさが出るので、②のように光や影などを入れて反射している様子を表現してみてください。
全体を確認するとこのように進んできました。
②瓦・畳・障子の紙部分
続いて瓦を描き込みます。
瓦は明るい所と暗い所の色の差が大きいです。
表面は白に近い明るい水色に、影はグレーがかった深いブルーにしました。
こちらも意識してみてください。
次は畳を描き込みます。
今回畳は少ししか見えていないこともあり、描き込みすぎずあっさりとさせています。
今までの手順で庭の塀も作成しました。
遠くなる程描き込みは少なくなり、少し明るくなるようにしてみてください。
障子に影を入れていきます。
真っ白の障子ではなく今回は少しだけグレーがかった色を足しました。
年季の入った質感を出したいので、大きめのブラシで汚れをつけるような感覚で色を塗ってみてください。
③庭の石や植物
縁側の下の石にも模様をつけます。
線画の模様に沿って、出っ張りと凹みを意識しながら塗ってみてください。
綺麗に塗ろうとせず、少し乱暴なぐらいにざくざく塗ると石らしさを表現できます。
庭も進めていきましょう。
この時、鮮やかな綺麗な緑ではなく少しだけ濁った黄緑・緑を選んでみてください。
なじみやすくなります。
建物の影はとても暗くなるので、思い切って濃い緑にしてみてもいいです。
雑草を描き込んでいきます。
手前の大きな草と建物の下の短い草はレイヤーを分けて区別してください。
全体に広げていきます。
短い草・長い草・影になっている部分の暗い色の草も描いてみてください。
続いて手前の大きな低木も描いていきます。
このとき綿密に細かく描こうとしなくて良いです。
今作成したレイヤーを選択したまま【フィルター→ガウスぼかし】を選択してください。
値を少し上げて葉っぱをぼかしてください。
ちょうど良いところでOKをクリックします。
右下の低木と左下の雑草にもぼかしをかけました。
そうすることで自然と視線が建物に向かいます。
④空と建物の影
空の描き込みをしていきます。
まずは何もしていなかった空に青をのせます。
天井に近いほど深い青にしてください。
ソフトブラシで色を馴染ませなす。
雲を描き込みます。
夏の雲は形がはっきりしているので、綿菓子のような雲にしてみてください。
雲にも影があることを意識しながら、地面に近いほど少しぼかすと雲らしくなっていきます。
奥の障子の並びにスダレを足しました。
続いて、ブレンドを使って影を作成していきます。
建物の影にしたい箇所に暗い青を塗りました。
影のレイヤーを選択したまま不透明度を下げ、ブレンドを乗算に変更します。
すると、このように半透明になります。
必要ない箇所を消しゴムで消しましょう。
部屋に日が入っているようにしたいので、畳の影も少し消してみてください。
太陽の光をプラスしたいので、影の境目や縁側の真ん中などに明るい黄色を塗りました。
今回はふんわりと塗ってみてください。
そして影と同じように不透明度をさげ、今回はブレンドを「加算・発光」に設定します。
そうすると明るさがプラスされました。
今回もはみ出た箇所は消しゴムで消してください。
ここまでの作業で今回のメイキングは完了です。
日本家屋なんて全く描いたことないという人も、少しは描き方をイメージできましたか?
今回を機に、ぜひ挑戦してみてください!
(文・絵/荒金ひろみ)
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