2023.07.26
【初心者向け】漫画を描いてみたい人へ!漫画の練習方法紹介します!
紙の上で無限大のストーリーを展開できる「漫画」。
やってみたい!と思う一方で、難しそうというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
確かにストーリー決め、ネーム、コマ割りなどなど…イラストと比べて工程が多く、初心者の方にはハードルが高そうに見えると思います。
漫画を始めてみたい!という方向けに、ビジネス漫画家として活動している私が実際にやった漫画の練習方法を紹介します。
ファンアートとしての漫画を描きたい人も、オリジナル作品に挑戦したい人も、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
Index
☆イラストの技術と漫画の技術はまったく別物!
イラスト(一枚絵)と漫画の違いはなんでしょうか?
今まで自分が読んだ漫画や、知っている漫画を思い浮かべてください。
絵は正直そこまで上手くないのに、「めちゃくちゃ面白い!」と人気が出る漫画があります。
逆に、絵はとても綺麗なのに、「なんか微妙だな…」と途中で飽きられてしまう漫画もあるでしょう。
「絵を描く」という作業は同じでも、イラストと漫画では必要な技術がまったく違います。
それは『ストーリー』です。
イラストは「絵の良さ」を追求するのに対し、漫画は「ストーリーを説明するために絵という手段を使う」というようなイメージです。
私個人的には、小説に説明の絵をつけるような感覚で漫画を描いています。そのくらい漫画はストーリーとそれを見せる構成力が重要です。
絵も上手くてストーリーも面白ければ最強ですが、初心者の方がその両方をいきなり追い求めるのは難しいです。まずは今の自分の画力、ストーリーを作る力がどのくらいなのか客観的に考えることからはじめましょう。
☆基本的な漫画の作り方はこちらの記事が参考になります☆
漫画のコマ割り講座【基本編】
https://medibangpaint.com/use/2020/11/how-to-arrange-panels-1-basics/
漫画のコマ割り講座【応用編】
https://medibangpaint.com/use/2020/12/how-to-arrange-panels-2-application/
顔漫画から卒業!漫画の基本構図を覚えよう
https://medibangpaint.com/use/2021/01/how-to-select-composition-of-manga/
☆今のあなたはどっち?練習方法診断
「漫画の練習がしたい!」と言っても、今の自分がどういう力を持っているかによって練習方法が違います。自分はどっちに当てはまるかなと考えてみてください。
◆イラスト(一枚絵)は得意だけどストーリーを考えられない
→①ストーリー力・構成力を磨く練習からはじめよう
◆ストーリーには自信があるけどそれを描く画力に自信が無い
→②漫画的な画力を磨く練習からはじめよう
①ストーリー力・構成力を磨く練習方法
・短いストーリー作りから始めよう
最初から長編漫画や複雑なストーリーを考えるのは無理です。まずは1ページ漫画や4コマ漫画から練習してみましょう。
「猫が道にいた。鼻の頭にちょうちょが乗っかった。可愛かった」
まずはこの程度のボリュームで十分です!二次創作なら、自分がSNSでつぶやいた140字程度の妄想ツイートを利用してみるのも◎です。
上の短い文章を4コマで漫画化してみました。これだけでも十分漫画として成立していますよね。
このようにハードルの低い短い漫画から取り組んでみてください。
・ストーリー案は文字で書き出そう
ストーリー作りで大切なのは、頭の中だけでストーリーを考えるのではなく、必ず書き出すようにすることです。文字に起こすことで考えが整理されますし、新たな思いつきが生まれることも多々あります。
中には頭の中だけでストーリーを完成させたり、描きながらストーリーを思いつきで追加していく天才型の人もいますが、そういう人の真似は難しく、おすすめしません。初心者の方の場合は、文字起こしするのが無難で確実です。
おすすめの工程としては、
・まず文字だけでストーリーを作る(箇条書きや作文形式などやりやすい方法で)
↓
・書き出したストーリーの中から一番の山場・見せたいポイントを決める
↓
・書き出したストーリーを元にネームを作っていく
☆1P漫画や4コマ漫画なら山場のポイントをオチに使う。数ページの漫画ならそのポイントを大きいコマに割り当てる、など活用しましょう。
最初のうちは複雑なコマ割りを考える必要はありません。コマ割りで演出する練習はもっとあとでいいです。最初のうちは単純な線で分割しただけのコマや、4コマ漫画のテンプレート、同じ大きさの四角だけが並んだコマなどで練習しましょう。
こうして短い漫画を繰り返し描き、漫画を描くという作業の流れに慣れてきたら、少しずつページ数を増やしていきます。
4ページ、6ページ、12ページ…とだんだん長くなるにつれ、ストーリーも複雑化し考えるのが大変になると思いますが、ページが増えてもやり方は同じです。
◆私のストーリー組み〜ネームの描き始めまでの進め方
私が長めの漫画のストーリーを考える場合、まず簡単な小説のような方式で文字に起こし、紙に出力しています。私は文字の段階で物語(プロット)をガチガチに詰めたいタイプなので、この段階でセリフや風景の描写、心情の描写まで普通に小説として出せるレベルまで書き込んでしまいます。私はこれを「文字コンテ」と呼んでいます。
その後、出力した文字コンテの中で、特に魅せたい場面や山場に丸印を付けていきます。
そして、その文字コンテを読みながら頭の中でその場面の映像を想像します。
「ここからここまでが1ページだな…」と線で区切っていきます。その後、その区切りや山場の印を参考にしながら、コマ割りやネームを考えていきます。
