2021.04.02
手の描き方を徹底解説!グーの形を描いてみよう
手を上手に描くには、描き方のコツを理解することが重要です。
人物のパーツの中でも登場シーンが多い手。描いてはみたものの、思ったとおりのイラストにならず困っている方も多いのではないでしょうか。
今回は手の描き方を解説します。実際に手のグーの形を描きながら、重視したいポイントや注意点を紹介します。手の描き方を覚えてイラストの幅を広げたい方、より手を上手く描きたい方はぜひ参考にしてください。
Index
手の構造
手の描き方を覚えるには、手の構造を理解することが重要です。実際の手の形を理解することで、イラストにしたときの違和感がなくなっていきます。手の構造について、骨格を中心に確認しましょう。
手の構造を知る
手の構造は、以下のとおりになっています。名称を覚える必要はありませんが、骨格上の構造を覚えておくと、描き方を理解しやすくなるでしょう。
手は手根骨、中手骨、指骨の3つの部位に大きく分かれます。それぞれ指・手のひら・手首の骨となっており、描く際も指・手のひら・手首を意識して描くと本物に近づきます。
また、付け根部分で指が曲がる箇所を「中手指節関節」と呼びます。この関節を理解しておけば、指の長さや手のひらの大きさのバランスが見えてくるでしょう。
指は指の付け根ではなく関節から曲がる
手をグーにするとき、指はどこから曲がるのでしょうか。指の付け根からと思いがちですが、実際は中手指節関節から曲がります。手をグーにするときは、指の付け根よりも少し下のあたりから曲がりはじめるのです。
皮膚がついた手のひらから見ると、画像のしわの部分から曲がっているのがわかるでしょうか?実際に自分の手をゆっくりと握ってみると、曲がり方がよくわかると思います。特に親指以外の指は同じように曲がっていくため、実際に握ってみると見やすいでしょう。
横から見ると、手の甲側と手のひら側の曲がる位置がよくわかるでしょう。このまま曲げていくと、赤いラインのところから曲がりはじめていきます。青のラインは指の付け根ですが、ここは関節に連動して動くだけであり、一切曲がっていきません。
このように手の甲側は関節から曲がり、手のひら側は指が分かれる部分ではなくて、手前のしわ部分から曲がっているのがわかりますね。この関節部分から曲がっていくようにイラストを描いていけば、自然なカーブを描いたグーの形を描けるようになります。
手を握る途中のイラストのように手のひらのカーブを意識したい場合は、指の付け根よりもやや下のほうから曲げていくイメージで描いてみましょう。
中手指節関節はアーチを描く
次に押さえたいポイントは、関節が軽くアーチを描く点です。
手の関節は平行についているわけではなく、アーチを描いてついています。
このように、手のひら自体が微妙にカーブしています。関節部分は小指の方向に向かって曲がっていき、グーにしたときも同じようにアーチを描いているのです。
この特徴は拳を正面から見たときに顕著です。
こちらも実際に曲げてみるとよくわかるでしょう。中指の関節がもっとも盛り上がっており、薬指・小指にかけて斜め下へ向かっています。この構造を理解しておかないと、手が角張った印象になり、自然な丸みや雰囲気が出なくなってしまいます。ロボットのような手になってしまうため、アーチを意識して描いていきましょう。
手の描き方を実践!グーの形を描く手順を解説
では、実際に手の描き方を実践してみましょう。指の曲がる位置と関節部分の形に注意しながら進めていくのがポイントです。
ここでは手の甲側と手のひら側のグーの形を取り上げます。
①手の甲側から見たグー
まずは手の甲側から見たグーを描いてみましょう。手順は以下のとおりです。
- 四角のアタリを描く
- 薬指と小指部分の関節のアタリをとる
- それぞれ2等分して十字のアタリをつける
- 4本の指の太さを決めるため、4等分のアタリを入れる
- 人差し指・中指を描き加える
- 手首を描き加える
はじめに手の甲のアタリとして四角を描きます。描きたい手の向きに合わせて、四角の角度を調整してください。
次に、薬指と小指部分の中手指節関節部分のアタリを加えます。最初に書いた四角を中心に、指の位置を決めていきましょう。
薬指・小指の関節は人差し指・中指の関節から下の位置にあります。また、中指から小指にかけては関節がアーチ状になっているため、薬指と小指の関節部分で緩やかに弧を描くように入れるとそれらしくなります。
中心線として十字を入れます。四角の右側が人差し指・中指を描くほう、左側が薬指・小指を描くほうです。また、左辺は手のひらの端、右辺は親指の場所です。
4本の指のアタリを描きます。2等分したアタリをさらに2等分し、4等分しておおよその形を決めましょう。
アタリが決まったら、指を加えます。
細かく描くのは、人差し指と中指のみです。薬指と小指に関してはこの角度から見えないため、関節の凹凸を描くだけにとどめます。
人差し指・中指は第二関節の曲がりまでしっかりと表現し、薬指・小指は隠れるように関節の一部分だけを描くようにすると、見栄えがよくなります。親指と人差し指の交わりもカーブを上手く使いながら自然な雰囲気で表現しましょう。
最後に手首を加えて完成です。そのまま腕へと線を繋げていくようなイメージで描いていきましょう。
ポイントは、アタリの位置と指の角度です。アタリの位置が関節であり指の曲がる場所となります。手のひらから第二関節がわずかに伸びているようなイメージで描くと、拳を握っている雰囲気が出てリアルさが増しますよ。
②手のひら側から見たグー
次に、手のひらから見たグーの描き方を見ていきましょう。手のひらから見た場合のイラストは、指の線や角度など、細かいところにも気を配る必要があります。一つひとつの作業を丁寧に行いましょう。
手順は以下のとおりです。
- 手のひらのアタリの四角を描く
- 四角に中心線を加える
- 手のひらの指が曲がる部分にできるしわを描く
- 四角の上に中手指節関節のアタリを入れる
- 人差し指の外側の輪郭を描く
- 4本の指のアタリを描く
- 小指の付け根を描く
- 親指を描く
- 小指から手首までの輪郭を描く
- 手首を加える
同じように手のひらのアタリとして四角を描きます。中心線の十字も忘れずに加えましょう。
手のひらに指が曲がる部分のしわを加えます。このしわは指を折り曲げたときに指先がくる目安の場所にもなります。ここでしっかりとバランス調整をしましょう。
関節部分のアタリを描きます。四角の上にアーチを描くと、よいバランスになりますよ。
人差し指の付け根を描きます。
人差し指から小指まで4本の指のアタリを入れます。やや放射状になるように入れておくと指が描きやすいです。
指は垂直に描くのではなく、手首中央に指が集まっていくように描くとより自然に見えます。
小指の付け根を描きます。
親指を加えます。人差し指の付け根のラインとのバランスに気をつけて描きましょう。
小指から手首までの輪郭を描きます。角ばらないように注意してください。
最後に手首を加えて完成です。
まとめ
今回紹介した描き方は、あくまでもひとつの例であり、人によって描き方はさまざまです。
自分にとって描きやすいやり方で描くのが一番ですが、手は構造が複雑なため、実物を観察しながら描くことが大切です。
自分の手を写真に撮ったり鏡に映したりして、観察しながら描いてみましょう。
初心者でデジタルペイントツールを持っている人は、スマホで撮った自分の手をトレースしてみるのもおすすめです。
ぜひいろんな手の形に挑戦してみてくださいね。
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(文・絵・協力/吉田 セツ)
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