かなり回りくどいやり方をしていますが、文字コンテをしっかり作ることで、途中で物語がブレることがありません。台詞や展開を変えたくなった時も調整が楽です。また、文字の時点で最終的にこの漫画がどのくらいのページ数になりそうなのかが把握できるのでこの方法を採用しています。
同人誌を出すと物語を褒めていただくことが多いので、やり方としては間違っていないのかなあとは思います。ひとつの例として参考になれば嬉しいです。
☆ストーリーの組み方に関してはこちらの記事でも説明しています☆
【初心者向け】ペンが進む!広告漫画家が教える、漫画のストーリー作りのコツ
https://medibangpaint.com/use/2021/04/tips-for-writing-a-story-for-your-comic/
・日常の色々なことにアンテナを張ろう
よく「漫画のストーリー作りが上手くなりたいので漫画をたくさん読んでいます!」という方がいますが、個人的にはそれだけでは少し足りないかなと思います。
私には同業者の漫画家の友人が複数いますが、ストーリーや構成が素晴らしい!と思う人はみんな、漫画だけではなく一般小説や映画、ドラマ、舞台、時事ニュース、学問などありとあらゆる分野のものに日常的に触れている印象です。
また、日常生活での何気ない場面や物事をよく観察し面白さを感じる感性も大切だと思います。ネタはありとあらゆるところに落ちているものです。
「公園でひなたぼっこしているあのおじいさん、よく見たら腕の筋肉がムキムキだ!!」
「この川は春になるとこんなに花が咲くんだ!知らなかった!」
漫画とはまったく関係ないものへ広く関心を持つと、自分の知識の引き出しが増え、漫画のストーリー作りにも生かすことができます。いつもの生活を少し違った目で見てみると得るものがあると思います。
②漫画的な画力を磨く練習方法
ストーリーを作るのは得意で、文字ベースでは納得のシナリオが書けている!けどコマ割りや構図などの肝心の漫画的な絵の描き方が分からない…という方におすすめの練習方法は、ずばり「模写」です!!
「結局模写かよ!!!」と思いましたか?そうです!
イラストの練習方法の記事でも模写をおすすめしましたが、やはり漫画の感覚を掴むには、
上手い人や憧れの人の描いた作品を模写するのがシンプルかつ上達への近道だと思います。
読んで勉強するだけではだめです。実際に真似して描かないと得られない感覚があります。
具体的なやり方としては、
・自分が好き、うまいと思う漫画を用意する(紙の本でも電子書籍でもOK)
・その漫画を丸々1冊(もしくは1話)模写する
以上です。簡単に思えますが、漫画の模写はイラストの模写より時間も労力もかかり大変です。
途中で諦めてしまいがちですが、気負わず例えば今日は1ページだけでも模写する、など少しずつ粘り強く進めましょう。
モチベーションを保つポイントは、本当に大好きな作品を模写することです。
自分が大好きなシーンを模写すると楽しいです。
そして、模写していくと、「このコマ割り魅力的だなあ」「こんな構図もあるんだ」と、プロの技を実感として体得することができます。
また、読みやすい漫画にはある程度のコマ割りのパターンやお話の展開の法則性があり、それがなんとなく分かってきます。
苦しい作業ではありますが、まるごと模写しきった頃には、漫画的な表現の感覚がすごく身についていると思います。
可能なら複数の作家さんの模写をするとなお良しです。
私は漫画ビギナーの時に、好きな作家さんを3人選び、その方々の作品をそれぞれ単行本1冊ずつ、合計3冊分を模写しました。仕事の合間にやっていたため途方もない時間がかかり、途中で心折れそうになりましたが、模写するうちに「読みやすい漫画の特徴」「コマ割りのパターン」がわかってきて、確実に上達しました。
ファンアートを描く合間にでも、ぜひ模写に挑戦してみてください。
※模写練習するときの注意※
あくまで漫画の練習のための模写です。他人の作品のコマ割りや構図などをそのまま自分の作品に流用したり、自作発言するのは盗作にあたりますので絶対にやめましょう。
☆読みやすい漫画にするコツについてはこちらの記事でも説明しています☆
【初心者向け】広告漫画家が伝授!読みやすい漫画にするための7つのコツ
https://medibangpaint.com/use/2021/06/7-tips-for-drawing-easy-to-read-manga/
・最後まで描き切ろう
「途中まで描いたけど飽きてしまった」「あと少しで完成する作品があるけど放置している」
これは漫画を練習している人にはあるあるだと思います。
熱が冷めてしまった、難しい構図でストップしていまいそのまま放置、飽きた、など理由は様々だと思いますが、上達を目指すのであれば描き始めた作品はとにかく最後まで完成させましょう。
完成させたという達成感が次のやる気につながりますし、完成したものは他人に見せることが出来ますよね。SNSで発表したり、編集部に持ち込んだり、仲間内で見せ合ったり、誰かに読んでもらうことで漫画は完成すると言っても過言ではありません。
読んでもらった反応や指摘を次回作に取り入れることで上達へのサイクルが出来ます。
とにかく完成させなければ、人に見せることも出来ないのです。
大変ですが頑張って完成させるクセをつけましょう!
以上、まとめると、
・短い漫画から始めよう
・好きな作家の作品を模写してみよう
・まずは最後まで描き切ろう
・漫画以外のいろいろなものに触れて知見を広げよう
これらをできるところから実行していくと、時間はかかりますが確実に漫画は上手くなります。気負わず楽しくやるのが長続きするコツです。ぜひ漫画にチャレンジしてみてくださいね!
(絵・文:はらなおこ)
twitter:@nao_comic
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